OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

マイルスがワンホーンでロックジャズ

2011-02-13 16:42:25 | Miles Davis

Miles Davis Bitches Brew Live (Columbia / Legacy)

またまた出ましたっ!

何故か今頃という、例の「ビッチェズ・ブリュー」再発プロジェクト(?)の関連商品なんですが、今回のウリは3曲の公式には未発表だったライプ音源で、それを強調するためにファクトリーシールの上から強引に貼られたシール(掲載画像参照)が、サイケおやじをイチコロに参らせたのは言うまでもありません。

そして実際に聴けば、これは納得する他は無い物凄さだったんですから!?!

☆1969年7月5日、ニューポートジャズ祭でのライプ録音
 01 Miles Runs The Voodoo Down
(fade in)
 02 Sanctuary
 03 It's About That Time ~ The Theme
 既に述べたとおり、これが今回の目玉で、メンバーはマイルス・デイビス(tp) 以下、チック・コリア(key)、デイヴ・ホランド(b)、ジャック・ディジョネット(ds) ということは、なんと珍しやっ! マイルス・デイビスのワンホーンカルテットによるライプ音源なんですねぇ~~♪
 しかもデーターを信じれば、あの「ビッチェズ・ブリュー」のスタジオレコーディングセッション直前という、極めてヤバイ時期だけに、自ずと興味が惹きつけられるのはロックジャズ愛好者の宿業というものでしょう。
 そして演奏は決して期待を裏切りませんっ!
 こんなに熱いマイルス・デイビスは久しぶりという感動さえ沸きあがるっ!
 と言っては大袈裟かもしれませんが、自分がバンマスという現実以上の解放感溢れる吹きまくりが最高ですよっ!
 さらにバックのリズム隊がジコチュウでありながら、きっちりと親分を盛り立てる姿勢も素晴らしく、ジャック・ディジョネットの大車輪ドラミングは言わずもがな、アグレッシヴに疾走するチッコ・コリア、どっしり構えたデイヴ・ホランドの意地悪さも侮れません。
 ですから結果的にメドレー形式で進んでいく演目の繋ぎ目が、マイルス・デイビスから発せられるフレーズと音の指示に従う場面での瞬間的な緊張感、さらに場面転換の鮮やかさが強烈な印象として残るのでしょう。
 ちなみに収録時間は3トラックで25分に満たないんですが、注記したようにフェードインによる途中からの始まりなので、これ以前のパートが本当に気になります。
 それと結果的にワンホーン編成での出演だとしたら、当時の相方だったウェイン・ショーターが既にレギュラーから抜けたという事実も至極重大かもしれません。
 これについては残された様々な音源から、同年秋の欧州巡業には参加という確認も出来ますから、まさに変化しつつあったマイルス・デイビスの音楽性と人間関係の記録としても、これは大きな意味を持つ演奏だと思います。
 しかし、それにしてもリズム隊の3人が作り出すロックジャズなウネリは圧巻!
 世間一般には、ど~しようもないボンクラな子分しか持てないリーダーが数多存在するわけですから、マイルス・デイビスは幸せ者でしょうねぇ。本当に羨ましくなるほどの熱い興奮が、ここに楽しめるというわけです。
 もちろん音質は良好なステレオミックス♪♪~♪
 何時の日か、完全版が登場する期待を持っています。

☆1970年8月29日、ワイト島でのライプ
 04 Directions
 05 Brew Live
 06 It's About That Time
 07 Sanctuary
 08 Spanish Key
 09 The Theme
 これはお馴染み、ワイト島フェスティバルに出演した時のライプ音源で、メンバーはマイスル・デイビス(tp) 以下、ゲイリー・バーツ(ss,as)、チック・コリア(key)、キース・ジャレット(key)、デイヴ・ホランド(b)、ジャック・ディジョネット(ds)、アイアート(per) からなる7人組ですが、やはり結果的に2人のキーボート奏者が強い存在感を示しています。
 もちろん演奏そのものはジャック・ディジョネットのドドスコビートが強引に自己主張する場面が目立ったりもしますが、マイルス・デイビスが新たに確立した俺流のロックジャズに絶対の自信があると言わんばかりのトランペットは、流石!
 そして暗躍するチック・コリアとキース・ジャレットの鬩ぎ合いが、演奏全体の流れの中でクッキリとした輪郭を描き、そこに他のメンバーが彩りを添えるという目論見が、唯一無二の新しいモダンジャズを形成している感じでしょうか。ゲイリー・バーツの奮闘も良い感じ♪♪~♪
 実はご存じのとおり、この音源は既に公式の映像版も出回っていますから、特に今更の再発は無意味だと思いますが、それでも最新のリマスター効果の所為で、楽器の分離が少しばかり向上し、それゆえに不思議な混濁感が強調されるという、妙な雰囲気が味わえるように思います。

ということで、結論として新たに価値があるのは最初の3曲だけですから値段も安く、ゲットしても後悔は無いでしょう。特にワイト島の音源を持っていない皆様ならば、こんな素敵な機会はありませんよ。

既に述べたように、音質的にも全く問題無く聴けますし、こうなったらガンガン、出し惜しみせずに未発表演奏を出してもらいたいと切望しています。

毒喰らわば、なんとやら!

そんな心境は、なにもマイルス・デイビスだけに対するものではありませんがっ!!?!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする