五輪 喜ばないと「非国民」(ネットで何が…)(2013.9.14 中日新聞)
東京が五輪開催地に選ばれた瞬間、ネット上でも喜びの声が多数書き込まれた。
一方、喜ばない人ももちろん存在する。スポーツに興味がない人、直接の恩恵を受けない人、混雑が増すのがいやな人、東日本大震災の被災者に対する関心が薄れ、復興が遅れないか懸念する人。そして、原発事故で汚染水が漏れているのに、安倍晋三首相が「敷地内に完全にブロックされている」と断言したことに異議を唱える人だ。
脱原発を掲げて7月の参院選で初当選した山本太郎氏はブログで「仮設住宅で暮らしている人々に、選手村くらい心地よい住居を提供しろよ」と書いた。狭く、夏は暑くて冬寒い仮設暮らしの人がいまだにいることも忘れるな、と指摘したのだ。ネット上でこうした発言をすると、「非国民」という扱いになる。「祝賀ムードに水をさすな」ということだ。
ツイッターでは、「日本人なら東京五輪に反対する理由はないよな」「「」五輪は不必要」『原発を解決せずして何が五輪か』と言ってる人は、東京五輪、見るなよ!非国民め…」などのつぶやきがあった。
メディアの取材で、被災地の人が「五輪どころではない」といった趣旨の発言をしたことに、こんな意見が書き込まれた。「被災者は一体何様のつもりか!いつまで同情してほしいのか?国民が一丸となって招致したオリンピックをけなすとは被災者は非国民か?」(中略)
日ごろから、福島の人や米軍基地に反発する沖縄の人を「非国民」と呼ぶことが少なくないが、ネット上では大きな流れができつつある時、異論を徹底的につぶす傾向が強固になる。「日本が一つにになろうという時、「ちょっと待って…私たちのことも考えて」と言う声は、避難の渦にかき消されてしまうのだ。
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自分と違う意見に対しては直ちに反撃する。時には集中して攻撃が行われ、「炎上」するということは「ネットで何が…」でもよく取り上げられていましたが、「非国民」というレッテルを貼る攻撃に、戦争の時代を知っている私は、ここまできたかと背筋が寒くなるのを覚えました。
戦争中、政府や軍部、時には町内会の決定に異を唱えたり、疑問を呈するとその人の考え方は攻撃され、無理矢理戦争に協力することを表明させられました。その時に使われたのが「非国民」というレッテルでした。思想・信条の自由、言論・表現の自由を許さない社会でした。
今ネット上で、自分の考えが多数と思っている者がそれと異なる考え方や意見に対して「非国民」と罵倒しているようです。そういう人は若い人だと思いますが、「非国民」という黴の生えた言葉を持ち出して相手を攻撃する思想的背景は何なんでしょうか。
今、非正規の従業員が増え、若い人が自分の将来に希望が持てなくなっていると云われます。そういう不満が他人をみんなで攻撃することで、孤立感を解消しようとしているのでしょうか。
安倍首相は「日本をとり戻す」と云いますが、安陪首相がとり戻そうとする「日本」というのはどういう「日本」なのでしょうか。国民が政府に一致して従う国なのでしょうか。そういう政冶指導者の言動を若者が先走りし解釈しているのかも知れませんね。
大西 五郎
東京が五輪開催地に選ばれた瞬間、ネット上でも喜びの声が多数書き込まれた。
一方、喜ばない人ももちろん存在する。スポーツに興味がない人、直接の恩恵を受けない人、混雑が増すのがいやな人、東日本大震災の被災者に対する関心が薄れ、復興が遅れないか懸念する人。そして、原発事故で汚染水が漏れているのに、安倍晋三首相が「敷地内に完全にブロックされている」と断言したことに異議を唱える人だ。
脱原発を掲げて7月の参院選で初当選した山本太郎氏はブログで「仮設住宅で暮らしている人々に、選手村くらい心地よい住居を提供しろよ」と書いた。狭く、夏は暑くて冬寒い仮設暮らしの人がいまだにいることも忘れるな、と指摘したのだ。ネット上でこうした発言をすると、「非国民」という扱いになる。「祝賀ムードに水をさすな」ということだ。
ツイッターでは、「日本人なら東京五輪に反対する理由はないよな」「「」五輪は不必要」『原発を解決せずして何が五輪か』と言ってる人は、東京五輪、見るなよ!非国民め…」などのつぶやきがあった。
メディアの取材で、被災地の人が「五輪どころではない」といった趣旨の発言をしたことに、こんな意見が書き込まれた。「被災者は一体何様のつもりか!いつまで同情してほしいのか?国民が一丸となって招致したオリンピックをけなすとは被災者は非国民か?」(中略)
日ごろから、福島の人や米軍基地に反発する沖縄の人を「非国民」と呼ぶことが少なくないが、ネット上では大きな流れができつつある時、異論を徹底的につぶす傾向が強固になる。「日本が一つにになろうという時、「ちょっと待って…私たちのことも考えて」と言う声は、避難の渦にかき消されてしまうのだ。
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自分と違う意見に対しては直ちに反撃する。時には集中して攻撃が行われ、「炎上」するということは「ネットで何が…」でもよく取り上げられていましたが、「非国民」というレッテルを貼る攻撃に、戦争の時代を知っている私は、ここまできたかと背筋が寒くなるのを覚えました。
戦争中、政府や軍部、時には町内会の決定に異を唱えたり、疑問を呈するとその人の考え方は攻撃され、無理矢理戦争に協力することを表明させられました。その時に使われたのが「非国民」というレッテルでした。思想・信条の自由、言論・表現の自由を許さない社会でした。
今ネット上で、自分の考えが多数と思っている者がそれと異なる考え方や意見に対して「非国民」と罵倒しているようです。そういう人は若い人だと思いますが、「非国民」という黴の生えた言葉を持ち出して相手を攻撃する思想的背景は何なんでしょうか。
今、非正規の従業員が増え、若い人が自分の将来に希望が持てなくなっていると云われます。そういう不満が他人をみんなで攻撃することで、孤立感を解消しようとしているのでしょうか。
安倍首相は「日本をとり戻す」と云いますが、安陪首相がとり戻そうとする「日本」というのはどういう「日本」なのでしょうか。国民が政府に一致して従う国なのでしょうか。そういう政冶指導者の言動を若者が先走りし解釈しているのかも知れませんね。
大西 五郎