熟年離婚? S・Yさんの作品です
毎日が忙しなく過ぎていく。私はとっくに還暦を過ぎたというのに慌ただしい日々だ。
以前に抱いていた老後の青写真は、子どもたちは巣立ち、自分の時間とお金に余裕ができて自由奔放に暮らしている筈であった。
定年退職した夫との顔を突き合わせた共同生活は十年以上になる。初めは息が詰まりそうだったが、次第に慣れた。それでも朝昼晩の定刻通りの食事の世話は時に嫌になる。様々な病を抱えているくせに、一向に生活習慣を改めない夫にストレスは増すばかり。彼の性格の頑固さに、時折、熟年離婚を想像する。すると、暗雲が晴れたような気分になる。
先日あるグループの食事会があった。女性ばかり十五人ぐらいで、高齢で夫に先立たれた人や、離婚した人など独り暮らしの人が意外に多い。気ままな独り暮らしだという同年代の女性と話していたら、彼女は自分の晩酌のつまみを用意するだけでもう何十年も料理を作ったことはないという。私が夫や息子の世話で毎晩寝るのが十二時近いと言うと信じられないという顔をした。「みんなの食事が終わるのを待ってるの? なんで自分の食べたものを各自で片付けさせないの?」そう言った。そして、過干渉、過保護だと言われた。
そうか、そんな暮らし方もあるのか。孫たちや母の世話もあって自分の時間がとれないことに苛立つことが多い昨今。何もかも放り出せたらどんなにか楽だろう。
私の部屋に相田みつを作品の日めくりカレンダーが掛かっている。今日は「ひとりになりたい ひとりはさびしい」とある。合点した。人とは勝手なもんだ。
毎日が忙しなく過ぎていく。私はとっくに還暦を過ぎたというのに慌ただしい日々だ。
以前に抱いていた老後の青写真は、子どもたちは巣立ち、自分の時間とお金に余裕ができて自由奔放に暮らしている筈であった。
定年退職した夫との顔を突き合わせた共同生活は十年以上になる。初めは息が詰まりそうだったが、次第に慣れた。それでも朝昼晩の定刻通りの食事の世話は時に嫌になる。様々な病を抱えているくせに、一向に生活習慣を改めない夫にストレスは増すばかり。彼の性格の頑固さに、時折、熟年離婚を想像する。すると、暗雲が晴れたような気分になる。
先日あるグループの食事会があった。女性ばかり十五人ぐらいで、高齢で夫に先立たれた人や、離婚した人など独り暮らしの人が意外に多い。気ままな独り暮らしだという同年代の女性と話していたら、彼女は自分の晩酌のつまみを用意するだけでもう何十年も料理を作ったことはないという。私が夫や息子の世話で毎晩寝るのが十二時近いと言うと信じられないという顔をした。「みんなの食事が終わるのを待ってるの? なんで自分の食べたものを各自で片付けさせないの?」そう言った。そして、過干渉、過保護だと言われた。
そうか、そんな暮らし方もあるのか。孫たちや母の世話もあって自分の時間がとれないことに苛立つことが多い昨今。何もかも放り出せたらどんなにか楽だろう。
私の部屋に相田みつを作品の日めくりカレンダーが掛かっている。今日は「ひとりになりたい ひとりはさびしい」とある。合点した。人とは勝手なもんだ。