まわりで起こっていること

since2004.12「糠漬け初心者」

角間大湯

2007年05月02日 | 温泉
旅ゆけば 駿河の国の 茶の香り、と言えば、広沢虎三の、浪曲、清水次郎長伝の冒頭のうなり。

こちら、北信の湯田中渋温泉郷では、茶の香り、のかわりに、湯の流れ下る音だ。

一茶は、

 雪ちるや わき捨てある 湯のけぶり

という句を残している。

実際、角間でも、湧出するお湯の、5%くらいしか、使ってなくて、まさに、わき捨てある状態らしい。

以前は、荒神山のあたりから、自然湧出していたらしい。

観光温泉地の悲哀、というのか、どこぞで、ボーリングがはじまり、枯渇した、と。

大量生産、大量消費の最後のシーン、バブルは、いいこともわるいことも、たくさんの痕跡を残し、はじけたまま、今にいたる。

一時は、この角間も、湯田中へお湯をもらいにいったんだよ、と、80歳になる、角間にうまれ、育ったおばあさんが、教えてくださった。

泉源をやっとのことで、探しあて、難工事のすえに、お湯がでたらしい。

そのお湯を、角間組、と称する、地元の方々が、大事に守っている。

毎日、お湯をぬき、湯船からすべて、きれいに洗っている。

ので、この角間大湯の、とろりとした透明なお湯に、浸かることができた。

感謝、です。

大湯まえの、黒鳥商店さんでのお話。

近くにある、林芙美子文学館では、もと数学の高校教師だったという、ご主人の黒鳥さんが、これまた、林芙美子について、懇切丁寧な説明をしてくださった。

縁側で、コーヒーもいただき、煙草まで、すわせてもらった。

大正13年生まれのこの方、82歳、めちゃくちゃ、お若い。

ご主人が、この文学会館を維持管理するのに、お金も労力もかかるとおもうんですけど、そのエネルギーの源はなんですか、と伺う。

46歳で、芙美子が、突然の心臓麻痺でなくなる、何年か前、ご主人の家の二階に間借りしていた。

一ヶ月の間、人柄に触れる期間があった。

そのころは大作家の彼女、しかし、人に接する目線は、まったくこちらと同じだった、という。

どうやら、その人柄にほれたらしい。

ほんと、旅は、出会いだ。

また、行きたくなった。
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