いよいよ館内に入りました。
これからが本番、例の「メトロポリタン美術館と警備員の私」
主人公の館内ガイダンスから日常生活の動きを追いかけていきます。
「警備員のブリングリーは勤務初日。
やがて一人の女性が私の方へやって来た。
私に仕事を教えてくれるアーダという警備員。廊下に連れ出し二階まで登っていく。
左右の部屋を見ながら(そこには各時代の名画が、入れ代わり立ち代わり現れる)
アーダは歩き出し~ラファエロの「コロンナの祭壇画」の前に立ち止まる。
絵の前で、「ここが私たちの最初の持ち場、持ち場C」とアーダが告げる。
「10時までここに立つ。そのあとはあそこ。11時になったらあっちの持ち場A。
少しくらい歩き回ってもいいけど、ここが私たちの居場所。そしたら休憩ね。
ここがあなたのホームセクッションになるんじゃないかな?
この古の巨匠の展示がエリアが」
こうして、彼が館内で勤める「場所」が、展示されている部屋(エリア)
それも、時間が決まっており、交代制で代わっていく。終日同じ場所でないのだ。
「アーダはさらに「いずれはほかのセクションにも配置されると思う。
古代エジプトのどこか、ジャクソン・ボロックのとことかね。
でも、最初の数か月はここに配置されるでしょうし・・・」
さぁ、説明のある「古代エジプト」は正面階段の右側。 「館内案内図」を見てね。
ジャクソン・ボロック という画家は・・「アメリカ館」
20世紀のアメリカの画家 抽象表現主義の代表的な画家であり画法は、
アクションペインティングとも呼ばれる。
ニューヨーク郊外で若い愛人とその友人を巻き添えに自動車事故を
起こし44歳で死亡。
この美術館には「秋のリズムナンバー30」が展示されている。
こんな説明もアーダからあった。
向こう側の壁には、何も掛かっていないひときわ目立つ部分があり、そこに銅線だけが
だらりと垂れ下がっている。
「あそこにな目が書いたメモが見えるでしょう」
「フランチェスコ・グラナッチさんの絵があそこに掛かってたんだけど、
クリーニングに出したのか、どこかに貸し出したか、学芸員の研究室で検査しているか、
撮影スタジオに持って行ったのかも。誰もいらないの。
でも、そういう場合には、メモがあるからすぐにわかる」
館内の細かい出来事もこうして理解できます。
思い出すと、そんな時もあった経験あります。(作品が掛けられていなかった)
どこの美術館もありますよね。
来館者を絵画から1mあまり遠ざけるため、脛の高さのあたりにバンジーケーブルが
張られている。 ショーケースに入ったもの(触れてはいけないように)もあります。
「撮影禁止」の表示・・・ちなみに欧米の美術館ではほぼ「撮影OK」のようです。
日本の方が禁止は多いようです。
アーダが、言葉を単語ごとに区切る独特の話し方で説明を始める。
「命と作品を守る。命が先で、次が作品。簡単な仕事だけど、ぼうっとしていてはだめ。
いつも目を開いて、周囲に目を配る。かかしみたいにたって、厄介ごとを防ぐ。
些細な問題だったら、私たちで対処する。重大な問題だったら、指令センターに連絡して
研修で学んだ手順に従う。私たちは警察じゃない。馬鹿な奴から警察の代わりをするよう
頼まれた場合は別だけど、ありがたいことにそんな場合はあまりない。
そう言えば、朝から仕事に入るときには最初にしなければならないことがいくつかあるの」
アーダの説明は続く~展示室の「照明」のつけかた。な
いままで、来館者としてしか感じなかった美術館の裏側
「働く」人「場所」「役割」「動作の決まりごと」「注意事項」等
「ぼ~ッとしていてはだめ!」のようですね。 こりゃ大変な仕事だ。
たかが、展示室で立っているだけじゃない!
街中で見る 「警備員」さんたちも、きっとそれぞれの役割で終日
励んでい居るんだなぁとと改めて。
そして、来館者がぼつぼつと現れ始めた~。
最初に入って来たのが女性・・・
カッコよく、ニューヨーク・メッツの帽子をかぶって。
小脇に挟んだ紙ばさみから判断するに美術学校の女子学生らしい。
「まぁ、どこを警備していようと、不注意な人には気をつけないと
いけないけどね。ほら、?あそこ」 アーダが。
向こうのほうで、フランス人家族の父親が、バンジーケーブルを超えて手を伸ばし、
ラファエロの絵の細部を娘に指し示している。
アーダが必要以上に大きな声で叫ぶ。
「そこの方! そんなに近づかないで! お願いします!」
やれ、やれ 警備員の仕事
「人」に。 「作品」に。 そして「周囲」に。
結構大変、気も使いますね~。
じゃ、また 明日。