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そしてここでぬたりの所有ウクレレである。つじさんのとほぼ同じモデルである。彼女の紹介によると、つじさんのは「カスタム」と言うらしく、ぬたりの「スタンダード」とは違うみたい。ただし、当時のグレード構成がいまだに不明なものでホントに違うかどうかは不明。つじさんのにはマイク端子が追加されているから(使ってはいないみたいだけど)、これをもってカスタムというのかも知れない。
つじさんに影響されてウクレレ触り始めたぬたりとすると、つじさんと同じモデルはどうしても欲しかった。でもこれがどこにも置いてない。ウクレレのフリーペーパーには昨日書いたチェンジしたモデルの広告は出てたけれども、これすらあまりお目にかかれない始末で、長いことネットで探していた。
そしてある時、ネットにてお茶の水の某楽器店に中古の在庫があることを発見したぬたりは、週末には東京へ赴いていた。そして件の楽器屋でケリィを試奏させてもらったぬたりは驚いたのなんの。
恐ろしく弾きづらいし、恐ろしく鳴らない。
弦高がかなり高く、また音もどこかとぼけている印象。これは駄目だろ、と冷静なぬたりが囁く。値段だって中古なのに当時の新品のケリィとほとんど変わらず、正直妙味は全くなかった。
一方、長年かかってやっと見つけたのに、とぬたりの物欲は囁いていた。何しろ数ヶ月毎日のようにネット覗いていて、やっと見つけた1本である。これ逃したら次いつになるんだか全く分からないのだ。
結果的には物欲に流されるままに購入をしたわけだが、この時ばかりはぬたりの物欲は良い仕事をした。この日以降、ぬたりがネットや楽器屋の店頭で、このモデルのケリィを見かけることはとうとうなかった。ぬたりは購入のワンチャンスを確実に生かした形となった訳である。
だが、所有欲は満たすが演奏欲はまるで満たしてくれない。演奏してても弾きづらく、しかも出力される音も気持ちよくない。このため、ぬたりが持っていた2万円程度のFamous以下の存在として、長らく押し入れに仕舞われることになってしまった。
しかし、復活は鮮やかであった。いつの間にかウクレレも触らなくなったぬたりは、ある日のさだまさしのライブで突如としてギターをやりたくなり、アコースティックギターを購入しギター教室に通いだした。で、このセンセがウクレレでもかなりディープな方で、どうせならウクレレも持って来いよとしきりに勧められ、ケリィをこのセンセに見せることとなった。
長年押し入れに放置した楽器を見せるのも恥ずかしかったんだが、それでもと持っていったケリィを見て、センセは一言、
「おぉ、この頃は真面目に作ってたんだけどなあ・・・」
そして、センセの口から語られたのが、ブランド消滅までの流れであった。
ウクレレ自体は真面目に作られた良いものだから、是非調整をかけようと言われ、ケリィはセンセのツテで全面的な調整に旅立っていった。徹底的に行ったために、5桁の請求書とともにぬたりの手元に戻ってきたわけだが、調整後のケリィを弾いたぬたりは驚いたのなんの。
コロンコロンと小気味よい音のする、激鳴りウクレレに化けやがった。
明るく乾いた、ハワイっぽい音と言いますか、とにかくまあ、コード弾いてるだけで気分が明るくなる感じ。10万円以上するウクレレも所有歴はあるが、ストロークに関してはケリィの方が心地よいほど。そうか、これがハワイのウクレレの底力か。紆余曲折はあったものの、今ではつじさんがどうこうではなく、ケリィはぬたりの宝物になっていますね。
しかしながらこの宝物、市場の価値は大してついてはいない。実は今現在のモデルは日本にもそれなりの本数が入ってきている。位置づけ的には「ハワイ製の中では安価なブランド」である。ハワイ製のウクレレの値上がりは近年激しく、永遠のスタンダードと言えるカマカのウクレレでも軽く10万はする。その中で、ケリィは比較的安価に購入できるブランドとしての位置を占めている。
要するに今のケリィは、わざわざブランド買いをする人間はあんまりいないって事。また、詳しい人なら過去の製品歩留まりの問題も頭をよぎるから、ケリィというブランド自体に中古品的な価値がつきずらいんである。この頃のモデルはかなり数が少ないので、その点では貴重とは言えるけれども、そのことを知っている人の数は絶対的に少なく、また、「この頃のケリィを」と求める人もいない。希少性はあってもニーズがなければ、やはり値段というのはつきずらいものなんである。
ぬたりは現行のケリィをどうこう言うつもりは実はない。「安い」というのはそれだけで十分武器になり得るし、そもそも今現在ハワイ製のウクレレは高すぎる。もちろん高くなる理由はちゃんとあるのでぼったくってるとは思わないが、それでもハワイのお土産にハワイ製のウクレレを、なんてことは言えなくなっている現状があるし、ウクレレやってれば間違いなく抱く「ハワイ製のウクレレが欲しい」という気持ちに気楽に答えてくれるウクレレが少なくなっている。その中で多少安く売ってくれるなら、これはありがたいくらいの話ではあるのだ。世の中のニーズは色々あるわけだからね。
斯様に、かなり渋めのブランドである「ケリィ」にも紆余曲折の歴史があります。先日、ケリィに関してGoogle検索で飛んできた方がいたものでね。ちょっと長々と語っちゃいましたよ、はい。
今はアジアのどこぞで製材して組み立てだけハワイでやることでコストを抑えてるという噂もありますが、どんなもんなんでしょうね。
日本人はブランドに弱いんで、割と「みんな持ってる」ウクレレに走る傾向にありますが、面白いウクレレは国内外で色々ありますから、やっぱ触ってみないと分かんない部分は大きいですよね。
今はアキオオリジナルのワイピオ狙ってます。
なのでアキオオリジナルのことは言われるまで忘れてました。でも、信用は出来るし値段もそこそこだし、下手なハワイ製の買うならこれの方が断然良さそうですねえ。