いつもの通り、入院中もサッカー代表戦2ゲームにかぶりついた。
さて、世界14位のアメリカ戦はここにも書いたとおり理想的なゲーム運びから、代表選考の行く方が見えたゲームだった。伊東、三苫という日本の「得点への飛び道具」が利いた以上に、波のある守備、相手ボール奪取、その組織がよく機能したからだ。ちなみに、ワールドカップでは守備組織こそ最重要。強豪相手には0対0も立派な勝ち抜け資格になるからだ。
例えば鎌田の1得点についても守田が出したショートパスの貢献が大きかったが、押し上げたボール奪取組織について、遠藤、守田のボランチ陣やFW前田の前からの相手ボール追い込みが優れていたと観た。その点、エクアドル戦は守備のボール奪取組織が機能していず、アメリカよりもずっと下位の相手からボールが奪えなかった。相手ボール時の位置取り、寄せ、ボール奪取が良くなかったということになる。この対照的な2ゲームからは、代表選考法がはっきりと見えて気がする。
以上の点から、僕流の代表メンバーを以前の通り23人で選ぶ観点はこうなる。
「今の代表には世界にも誇れる得点への飛び道具がいくつもあるのだから、これを生かすことが大前提。その上で、これ以上にそこに良い位置でボールを渡せるボール奪取組織を重視する。できるだけ押し上げて、ボールチェイス、相手に余裕を与えない」と。
キーパー 川島、権田、ダニエル。
DF 長友、中山、富安、谷口、吉田、伊藤、酒井、山根
MF 遠藤、守田、田中、三苫、相馬、鎌田、南野、伊東、堂安
FW 上田、前田
後の一人が、久保か原口と観るが、以下、落とした選手個々の理由は述べないで、選考激戦のMF陣を中心に、入れた選手のその理由は述べてみたい。
まず原口、三苫とも重なる相馬だが、これは得点がほしいときの代打者の役割として。彼は伊東、三苫の良い点を半分ずつ合わせたような左の飛び道具で、この両者と同様に素晴らしいチャンスメイカー。1ゲームに何回かは必ず得点機を演出してきた上に、守備にもしっかり走り回る。
攻撃的MFとして今の南野を入れるのも意外と思われる向きもあろうが、最も選考難の激戦MF陣では「世界水準のオールラウンドプレーヤー」として一日の長があり、リバプールにいたときと同様に「ボール奪取に短時間で潰れる覚悟をもって走り回る」守備にも務めることを前提に選んだ。また、今の堂安だが、一皮むけて素晴らしい選手になった。なんせ猛烈に当たり強くもなったし、何でもできるように。
田中を選んだ理由は、守田と並べたときの「川崎フロンターレ陣への信頼」。前に三苫、後ろに山根、谷口がいるときなら、W杯では珍しいような連携ができ上がるはずだ。これら川崎の選手たちの「今なら彼はここにいるはず」という連携感はこれまでの代表戦でも大きな力を発揮してきた。川崎がドルトムント、リバプール、マンCなどから学んで来たものがそれだけ世界水準の攻守を表現していると思う。
ちなみに、これら川崎の選手たちの背後には中村憲剛がいて、「選ばれるためのノウハウ」伝授で堅い連携を結んで来たのではないか。14年W杯で落選したその悔しさを、憲剛がそういう形で返しているような気がしてならないのである。