OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

痛快! フルバン対決

2007-10-14 15:25:19 | Weblog

気持ちの良い秋晴れになりましたが、どこへも出かけずにPCの前でサイトの更新作業に励みました。もちろん買いっぱなしだったCDも、あれこれ聴きましたが、やっばり昔の盤に手が伸びてしまいますね――

First Time ! / Duke Ellington & Count Basie (Columbia)

ジャズの世界の名物企画、バトル物もここまで来たか! というのが、このアルバムです。なにせ、デューク・エリントとカウント・ベイシーの2大人気ビックバンドが、ステレオ仕様で右と左に別れての対決なのですから!

一応、演目は両バンドの十八番と新作を4曲ずつ取上げ、エリントンとベイシーの両リーダーのピアノとフレディ・グリーンのギターは全曲に登場♪ そしてドラムスとベースがそれぞれ在団している持ちネタの曲を担当する配慮がなされています。

しかもセッション当時の両バンドは、まさに全盛期というか、バリバリに第一線で活動中でしたからメンバーも大充実! 例えばエリントン楽団にはキャット・アンダーソン(tp)、レイ・ナンス(tp,vil)、ローレンス・ブラウン(tb)、ジミー・ハミルトン(as,cl)、ジョニー・ホッジス(as)、ポール・ゴンザルベス(ts)、ハリー・カーネィ(bs) といった大御所が在団していました。そして一方のカウント・ベイシー楽団にも、サド・ジョーンズ(tp)、ソニー・コーン(tp)、フランク・ウェス(fl,ts,as)、フランク・フォスター(ts)、バド・ジョンソン(ts) という名手が揃っていたのです。

録音は1961年7月6日、左チャンネルにカウント・ベイシー楽団、右チャンネルにデューク・エリントン楽団が入った、一発セッションです――

A-1 Battle Royal
 豪華共演のド頭を飾るに相応しい景気の良い曲で、これはデューク・エリントンが書いた映画音楽だと言われています。
 リズム隊はエリントン楽団からアーロン・ペルとサム・ウッドヤードが担当していますが、フレディ・グリーンのギターが入っていますから、一味違います♪ いきなり左チャンネルで刻まれる快適なリズムギターは本当にゴキゲンですねぇ~♪
 そこに絡んでいくブラス&リード陣も歯切れ良くてグルーヴィ! フルバンの魅力とジャズの醍醐味が堪能出来ますし、フランク・ウェス、ジョニー・ホッジス、レイ・ナンス、ジミー・ハミルトン、フランク・フォスター、ハリー・カーネィ等々、次々と繰り出されるアドリブの輝きも絶品です。
 そしてデューク・エリントンとカウント・ベイシーが各々のピアノで場を引き締めれば、クライマックスはサム・ウッドヤード対ソニー・ペインのドラム合戦! 当に嵐を呼ぶ男の対決が強烈なホーンの咆哮で燃え上がるのでした。

A-2 To You
 サド・ジョーンズの作編曲によるベイシー楽団の十八番のひとつが、エリントン楽団の参加によって、ますます豊かな響きをなった珠玉の演奏が楽しめます。ゆったりしたテンポをグッとスイングさせるフレディ・グリーンのギターも良いですねぇ♪
 ミュートのトロンボーンはクェンティ・ジャクソンかと思われますが、バンドアンサンブルが全てという名演!

A-3 Take The“A”Train
 エリントン楽団のというよりも、説明不要の大スタンダードですから、ここでの楽しい演奏は保証付き♪ まずはベイシーとエリントンによる洒脱なスイング感に溢れたピアノアンサンブルが素晴らしく、続くテーマの合奏は両バンドの特徴が良く出たノリになっています。
 アドリブパートはソニー・コーンとレイ・ナンスのトランペット対決、さらにジミー・ハミルトンのオトボケクラリネットとバド・ジョンソンの豪快なテナーサックスが最高のコントラストをつけて、演奏は大団円を迎えるのでした。

A-4 Until I Met You
 フレディ・グリーンが書いた畢生の大名曲「Corner Pocket」と同じ曲ですから、たまりません♪ 快適なカウント・ベイシーのピアノのイントロに合の手を入れるデューク・エリントンのセンスの良さ♪ それとフレディ・グリーンの天才的なリズムギターの妙! これがジャズだと思います。
 もちろん演奏にはフルバンの魅力がたっぷりで、アドリブソロはデューク・エリントン側のトランペッター、ウィリー・クックが、あの「お約束」のフレーズを演じてくれますから、思わずニンマリです♪ う~ん、何度聴いても気持ち良いバンドアンサンブルは絶品ですねぇ~♪
 終盤のドロ臭いテナーサックスはポール・コンザルペスかと思われますが、これまた魅力たっぷりです。
 
B-1 Wild Man
 これもデューク・エリントンが書いた映画音楽からの新曲で、エリントン楽団が十八番の手法がたっぷりと味わえます。速いテンポのラテンビートで対決するフランク・ウェスのフルートとジミー・ハミルトンのクラリネットが快感ですねぇ♪
 そして4ビートに移ってからはグイノリのド迫力演奏となり、ジョニー・ホッジスの見事なアルトサックス、サド・ジョーンズとキャット・アンダーソンのトランペット対決と、手に汗握る展開が楽しめます。
 またフランク・フォスターとポール・ゴンザルベスの対決も全く熱い!

B-2 Segue In C
 リズム隊だけのイントロから完全なベイシーバンドスタイルが堪能出来る名演で、もちろんフレディ・グリーンのギターが最高! そこへ乱入してくるデューク・エリントンのピアノも流石です。
 そしてフランク・ウェスの一芸主義のフルートが素晴らしく、またバド・ジョンソンの余裕綽々というテナーサックスが、実にグルーヴィ♪ バックのバンドアンサンブルも、本当にたまりません。これは思わず「イェ~~♪」の世界ですねっ!
 しかも後半になるとエリントン楽団がアンサンブルをリードしていくという、これまた素晴らしい展開には、涙ウルウルの世界でしょう。これぞジャズ、全く素晴らしいです。
 
B-3 B.D.B
 デューク・エリントン楽団の代貸し的存在のビリー・ストレイホーン(arr,p) が、このセッションの為に書き下ろした新曲です。
 まずグルーヴィなビートにノッたエリントン&ベイシーのピアノが「間」の芸術品! ふくよかなサックスアンサンブル主体のバンド演奏も素晴らしいです。

B-4 Jumpin' At Woodside
 オーラスはベイシー楽団が十八番の大興奮曲ですから、ここでの対決演奏にはぴったりの演目です。カウント・ベイシーのピアノイントロは何時ものブギウギ調ですし、アドリブ先発は豪快なフランク・フォスターのテナーサックスが務めるあたりは安心感がありますが、デューク・エリントン楽団側の絡みが半端ではありませんから、熱くなります。
 ポール・コンザルペスとのテナーバトルは大団円に相応しい熱気があります。

ということで、これはタイトルどおり、たった一度の逢瀬です。それゆえ貴重でもあり、豪快な楽しさに満ちておりますが、両バンドのコアなファンからは忌み嫌われているというのは、本当でしょうか?

まあ、私のような者にとっては単純に楽しめる名盤になっているのでした。当に大手レコード会社ならではのヒット企画で、CDも出ていますから、車中でも大音量で聴くと、ブッ飛んでしまいます。

コメント
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