OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

イイ雰囲気の1枚

2007-10-21 16:28:45 | Weblog

午前中は忙しく、午後は嬉しくも暇が出来たという、本当の休日でした。それにしても、なんだか寒くなりましたね。この間までの蝉の声が虫の声に変わったことに気がつきました。

ということで、本日は心温まるアルバムを――

■Cliff Jordan (Blue Note)

これはジャズに限りませんが、雰囲気が好き! というアルバムは確かにあると思います。

で、私にとっては、これがそうした1枚♪

リーダーはクリフ・ジョーダンという黒人テナーサックス奏者とされていますが、ジャケットには参加したメンバーの名前を列記され、アルバムタイトルが特に付けられていないあたりも、意味深!

録音は1957年6月2日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ジョン・ジェンキンス(as)、クリフ・ジョーダン(ts)、カーティス・フラー(tb)、レイ・ブライアント(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という味わい深い面々です。そして演奏はジャムセッション色が濃く、しかし一種独特の雰囲気があって、そこに私は惹かれるのですが、それはホノボノとしてブルーなムード♪ 決してゴリゴリでもギンギンでもないハードバップが楽しめます――

A-1 Not Guilty
 クリフ・ジョーダンのオリジナルで、このホノボノとした雰囲気のテーマメロディと合奏が、たまらなく良い感じ♪ ミディアムテンポで、ちょっとユルいノリがクセになります。
 クリフ・ジョーダンのテナーサックスは、決して超一流ではありませんが、捨てがたい味わいがあって、この曲のアドリブにはリラックスした魅力がいっぱいです。グレーな音色と滑らかなフレーズに和みます。
 そして続くカーティス・フラーが、そよ風のような、これもリラックスムード♪ 持ち味のハスキーな音色がほど良く馴染んでいます。強力なリズム隊との相性も絶妙でしょうか。
 さらにジャッキー・マクリーンにクリソツなジョン・ジェンキンスのアルトサックスも憎めません。チャーリー・パーカー直系というよりも、モロにコピーしたフレーズの連発が、逆に潔いところです。
 それとレイ・ブライアントが、やっぱり魅力的♪ 力強いピアノタッチと小粋なスイング感にグッときます。背後で淡々と4ビートをウォーキングするポール・チェンバースも流石の存在感で、もちろんアドリブも抜かりありません。

A-2 St. John
 ジョン・ジェンキスが書いた幾何学的なハードバップ曲ながら、このメンツならではの迫力と和み感の両立が素晴らしい演奏です。
 アドリブの先発はジョン・ジェンキンスが立派にパーカーフレーズを蘇えらせれば、カーティス・フラーはハスキー節に加えて、烈しいツッコミを聞かせてくれますが、やや燻り気味……。
 しかし次に登場するリー・モーガンが若さ溢れるブリリアントなアドリブで場を圧倒します! あぁ、この時、モーガン若干18歳! まさに天才と言う他ありません。
 ですから、続くクリフ・ジョーダンが、またまた燻り感覚を増幅させてしまいますが、この人にそれが似合っているというか、独特のグレーなトーンで吹かれるアドリブには、妙に気持ちが揺れ動いてしまうのでした。

B-1 Blue Shoes
 カーティス・フラーが書いたファンキーな隠れ名曲! 全体に横溢するブルーな雰囲気はタイトルに偽りなしで、もちろんアドリブ先発のカーティス・フラーは大名演を聞かせてくれます。ガッチリ録音されたアート・ティラーのシンバルとスネアのコンビネーションも、グルーヴィなグイノリが最高です。
 そしてクリフ・ジョーダンが絶妙な「泣き」を入れた、これまた絶好調のアドリブを聞かせてくれるんですねぇ~♪ すると続け泣き出すのが、ジョン・ジェンキンスというわけです。
 あぁ、これぞジャズの醍醐味! 決して歴史的に云々される演奏ではありませんが、こういう味わいは、一度虜になると抜け出すのに苦労します。
 まあ、なにもワザワザ苦労することもないわけですが、ポール・チェンバースのベースソロからレイ・ブライアントのピアノに入っていくアドリブの受渡しにしても、モダンジャズ全盛期の自然体が最高という仕上がりだと思います。

B-2 Beyond The Blue Horizon
 些か迷い道のイントロはレイ・ブライアントの悪いクセかもしれませんが、軽快なテンポでテーマを吹奏し、そのままアドリブに傾れ込んでいくクリフ・ジョーダンの快調さが全てという演奏です。
 安定したアップテンポの4ビートを提供するリズム隊には、当たり前の凄さがあり、続けて登場するリー・モーガンには呆れるほどの輝きがありますから、これが当時の勢いなのでしょう。逆にリズム隊が引っ張られてしまうところも、笑えません。
 そしてカーティス・フラーが必死の熱演! かなり速いフレーズを連発しているあたりも珍しく、しかし悠々自適なノリを忘れられていません。
 そして、さらに熱いのがジョン・ジェンキンス! ジャッキー・マクリーンよりも、もっとチャーリー・パーカーに傾いた演奏は素直で好感が持てます。
 終盤でのアート・テイラーはブチキレ寸前♪

B-3 Ju-Bu
 オーラスはリー・モーガンが書いたファンキーな名曲・名演です。ミュートでテーマからアドリブに入っていくトランペットの輝きには、本当にグッときます。ミディアムテンポのグルーヴィな雰囲気を作り出すリズム隊も素晴らしいですねぇ~♪
 するとクリフ・ジョーダンが気合の入ったテナーサックスで、異様とも思える低音域のサブトーンを披露してくれます。もう音が歪んでいるほどなんですが、それゆえに私は大好き♪ これが聴きたくて、この盤を取り出すのが私の真相です。

ということで、特にB面を愛聴しています。

ちなみにオリジナルのカタログ番号は「1565」ですが、誰も同じ様な立場のハンク・モブレー盤「1568」ほどにチヤホヤしていませんね。まあ、それもムベなるかな……。

しかし雰囲気の良さは捨てがたいです。ジャズ喫茶でリクエストするならB面をオススメ致します。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする