松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

金と銀の差

2021-07-29 09:50:45 | 日記・エッセイ・コラム
 メダリストに直後、インタビューするんだけど。あの質問はやめた方がいい。「テレビの前で声援を送っている日本の皆さんに、ひと言お願いできますか」 今終わったばかりで、まだ息を整えてもいない、頭がフラフラの状態の人に、その質問は酷だろう。インタビュアーは、物語を作りたがる。素直に正直に、今メダリストの頭に浮かんでいる景色、それを引き出せるかい、キミは。

 あとね。日本語の弱点なんだけど、「キン」だか「ギン」だか分からない。力を込めれば込めるほど「銀」になる。ここんところを、あまり力んじゃ、いかんよ。おまえ、アナウンサーだろう。しっかりしろよ。

 鉱物としての輝きの中で、私は黄銅鉱が一番好きだ。あの赤味がかった黄金色に神秘を感じる。昔は金も銀も価値があった。しかしオリンピックでの金と銀は雲泥の差がある。特に本家のJUDOでは銀は負けに値する。2番じゃ、イケませんか。イケませんな。

 オリンピックのJUDOに、わだかまりを持つ評論家がいる。勢古浩爾という。世界に柔道を広げたいがために譲歩を重ね、ついに膝を着いたままで相手を転がせば1本という境地まで来た。オレも常々思っていたよ。袖を絞ったりね。

 伝統って、何だろうね。ここまで崩して広げるのが伝統か。世界中の柔道家が、畳の上で礼を尽くす姿は誇らしい。しかしオレの価値観は、この人と同じだ。非常に「スッキリ」する。読んでいると。
 同じ思いをしている人が、日本列島に1人居た。そのことが、うれしい。


  
「白鵬で大相撲が廃れていく」勢古浩爾
コメント (3)
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