OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

エルモ・ホープのネクラな美学

2007-10-28 17:11:23 | Weblog

某イベントで巨乳グラドルに曹禺♪ その後、なんとなく入った蕎麦屋が旨かった♪ というように偶然な幸運が重なる日もあるんですねぇ~♪

おまけに長らく探していたレコードが入ったという連絡まで♪

あまりにラッキーなんで、明日から、この揺り戻しが恐いという1日でした。そこで――

Introducing The Elmo Hope Trio (Blue Note)

エルモ・ホープはバド・パウエルの幼友達で、ともにクラシックピアノの修練を積んだ仲間ということで、ジャズに転じてからも共通のスタイルとスピリットを持っていたわけですが、エキセントリックなまでに自己を表現してスタアになったバド・パウエルに比べると、エルモ・ホープはネクラの美意識を貫いていたように感じます。

そういうところが、私には気になる存在なんですねぇ。ジャズ界で本格的に活動する以前にはR&B系の楽団で働いていたそうですが、そのわりには泥臭さが無いスマートなピアノスタイルも気に入っています。

ただしそれは、モダンジャズの中では地味なんですねぇ~。なんとなくセロニアス・モンクの影響が感じられるオリジナルの作曲とか、何処が山場なのか分かりかねるようなアドリブ展開も、???となる演奏が、けっこう残されています。

しかし当時のブッ飛んだ音楽であったモダンジャズに力を入れていたブルーノートが契約直後にリーダーセッションを持たせたのは、やはり優れた才能の証明だと思います。

このアルバムは、そこから作られた10吋LPで、録音は1953年6月18日、メンバーはエルモ・ホープ(p)、パーシー・ヒース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) というイノセントなビアノトリオですが、この3人はR&B楽団時代からの仲間ということで、気心も知れていたのでしょう。なかなかの快演が楽しめます――

A-1 Mo Is On
A-2 Sweet And Lovely
A-3 Happy Hour
A-4 Hot Sauce
B-1 Stars Over Marakech
B-2 Freffie
B-3 Carving The Rock
B-4 I Remember You

演目は、有名スタンダードの「A-2」と「B-4」を除いて、全てがエルモ・ホープのオリジナルですから、まず独特のテンションの高さが不思議な魅力の曲作りが味わえます。

ド頭の「Mo Is On」や「Hot Sauce」は超アップテンポでガンガン飛ばす真正ビバップを伝承していますし、ミョウチキリンなオリエンタルムードがアヤシイ「Stars Over Marakech」では、ドラムス&ベースも含めて、かなり緻密なアレンジが光ります。もちろんエルモ・ホープのピアノからは厳しいオーラが出まくっていると感じるのです。

またハードバップ直前というグイノリの「Happy Hour」や「Freffie」ではフィリー・ジョーとのコンビネーションも素晴らしく、全くゴキゲンですねぇ~~~♪ もちろんイントロからフィリー節が炸裂する「Carving The Rock」の豪快なノリも見事だと思います。

しかしそれでも、どこか内向したような雰囲気が漂うんですねぇ。そのあたりはスタンダード曲「Sweet And Lovely」の気分はロンリーという解釈、また「I Remember You」の諦めたようなノリや突き放したようなアドリブに顕著で、グッと惹きつけられます。

そして演目は全て3分前後ですが、全く隙が無さ過ぎて、親しみが持てないのも事実かと思います。

しかしフィリー・ジョーが独自のクッションを完成させる直前というか、真っ向から力勝負のドラミングを聞かせてくれるところは、大いなる魅力でしょう。ちなみにエルモ・ホープとフィリー・ジョーは本当に手が合うのか、あまり多くないエルモ・ホープの録音では共演していることが非常に多い仲のようです。

ということで、決して人気盤ではありませんが、ピアノトリオ盤としては傑作! というか真摯な姿勢のモダンジャズが、きっちりと記録されていると思います。それゆえに楽しくはないのですが、聴く度に気合が入ってしまうのでした。

そして冒頭に書いた「ネクラの美意識」について、このアルバムではそれほど表れていません。それは以降に吹き込まれるセッション毎に強まっていくと感じていますが、その意味で、ガツンと真正面から決意表明したかの様なここでの演奏は、一層、愛着が持てるのですが……。

コメント
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