今日は「アルル」でのゴッホ
と、昨日言いましたが・・・・ もう少し パリでの話を続けます。
ゴッホが浮世絵に関心を持ち、模写を繰り返します。
No.2 でも紹介しましたが…
特に、ヨーロッパの画家たちの驚きは その構図の大胆さ。
空白の妙、 グラデ―ション
そして「雨」を線で描いたことだった~
これは日本人 特有の表現
浮世絵 歌川広重の「大はしあたかの夕立」という1枚
ゴッホも衝撃を受けて これを模写しました。
日本美術が印象派の目覚めを促したのです。
さらに、ゴッホはジャポニズムの作品として
「タンギー爺さん」を、2枚描いています。
(1点が個人蔵、1点がロダン美術館所蔵です)
画中背景に、いろいろな浮世絵が模写されている
タンギー爺さんは、ジュリアン・タンギーといい、パリで画材屋の店主兼
画商をしていました。
この店には、売れない画家たち(当時)
ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンたちのたまり場
爺さんは彼らにどんどん絵の具をツケで売り、そのツケが返せないと
画家たちは自分の絵を置いていきました。
『今なら、小さな国家予算に匹敵するような価格に高騰している
彼らの作品ですぞ‥‥しかし、爺さんが亡くなった後、それらの作品は
オークションを通じて売却され本当に涙が出るような価格で落札された
という記録が残っています。』
ゴッホがパリに憧れ、パリでの生活は
描いても描いても…売れない絵
ゴッホはたった一人、絵を見てくれる人いました。弟のテオです。
テオから金銭的な支援を受けながら、自分のため、そしてテオに絵を
みてもらうために絵を描いていました。
今回のゴッホ展での、このパリ時代の作品は少なく
(クレラー=ミュラー 美術館収蔵品が少ない
特に、収蔵作品は「ゴッホ美術館」に集中しています。)
また、ゴッホは自画像を生涯40数点描いていますが、そのほとんどが
ゴッホ美術館蔵です。
その憧れのパリ・・・
ちょっと時間を戻して~
もう数年前になりりますが、ひょんなことから映画を見る機会が
あって、それもタイトルが「パリよ、永遠に」でした。
1944年、最後に連合軍が「パリ解放」をかけて押し寄せてきたとき、
ヒトラーが「パリに火を放て」と命令します。
「奪われくらいなら、自分のものであるうちに全部燃やし尽くしてしまえ」
という、非道な指令をしたのです。
けれども、、ナチスのコルティッツ大将が
「できない。何故ならパリは美しすぎるから」と拒否した…
と、伝えられています。 伝説化されたきらいはありますが…
この映画は、ドキメント…美しいパリの街が今日残っているのは
20世紀の奇跡?
誰の手を下すことができなかった…凄いですねぇ~。
だから、世界中からあらゆるジャンルの芸術家が一度は訪れる?
そんなパリの奇跡のシーン知ることになり
ちょうどゴッホの本を読んでいたので、自分がパリで生活?
してるような気分に… 横道でした。
パリの普遍的な美しさは?
19世紀後半のパリでは万博が何度も開催されましました。
パリは長きにわたり芸術の都でもあり続けてきました。
誰もが「パリだ、パリだ」と。
それほどまでにパリは魅力的な都市でした。
現在のパリの街の原型が作られたのは・・・
19世紀の「パり大改造」でした。
ナポレオン3世の 構想のもと、セーヌ県知事ジョルジュ・オスマンが
行った都市整備事業です。
エトワール凱旋門から放射状に12本の大通りが設置されました。
スラムが一掃され、整備されたパリの街は「世界の首都」と呼ばれ
都市建設の手本ともいわれました。
なのに、ゴッホは パリを離れるのですね。
ここで「ゴッホ作品」から離れて・・・
「クレラー=ミュラー美術館」に収蔵されている
ヘレーネ婦人の愛した芸術家たち~
と、題しての作品が展示されてました。
その中からご紹介します。
「静物(プリムローズ、洋梨、ザクロ)」
アンリ・ファンタン・ラトウール
「カフェにて」 ピエール=オーギュスト・ルノワール
「2月、日の出、バザンクール」 カミューユ・ピサロ
「ポール=アン=ベッサンの日曜日」 ジョルジュ・スーラ
「ポルトリューの灯台、作品183」 ポール・シニヤック
「黄昏」 アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド
「花嫁」 ヨハン・トルン・ブリッケル
「キュクロプス」 オディロン・ルドン
「キャベツのある静物」 ジェームス・アンソール
「トランプ札とサイフォン瓶」 フアン・グリス
「菱形の中の静物」 ジョルジュ・ブラック
「グリッドのあるコンポジション:菱形、色彩のコンポジション」
ピート・モンドリアン
如何でしたか?
写生主義の画家から、キュビスムまで・・・
ヘレーネ夫人の情熱、審美眼の素晴らしさ~
一つの美術館からこれほど大量に展示される機会なんて、
滅多にはありません。 本当にいい企画でした。
さて、明日は、いよいよ
「 アルル~サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ」の
作品の紹介です。