フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

働き動向よりも政治の話に得てしてなりがち

2020年07月18日 13時13分55秒 | 日記
先日ダムの本の話をしたところで、昨今テレビ辺りでも注目を浴びたダム計画がありますね。
熊本県の川辺川ダムである。
川辺川ダムは長い間ちっとも建設にこぎ着けられないダムとして、ぬたりの住む群馬県にある八ッ場ダムと並び称されて「東の八ッ場、西の川辺川」なんてかつては言われてましたね。
で、この川辺川ダムの下流域で、今回水害が発生し、ひょっとしたらダムがあったら防げたのでは、という話が出ているわけですね。川辺川ダムは多目的ダムとは言え利水目的が主眼のダムでもあったから、目的の一つはまさに水害防止だったわけだし。
で、ダム好きのぬたりの考えとすれば、ダム一つでどれだけ防げるものなのかねえ、という感じ。もちろん増水時にそこで水を貯められる訳だから効果は間違いなくあると思うが、どれだけ効果があるかと言うことになると、検証はちょっと骨の折れる作業になる。
昨年の台風時に、丁度試験湛水をしていた八ッ場ダムが一気に水をため込んだことは大きな話題になり、建設推進派や賛成派は「そらみたことか。水害防いだじゃないか」という意見を大々的に述べたもんだが、申し訳ないがダム一つの単独の動きでは効果自体はタカが知れてる。八ッ場のあれは見た目のインパクトだけで、そもそも本活用時は水をもっと貯めておかなきゃなんだから、あんなに一気に水を貯める活用は想定してない。
こう言うと反対派が「だから無駄な事業なんだよ」と言うけどもこれにも賛同できない。そもそも八ッ場が八ッ場がとばかり騒ぐのはまさに「木を見て森を見ず」でしかない。八ッ場ダムの利水活用は、利根川利水の一部を担う立場に過ぎず、八ッ場ダム単体の働きを述べるだけでは片手落ちでしかない。
利根川の利水に関しては、利根川9ダムと言われる、矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原、八ッ場、下久保、草木、渡良瀬遊水池の各ダムを連携させ、全体の水位を調整することこそ肝で、ダム一つがどうだという話では終わらない。冷静に眺めてみると、利根川本流(矢木沢奈良俣藤原)、赤谷川(相俣)、片品川(薗原)、神流川(下久保)、渡良瀬川(草木渡良瀬遊水池)と利根川とその大きな支流にバランス良くダムが配置されていることが分かる。そしてこれまで大規模利水ダムが存在しなかったのが吾妻川で、ここに八ッ場ダムができた。
だから、台風で利根川が氾濫しなかったことについては、八ッ場ダムの働きよりも、これらのダムの連携した働きの方が大きかったはず。目立つから八ッ場ばかりがニュースになるが、他のダムだってあの日は頑張ってたんだぞ。そっちはちっとも取り上げやがらねえんだから、ほんとマスコミってやつはもう…。
この話を川辺川ダムに置き換えれば分かるが、川辺川ダムで調整できるのは川辺川の水位だけで、川辺川は球磨川の支流の一つでしかない。だから水系全体の水位を見比べて、その上で川辺川ダムの能力を加味した上でダムがあったらどうなったかの結論を出さなければいけなくなるわけだ。この計算はそれなりに骨が折れると思うがな。ましてやダム賛成反対を一切排除して計算しようとするとなると、もっと難しくなるよね。
今回の水害で、川辺川ダムの建設の議論が再び起こることは想像に難くないけど、これに関しては熊本県内でよく議論をしていただくしかないかな、という感じで、ぬたりとすれば建設に賛成も反対もする立場にない。球磨川は水源から河口まで熊本県内で完結する川なので、受益者と建設で負担を強いられる人はどちらも熊本県内にいる人がほとんど。だからまずは県内で意見の熟成を行っていただければいいんじゃないだろうか。この辺りも八ッ場ダムとは違う点で、八ッ場ダムの受益者は下流の都県や市町村全てに及び、当時の都知事の石原さん辺りも大々的に建設すべきといっていたな。八ッ場の場合、民主党政権時には建設に反対する地方自治体は一つもなくなっていて、これを完全に建設中止できると思った辺りに当時の民主党の視野の狭さがあるな。どうせ首都圏あたりの活動家組織に乗せられて深く考えずにマニフェストに載せちゃったんだろうがな。
一方の川辺川ダムでは流域市町村も賛成反対入り乱れていたし、熊本県知事も建設には消極的だったから、悪い意味で計画が止まっていた状態。だから建設中止の鶴の一声を出せたことは(水害起こっちゃった今となっては微妙でも)成果としてアピールできるチャンスでもあったのにね。八ッ場のゴタゴタ(まあ、民主党政権は色々と他にもゴタゴタがあったが)でそんなの吹き飛んじゃったな。

ともかく、ダムというのは見た感じはコンクリートで川をせきとめただけに見えるが、裏では相当に深い働きをしてるわけです。八ッ場の所在県として建設賛成派反対派の意見を嫌と言うほど見せつけられたぬたりとすると、正直みんなホントに分かっていっているのか甚だ疑問なんですわ。ダムが好きであれこれと調べたぬたりとすると、役割や働きが複雑で、下手に良いも悪いも言えないよなあ、というのが正直なところなのよね。

だからまあ、今後もダムの巨大な堤体やらダム湖の風景などを、観光感覚で眺めて喜んでるのがいいかなあ、とは思いますね。ダムは形一つとっても色々と事情があって、そういうのを知るのも楽しいしね。実際群馬県はダムも多いし、バラエティも豊富だし、コロナが落ち着いたらみんな群馬にダム見にこんか? いろいろ見ごたえあるダムもあるよ。
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2 コメント

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Unknown (Sin)
2020-07-19 06:39:50
岐阜もダムではネタが多いですね。
徳山ダム、御母衣ダム、丸山ダム辺りは見ておきたい物件です。
特に八百津は418酷道区間の起点だし
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Unknown (ぬたり)
2020-07-19 08:45:27
418は新たなダム計画あるらしいですね。ダムができると沈むから放置されてるとかなんとか。
徳山ダムも紆余曲折あったダムですけど、出来上がった巨大なロックフィルダムは私も見てみたいんですよね。ロックフィルダムは巨大さがわかりやすくて好きです。
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