テレビがあんまりつまらないので、昔のドラマを見ている。
織田裕二が司馬先生という外科医の話だ。ライバルは石川先生。アメリカの大学から
招へいした優秀な先生だ。しかし司馬はテクニックで石川を上回るが、評判はすこぶる
悪い。死に神とあだ名されるように、大学病院時代に担当した患者が次々死んでいる、
ということが分かってくる。脇役は千堂あきほ、いい女だったがあれから見ない。
貴島サリオもいがったなあ。それはともかく、なぜ最も優秀なドラマかというと、
なにしろ面白い。お医者さんに言わせると、欠点はいろいろあろうが、
ドラマとしてはすこぶる良くできている。なにより織田裕二のハードボイルドな
人間味がいい。今ではチャラチャラした役が多いが、シリアスな顔は天下一品だ。
リーゼントで決めたために、両耳がダンボになった精悍な顔で相手をにらむ。
目ぢからが凄い。充血している。
かなり前の作品で、画面が荒い。携帯も出てこない。ポケベルの時代だ。
しかし音楽は音もいいし、あのチャゲ・アスの「YAH・YAH・YAH」だ。ドラマ自体もステレオに
なっている。なぜ、今ステレオで放送しないのか不思議だ。日曜の笑点くらいかもしれない。
これを今、BSフジで月曜にやっていてもう11話までいった。
ビデオにも録画済みだが、あらためて円盤に録画している。なんと難儀なことでしょう。
しかしそうまでして見る価値がある素晴らしいドラマだ。面白すぎて一話でやめられない。
2~3話づつ見ている。あしたまで取っておくのがつらい。役者、ストーリー、絵、効果音、
どれをとっても素晴らしい。画質ではない。フルハイビジョンになろうが、3Dになろうが
これにはかなわない。ストーリーが頭に入っているが、あらためて見ても面白い。
オレが知ってるハードボイルドでは「カサブランカ」に並ぶ。これをハードボイルドといふ。
日本人はハードボイルドを誤解しているようだが、精神面のタフネスさを言う。
タフでクール。感情を表に出さない。そういう種類の人間愛。
ヒューマニズムとは一線を画す。
石川先生は典型的なヒューマニストだ。いや、えせヒューマニストと言うべきか。
動脈破裂の危険を犯して、大事な約束を果たしにいこうとする会社社長を止めにかかる。
「ぼくらは第一にクランケの命を考えるべきだ」と食い下がる石川。
司馬は「えせヒューマニストが」と切り捨てる。「向こうの都合だってあるんだ。
オペしてほしくない患者だっているんだ、世の中には」と答える。
この社長は自分の命と、社員が路頭に迷う姿を天秤に掛けたのだ。
会合は順調に進んだが、ショック状態でオペ室に戻ってくる。
そこは天才外科医の司馬だから、なんとか処置をし、謝礼の札束を悠然と受け取る。
司馬と鹿賀丈史扮する外科部長とのカラミも絶妙だ。
ただ、演出が毎回変わるのだ。
若松節朗から始まり、河野圭太と代わる代わるやり
はたまた違う人物が出てくる。
いったい何が起きたんだろう。
ただ一つ、事件は現場で起きているんだ、ということは間違いない。
それでも言えることは、これ以上のドラマをボクは知らない、ということだ。
ps.絵と文章はなんの関係もございません。
上は去年来た、北前船。
下はまだ開通していない道路なので、危ない目には遭いません。
この先は砂利道で、風車のあるマリーナの近くにつながる。