南無煩悩大菩薩

今日是好日也

ベイズ理論

2017-01-18 | 古今北東西南の切抜
(picture/Thomas Bayes)

・・たとえばいくつかの調査では、医師が何年にもわたってこんな質問をされている。

「40歳の女性の内、定期的な検査を受ける人の1パーセントは乳ガンにかかっています。乳ガンの女性の80パーセントは、マンモグラフィで陽性を示します。乳ガンなしの女性10パーセントも、マンモグラフィで陽性を示します。さて、この年齢グループに属するある女性が、定期検査のマンモグラフィで陽性となりました。この人が乳ガンである確率はいくつ?」

ちなみにこれは医師でないあなたでも答えられる。マンモグラフィーで陽性の女性が乳ガンである確率は?ちょっと考えてみてほしい。

何度調査をやっても、ほとんどの医師はガン確率が75パーセントくらいと答える。実はこの答えは10倍くらい高すぎる。ほとんどの医師はベイズ方程式の使い方を知らないのだ。

確率を計算するには(そしてベイズ式を基礎から学ぶには)確率を頻度に直すことだ。まず、乳ガンの検査を受ける女性が1000人いるとしよう。1パーセントの(事前確率)から、検査を受ける1000人のうち10人は実際に乳ガンだというのがわかる。この乳ガンの10人の内、8人はマンモグラフィで陽性となる。また乳ガンなしの女性990人のうち、10パーセントにあたる99人も偽陽性を示す。では陽性となった女性が乳ガンを持つ確率は?

なんのひねりもない計算だ。陽性107件(本当のガン8件に偽陽性の99件)のうち8件が実際にガンを持つ。だから統計屋が、マンモグラフィ陽性の条件下でガンである事後確率とか更新確率とかいうものは、7.5パーセントとなる(8を107で割ればいい)。ベイズ理論は、事前の1パーセントのガン確率が、70パーセントとか75パーセントにはねあがるわけではないと述べる。単に7.5パーセントになるだけだ。

ベイズを理解していない人々は、ガンの女性が陽性反応を示す八割の確率を重視しすぎる。ほとんどの医師は、乳ガンの女性の八割がマンモグラフィで陽性になるなら、マンモグラフィで陽性を示した女性が乳ガンである確率も八割くらいだと思ってしまう。

でもベイズ式はこの直感がなぜ間違っているかを教えてくれる。全体でどのくらいの女性が乳ガンを持っているかという部分(事前確率)をずっと重視し、さらに乳ガンなしの女性が偽陽性を示す確率も重視する必要があるのだ。

マンモグラフィで陰性の女性がガンである確率を計算できますか?できたら更新の発想を理解しつつあるということだ。

-切抜/イアン・エアーズ「その数字が戦略を決める」より-

*893件の陰性のうち、ガンを持つのは2件。だから事後確率はたった0.2パーセント、事前確認の五分の一に下がる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする