OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ローランド・カーク・オールスタアズ

2007-10-04 17:15:32 | Weblog

老人向けのケイタイを借りてみたら、これが使いやすい!

キーボタンが大きいのが、まず良いです。バイク用のグローブをしていても、簡単に使えますねぇ~♪

やたらにメールとかも来ないし、デザインはシンプルだし、思い切って、これに機種変更しようと思ったら、登録がほとんど出来ないらしいので……。

全く帯に短し、なんとやらでした。

ということで、本日は――

Reeds & Deeds / Roland Kirk (Mercury)

ローランド・カークは身体にいろんな障害を持ちながら、それを音楽で克服していった人、と書くのは簡単ですが、並大抵の努力ではなかったでしょう。もちろん音楽的な感性にも優れた才能があったのです。

しかもやっている音楽は、ジャズをベースにしながらも、けっして難しいものではなく、むしろ大衆的です。実際の演奏の場では、ジャケ写からもわかるように、複数の管楽器を一度に鳴らしたり、盲目であることのハンデを逆手にとって観客を驚愕させたりする、ちょっとアザトイところもあるんですが、それはローランド・カークが生み出している音楽そのものを聴けば、驚嘆して納得するしかありません。

ですから、業界にも信奉者が多く、もちろん虜になっているファンも多いという人気者! 一時の中古盤市場では人気最高だったと言われているほどです。

さて、このアルバムはベニー・ゴルソンがアレンジで参画した上昇期の傑作です。メンバーはローランド・カーク(ts,stritch,manzello,fl,siren) 以下、バージル・ジョーンズ(tp)、ハロルド・メイバーン(p)、ウォルター・パーキンス(ds) を中心に、チャールス・グリーンリー(tb)、トム・マッキントッシュ(tb)、リチャード・デイビス(b)、アブラダ・ラフィック(b) が加わったオールスタアズ♪ 録音は1963年2月25&26日とされています――

A-1 Reeds & Deeds (1963年2月26日録音 / arr:Benny Golson)
 ローランド・カークが作り出す複数管同時吹きによるホーンのハーモニーと背後で蠢くリチャード・デイビスのベースで織り成すアンサンブルが、最高にグルーヴィです。
 アクセントを付けるバージル・ジョーンズのトランペットはアドリブパートでも快調で、幾分細い音色とフレーズの妙が楽しく、また大らかなトム・マッキントッシュのトロンボーンにも和みます。
 そしてローランド・カークのフルートが唸り声も含んだ独特の吹奏ですから、たまりません。歌心も申し分なく、極めて正統派でありながら、ユニークな音楽性が良く表れた演奏だと思います。
 ハロルド・メイバーンのビアノもスイングしまくって感度良好♪

A-2 Hey Ro (1963年2月25日録音)
 忙しなく落ち着きの無い演奏ですが、もちろん狙ったものでしょう。バンド全員が必死の有様ですが、ローランド・カークはストリッチというアルトとソプラノの中間みたいな音色を出す楽器で奮闘しています。

A-3 This Is Always (1963年2月26日録音 / arr:Benny Golson)
 一転して雰囲気満点♪ 美メロの有名スタンダードを素材に、ローランド・カークがじっくりとフルートを歌わせます♪ あぁ、この歌心の素晴らしさ! 感情表現の豊かさ! そこには自身の肉声も混ぜ込んだアドリブフレーズの面白さがあります。 
 繊細なリズム隊のスイング感やベニー・ゴルソンのアレンジも冴えていますから、ズバリ、このアルバムの目玉演奏です!

A-4 Song Of The Countrymen (1963年2月26日録音)
 スローで抽象的な演奏ですが、所々に聞いたことがあるようなメロディラインが滲みます。まろやかでダークな音色のテナーサックスは、まさにローランド・カークの真骨頂でしょう。
 そして中盤からは、一気にテンポを上げてグイノリにスイングしていくんですねぇ~♪ もちろん山場では複数管同時吹きの荒業も飛び出しますし、フリージャズっぽいノリや痙攣が止まらない曲芸的な吹奏も、嫌味になっていません。
 そこへ絡んでいくバージル・ジョーンズのトランペットやハロルド・メイバーンのビアノも、自分の役割を心得ているのでしょう。この快適さはクセになりそうです。

B-1 Limbo Boat (1963年2月25日録音)
 ラテンとゴスペルをゴッタ煮にしたテーマメロディとリズムパターンが、不思議な楽しさを醸し出しています。
 ローランド・カークは十八番の痙攣フレーズを出しまくりながら、ハードバップ感覚も大切にしたテナーサックスを聞かせてくれますが、もちろんトランペットやトロンボーンとの掛け合いやアンサンブルも大衆的な楽しさに満ちています。

B-2 Lonesome August Child (1963年2月25日録音)
 まるっきりセロニアス・モンクが書きそうな曲ですが、実はローランド・カークのオリジナル! 煮え切らない悲しみの表現があるようです。
 変態っぽいリズム隊とホーン陣のやりとりは、アドリブパートでクールなものに変質していきますから、やるせなさが残ります。特にローランド・カークがテナーサックスで大名演!

B-3 Land Of Peace (1963年2月25日録音)
 一転して軽快なハードバップで、快適なリズム隊にノセられたチャールズ・グリーンリーが素晴らしいトロンボーンを聞かせれば、バージル・ジョーンズも快演でしょう。
 そしてローランド・カークはテナーサックスで、どうにも止まらないという山本リンダ風のアドリブが、物凄いと思います! お約束の複数管同時吹きもやってくれますし、ハロルド・メイバーンが、これまた最高! ウォルター・パーキンスの調子良すぎるドラムスも、実に良いです。対決するホーンアンサンプルも楽しいですねぇ♪

B-4 Waltz Of The Friend (1963年2月25日録音)
 タイトルどおり、ワルツテンポのハードバップが、リラックスして演奏されていきます。ピリリと辛口のリズム隊も侮れません。
 ローランド・カークは独自に考案したといわれる各種管楽器を駆使してバラエティ色の強いアドリブを聞かせてくれますが、圧巻は口真似トロンボーンみたいなところです。なんと本職のチャールズ・グリーンリーと対決しているんですねぇ~~♪

ということで、実にモダンジャズの楽しさを押えた演奏だと思います。ジャズを聞きこんでいるほど、思わずニヤリとする仕掛けがいっぱい! こういう稚気というか遊び心を真剣にやってしまうのが、ローランド・カークの魅力だと思います。

ジャケ写のグロテスクな雰囲気とは裏腹に、正統派ジャズの面白さが詰まったアルバムです。

コメント
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