妻の一発

　例年より少ない積雪を感じながらも、降雪にブツブツ言いながら山奥で過ごしている毎日。
毎年の事ではあるが、食べ物を求めてやってくるシカたちには相変わらず手をこまねいている。

　初冬の頃には、夜中になると庭先に出没してオンコの葉をペロリと食べてしまった。３年ぶりにやられてしまった。
そればかりか大切にしていた５年物のリンゴの木も５本全て皮を食べられて・・・。春先には全滅だろう～～。「くやしい・・」の一言につきる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　

　「何をボサボサしているんだ、シカになめられているぞ！！」と妻に当たることも度々・・・。私はそれを言うだけ。
相手も命がけ、私達を欺くかのように深夜に現れる。
しかし、最近では日中に山裾に捨てられた牧草ロールを食べにやってくるように・・ようやく出番が・・・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　遠くでカメラをかまえる私のほうを見てニコッと笑った。
あたかも自信に満ちあふれているようなそぶり・・・か。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　そしてかまえた。
私にはなにも出来ないが・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　

　「決して人間様に迷惑を掛けてはいけない」との思いもあったであろう・・妻の一発が発射した。
ご冥福を祈った。