おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

昔の日本に旅立つ

2021-04-15 10:58:43 | 福島

 ソメイヨシノはすっかり散ってしまったが、個体差の激しいヤマザクラはこれから咲くものもある。我が家のヤマザクラは早くに散ってしまい、今では茶色い葉っぱだけが残っている。散歩に出ると、丘の上の雑木林にヤマザクラの巨木が何本かあり、日の当たる梢のほうから白い花が咲き始めた。今朝、ヤマザクラの下を通りながら見上げると、満開に近くなっていた。

 桜は終わりに近づいたが、入れ替わりに花盛りなのがヤマブキだ。

 七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき

 と、ヤマブキが咲き始めると、つい口に出る。昔の人はもっとたくさんの歌を覚えていて、様々なシチュエーションで思い浮かべていただろう。こういうことを伝統とか文化とか言うんだろうな。

 桃やシャクナゲも咲いている。花桃は1本の木から、白とピンクの花が咲く。枝によって棲み分けているようだが、よく見ると、花びらの中にも白とピンクが混ざっているものもあるから、なんとも不思議だ。

 時々群で見かけるアトリが、今朝は1羽だけいた。すぐに野鳥の名前が出てくると、なんとなく愉快な気分になる。

 読み応えのあった「サピエンス全史」が終わり、次に読む本を本屋で買ってきた。イザベル・バードの「日本奥地紀行」という本で、有名な本なのでいつか読もうと思っているうちに、ずるずると後回しになっていた。NHKのブラタモリでも、日光を紹介するときにイザベル・バードの名前が出ていたので、早く読まなきゃと焦っていたのだ。

 で、まだ頭のところだけ読んだだけだが、イザベル・バードという40歳を過ぎた女性が、開国すぐの明治11年に、陸奥と北海道を旅するためにひとりでやって来た。まだ日本が日本として建国の真っ最中に、参考になる資料もないまま、ひとり旅をしたのだから、大した度胸なのである。

 考えてみれば、江戸から明治になったばかりの日本というのは、今の日本人からすれば、知っていることもあるだろうけれども、かなりのことがわからなくなっているだろう。そういう意味では、今の僕たちはその頃の日本人より、イザベル・バードさんのような西洋人に近いところがあるかもしれない。

 「日本奥地紀行」は、44信からなる当時の手紙を中心としてまとめられ、本になった。ガイドブックもスマホもない日本では、彼女自身がいちいち当時の日本人に質問しなければ、わからないことだらけだった。きっと、本に書かれていることは、「これは何ですか」「これはどういうことですか」と、英語を話せない人たちに、身振り手振りで聞いたことばかりだろう。

 さて、第1信を読むと、18日間かけてやって来た船旅から始まっている。上陸後の感想はというと、「上陸して最初に私の受けた印象は、浮浪者が一人もいないことであった。街頭には、小柄で、醜くしなびて、がにまたで、猫背で、胸は凹み、貧相だが優しそうな顔をした連中がいたが、いずれもみな自分の仕事を持っていた」とある。

 もしタイムスリップして、当時の日本に旅することができたなら、僕も同じような感想を抱くのだろうか。

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