OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ロバート・ジョンソンに強迫観念

2011-02-14 16:24:26 | Blues

King Of The Delta Blues Singers / Robert Johnson (Columbia)

ブルースロック経由で本物の黒人ブルースに接したサイケおやじにとって、ロバート・ジョンソンは絶対に避けて通ることの出来ない存在でした。

なにしろエリック・クラプトンをはじめ、ほとんどのブルースロッカーが影響を受けたと語り、敬意を表しているのですから、これは聴かずに死ねるかの偉人!?

しかしロバート・ジョンソンは1930年代中頃からの2~3年間にレコーディングを残しただけで女に毒殺された(!?)と言われていますから、少なくとも昭和40年代の日本では一般的に知られた存在ではなく、実際、当時のラジオからロバート・ジョンソンの歌が聴けたという記憶はありません。

ところが前述したエリック・クラプトンが在籍するクリームの名演「Crossroads」がロバート・ジョンソンのオリジナル曲であったり、また昭和49年晩秋頃からの突如とした我国でのブルースブームにより、もしかしたらアルバート、フレディ、そしてB.B.の三大キングよりも強い存在感を示すに至ったようです。

それは今となっては信じ難い出来事かもしれませんが、なんとラジオでブルース専門の番組が放送されるまでになって、そこから流されるマディ・ウォーターズあたりの比較的知られたブルースマンさえも、ロバート・ジョンソンの影響下にあるという真相に目覚めてみれば、万難を排してレコードを買うしかないという心境に追い込まれ、そこで中古ながらゲットしたのが、本日ご紹介のLPでした。

 A-1 Crossroads Blues
 A-2 Terraplane Blues
 A-3 Come On In My Kitchen
 A-4 Walking Blues
 A-5 Last Fair Deal Gone Down
 A-6 32-20 Blues
 A-7 Kindhearted Woman Blues
 A-8 If I Has Possession Over Judgement Day
 B-1 Preaching Blues
 B-2 When You Got A Good Friend
 B-3 Rambling On My Mind
 B-4 Stones In My Passway
 B-5 Traveling Riverside Blues
 B-6 Milkcow's Calf Blues
 B-7 Me & The Devil Blues
 B-8 Hellbound On My Trail

ところが実際に針を落とし、端坐して鑑賞しても、これがさっぱり理解出来ません……。

まず活躍したのがSP時代でしたから、LPに纏められた音源にしても、基本的に音が悪く、しかもノイズがたっぷり……。

さらに個人的にはバンドサウンドのシカゴ系プルースやブルースロックの源という思い込みが強かった所為もあり、生ギターでの弾き語りと幾分甲高いロバート・ジョンソンの歌いっぷりに馴染めません。

もちろんアレンジも全くロックっぽいところなんか感じられず、う~ん……。

正直、これがどうしてエリック・クラプトンに!?

という疑問を打ち消せませんでしたねぇ。

なにしろ前述のラジオ番組で仕入れた情報によれば、革新的なスタイルだとか、唯一無二の絶対的な存在だとか、とにかく神様扱いなんですから、ますます自分の感性に疑問を持つばかりです。

まあ、今となってはロバート・ジョンソンだけを聴いていたのが間違いの第一歩と気がついているわけですが、確かに同時代に録音を残した他のブルースマンに比べれば、そのモダンなフィーリングというか、例えばギターの弾き方にしても、後年のR&Rに直結するビートが出ていると思います。

特にリズム楽器としてギターを使う、所謂リズムギターの中に低音弦によるベース音のアクセントを入れるという、ウォーキングベースのスタイルを明確にしたところは、完全にロック的なノリを出すポイントじゃないでしょうか。

またアコースティックのスライドにしても、弦を擦るタッチとリズム感が、あまり良好ではない録音でも見事に表現されているのがわかります。

そして肝心のボーカルが、ギターと相互作用という妙なスイング感に溢れているのも!?!?

このあたりは上手く文章にすることが出来ず、ちょいと悔しい気分ではありますが、それはロバート・ジョンソンの音楽が未だ、サイケおやじには理解不能な事の表れです。

このアルバムにしても、何度聴いたか知れないほどなんですが、実は心底、シビレた事が一度も無いんですよ。

しかし、それゆえに聴くという強迫観念があるのも、また事実……。

そうしたところが、ロバート・ジョンソンの魅力の一部なんでしょうか?

なんとか生きているうちに、感銘に震えたいと願っているのでした。

コメント (8)
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