OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ショーター魔術

2007-10-25 17:13:51 | Weblog

今日は近日開業予定の巨大ショッピングセンターに行きました。駐車場が五千台のスペースということなんですが、なんと帰りになったら、自分の車を止めた場所が分からなくなってしまった……。

う~ん、自分の車の場所が直ぐに分かるようにしてくれぇ~。と、要望はだしておきましたが……。

ということで、本日は――

JuJu / Wayne Shorter (Blue Note)

昨日がジョー・ザビヌルなら、本日はウェイン・ショーターというのが、お約束! かどうかは知らないですが、とにかく急に聴きたくなったのが、このアルバムです。

録音は1964年8月3日、ということは、ウェイン・ショーター(ts) がジャズメッセンジャーズからマイルス・デイビスのバンドに移籍する微妙な時期の演奏で、共演者はマッコイ・タイナー(p)、レジー・ワークマン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) という、これは全くジョン・コルトレーン(ts) のバンドレギュラーを起用したワンホーンセッション! つまり当時のジャズ界で最も熱かったジョン・コルトレーンの演奏スタイルに真っ向から挑戦した企画であることが、ミエミエです。しかも全曲がウェイン・ショーターのオリジナルなんですから――

A-1 Ju Ju
 一応ワルツテンポなんでしょうが、エルビン・ジョーンズがポリリズムで熱いビートを敲きまくりなんで、ハナからケツまで暴虐の渦! アドリブ先発のマッコイ・タイナーが飛び出すと、そこはジョン・コルトレーンのバンドになるかと思いきや、これは間違いなくウェイン・ショーターの色合が強いと感じます。
 もちろんウェイン・ショーターのテナーサックスからは、絞り出した音符過多フレーズが洪水状態なんですが、どこか軽いフットワークのようなものが滲ます。
 ちなみに曲タイトルは、アフリカの呪術からとされていますが、そう言われるとエルビン・ジョーンズのドラムソロが土人のリズムに聞こえてくるのは、私だけでしょうか……。

A-2 Diluge
 勿体ぶった曲頭から、粘っこくてヘヴィな4ビートが炸裂していく脂っこい演奏です。エルビン・ジョーンズ、最高♪
 しかしウェイン・ショーターは闇雲にジョン・コルトレーンにはなっておらず、あくまでも不思議な存在感を示すアドリブフレーズは、唯一無二の個性でしょう。あぁ、この脱力感覚……♪ 聴いているうちに地獄巡り!
 ですからマッコイ・タイナーのアドリブパートになると、素直にジョン・コルトレーンの物真似大会のような安心感で、癒されますね。

A-3 House Of Jade
 如何にもウェイン・ショーターらしい、安らぎと緊張感がマゼコゼになったスロー曲です。このメロディの感性こそが、ショーターマニアには夢のひとときじゃないでしょうか。上滑りしていくような独特の浮遊感が、私は大好きです。
 それはアドリブパートに入ると、力強いリズム隊によってグングンと増幅され、ウェイン・ショーターのアドリブメロディも冴えまくり♪ 私は、ちっとも古さを感じません。

B-1 Mahjong
 タイトルはスバリ、麻雀です♪
 卓を囲む4人の熱気と和気アイアイとした緊張感が、上手く表現されたテーマメロディには、もちろん中華色が付いています♪ オリエンタルなリズムパターンと4ビートの交錯も、実に良い雰囲気です。
 そしてアドリブ先発のマッコイ・タイナーは、随所で牌を掻き混ぜるようなフレーズを入れたりしますが、それは私の思い込みでしょうかねぇ。
 また様子を見ているようなアドリブの入り方をするウェイン・ショーターも、全体では素晴らしい構成力を発揮! 一聴、奇怪なフレーズばかりのようですが、それがショーターマニア悶絶の乱れ打ちというか、たまりません♪

B-2 Yes Or No
 アップテンポで強烈な突進力を発揮した演奏で、このアルバムの中では一番、ジョン・コルトレーンに接近した仕上がりになっています。
 しかしそこには闇雲な破壊衝動のような展開は無く、むしろロックっぽいスピード感が心地良いところ♪ う~ん、何故、こう感じてしまうのか、自分について不思議に思うんですが、まあ妙なイズムをブチあげる必要もなく、素直に楽しんで良いのがウェンイ・ショーターなんでしょう……?
 シャープでヘヴィなリズム隊の頑張りと遠慮しない姿勢が快演に繋がったのは、ご存知のとおり! マッコイ・タイナーの浮かれたような調子とか、ついつい突っ込んでしまうレジー・ワークマンも微笑ましいのでした。

B-3 Twelve More Bars To Go
 オーラスは私の大好きな曲で、ちょっとオトボケ調のテーマとズンドコ系ポリリズムのマッチングが最高だと思います。もちろんウェイン・ショーターは脱力したようなキメをフレーズ展開の随所に入れ、またリズム隊のスイング感にも、お気楽なムードが♪
 まあ、こんな書き方をするのは邪道かもしれませんが、こうした脱力感と重量感の両立こそ、ウェイン・ショーターが独特の持ち味で、私が一番好きなところ♪ グッと感情移入してしまいます。

ということで、ウダウダと屁理屈ばっかり書いてしまいましたが、ウェイン・ショーターの音楽に、それは必要ないのが本当のところでしょう。

まず聴いて、感じる! 泉のように湧き出る独特の感性に彩られたアドリブメロディは、虜になったら、もうこれでなければ満足出来ない世界です。

コメント
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