OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

清々しい重量音

2007-10-15 16:07:10 | Weblog

つい、この前までは相撲協会が悪者扱いでしたが、今や亀田一家がその座を奪っていますね。

確かにあんな悪辣非道なことは、許されるはずもありません。

正直言えば、プロは反則も技の内だと思うのですが、あの堂々としたところは、その意味でプロ失格! 出来もしない「切腹」と言い出したあたりから、妙な勝負になると思っていましたが……。

やはり腰抜けの証明をやってしまった亀田一家には、出直しを期待するのが本当のところなんでしょうか? いや、潔く身を引くべきか?

ということで、本日はモヤモヤをブッ飛ばす、これを――

Heavy Sounds / Elvin Jones & Richard Davis (Impulse!)

そのものスバリのタイトルが、なんとも凄いです。

もうもうたる紫煙に包まれた2人の黒人というジャケ写も恐いですが、これこそエルビン・ジョーンズとリチャード・デイビスという硬派な猛者の印象でしょう。

このアルバムは1968年に録音されたジャズ喫茶の人気盤で、メンバーはエルビン・ジョーンズ(ds,g)、リチャード・デイビス(b)、フランク・フォスター(ts)、ビリー・グリーン(p) というワンホーンカルテットです。

もちろんこれはエルビン・ジョーンズが以前に大活躍していたジョン・コルトレーン(ts) のバンドと同じ編成ですから、ファンならばどうしても、それ風の演奏を期待してしまうのですが、時代は1968年というのがミソ! 単にモードでバリバリ突っ込むばかりじゃなく、シンプルで黒っぽいグルーヴやグッと心に入り込む安らぎ、さらには恐くて突き放したような自己満足的表現が、徹底されています――

A-1 Ramunchy Riat
 フランク・フォスターが書いた真っ黒なR&Bジャズの傑作曲で、8ビートを粘っこくポリリズムでブッ叩くエルビンジョーンズの恐いドラムス、アクの強いリフを弾きながら異次元にリスナーを引き込むリチャード・デイビスのベースワークが、まず強烈です。
 1970年代のジャズ喫茶では、この、ぶ~んと唸って始る強烈なリフが鳴り響いた瞬間、ある者は飾れたジャケットを眺め、またある者は安らかな眠りから覚めてグルーヴ地獄に落ち、そしてまたある者は心底真っ黒な演奏に酔わされました。
 作者のフランク・フォスターはカウント・ベイシー楽団での大活躍も有名ですから、そのスタイルはビバップ~モダンスイングと思われがちですが、実はジョン・コルトレーン流の音符過多なモード手法、あるいは激烈ファンクなロックノリも得意という実力派! ここでも良い感じの力みが最高です♪
 そして烈しく斬り込んでくるエルビン・ジョーンズのヤケッパチなドラムス! 全く熱いです。もちろんリチャード・デイビスの執拗な絡みとリフのコンビネーションも素晴らしく、ベースソロもアルバムタイトルに恥じないド迫力です。
 またピアニストのビル・グリーンは、あまり知られていませんが、縁の下の力持ちという堅実派で好感が持てます。
 あぁ、何度聴いても熱くさせられる名演ですねぇ~~~♪

A-2 Shiny Stocking
 これもファンク・フォスターのオリジナルで、今やスタンタード化した大名曲♪ ここでの演奏もモダンで洒落たフィーリングが大切にされていますが、リチャード・デイビスのベースが一筋縄ではいきません。
 ストレートにテーマを吹奏するフランク・フォスターをしっかり支えるエルビン・ジョーンズのブラシが粘っこく、唯我独尊に蠢くリチャード・デイビスのベースが渾然一体となっています。
 これも同曲の決定的なバージョンのひとつかもしれません。

A-3 M.E.
 ビル・グリーンが書いた調子良すぎる隠れ名曲♪ タイトルどおりにヘヴィな演奏が続いた後の清涼剤というか、実はこれを聞きたいファンが一番多いのじゃないでしょうか。
 当に楽しいモダンジャズの典型で、アドリブパートはビル・グリーンのハキハキしたピアノだけなんですが、背後で暴れるエルビン・ジョーンズや基本に忠実なリチャード・デイビスが貫禄を示しています。
 あぁ、演奏時間の短さが……、残念!

B-1 Summertime
 あまりにも有名なスタンダード曲が、エルビン・ジョーンズとリチャード・デイビスのデュオで演じられた決定的な名演です。初っ端から不気味さを響かせるエルビン・ジョーンズのドラミングとリチャード・デイビスのアルコ弾きは、心底、恐いです。
 そして演奏は粘っこい雰囲気の中で抽象的に展開されていきますから、聴いていて疲れます……。ヤバイなぁ……。
 しかし我慢して聞いていると、それが心地良い疲労感に変わっていくんですねぇ~♪ はっきり言えば素直じゃないんですが、名演に変わりなし!

B-2 Elvin's Guitar Blues
 前曲で疲れきったところへ鳴り響いてくるアコースティックギターは、あぁ、ぶる~す!
 これはタイトルどおり、エルビン・ジョーンズが自作自演していますが、黒~い雰囲気になったところで登場するのが、クールに熱いフランク・フォスターの骨太テナーサックスですから、たまりません。エルビン・ジョーンズも自然体でドラマーに戻り、ブラシでバンドをグルーヴさせていきます。
 かなり自由度の高いベースワークはりチャード・デイビスの十八番ですし、影のように寄り添うビル・グリーンの控えめな伴奏も素敵だと思います。

B-3 Hear's That Rainy Day
 オーラスは和み系スタンダード曲ながら、いきなりシャープすぎるエルビン・ジョーンズのブラシ! しかしその後は、ゆったりしたテンポでじっくりと演奏が展開されていきます。
 魅惑のテーマメロディを、時には過激に、あるいは優しく変奏していくフランク・フォスターは、流石の実力を存分に発揮しています。ジョン・コルトレーンと似て非なるところが、実に良いですねぇ~♪
 バラバラをやっていながら、バンド全体がひとつのグルーヴに収斂していくあたりも、最高だと思います。

ということで、聴くほどに虜になる名盤だと思います。ジャズ喫茶では、もちろんA面が大定番でした。しかし入手して自宅で聴くと、B面が実に良い雰囲気なんですねぇ~♪

タイトルは重々しいですが、エルビン・ジョーンズは土台が保守派という証明のような仕上がりですから、ちょっと硬派なフィーリングを求めて聴けば、尚更に気分爽快です。

コメント
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