ナチス・ドイツの総統アドルフ・ヒトラーは、国内のクーデターに備えた危機管理オペレーションを、<ワルキューレ作戦>と名づけていたそうだ。
かつて、ヒトラー支配下のドイツに、国家のために戦う決意をした軍人や政治家たちがいた。
独裁者ヒトラーの暗殺計画は、ドイツ国内で数十回も企てられたとされる。
そのヒトラー暗殺の全貌を描く、ブライアン・シンガー監督のアメリカ製レジスタンス映画である。
祖国か、生命か・・・。
世界に悪夢をもたらした独裁者、アドルフ・ヒトラーを葬り去る危険な計画は、当然のことだが、僅かなミスさえも許されない大きな賭けであった。
シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、世界の秩序を取り戻すために、過去40回もの失敗が繰り返された、ヒトラー暗殺作戦の指揮を執ることになる。
自らの信念を貫き、世界を変えようとする男、陰謀を企む男、その行方を見守る家族・・・。
連合軍との死闘によって、ドイツの敗色が濃くなった、第二次世界大戦末期のことである。
この時代、絶対の忠誠を誓うべき、ヒトラーの思想や政策に強い疑念を抱いたシュタウフェンベルクは、祖国の未来を憂えて反逆者となることを決意するのだ。
彼の計画は、ただ単にヒトラーの抹殺だけでなく、その混乱に乗じて、一気にナチス政権の転覆までをも成し遂げようとするものであった。
それは、冷酷非情な独裁者を、この世から葬り去るという、大胆極まりないものだったのだ。
出演は、トム・クルーズのほか、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソンら、豪華なメンバーだ。
全編、息つく暇もないほどの緊迫したドラマの展開だが、このドラマのように、小さな爆弾を用意しただけで、ヒトラーの暗殺計画が実行されたのだろうか。
どうも、合点がいかない。
<ワルキューレ作戦>における、レジスタンス側の登場人物、ヒトラー側の登場人物も多彩で、良心に従い世界を変えようと努力する者、作戦を阻止しようとする者、陰謀を企む者、それぞれの複雑なな想いが交錯する。
作戦の計画から、指令、実行にいたるまでの道筋は、実はもっともっと困難なものではなかったのではないか。
世界の独裁者をターゲットにしている作品としては、暗殺計画の中身がこころもとない。
シュタウフェンベルクの、切羽詰った緊迫した危機感が十分に伝わってこない。
計画が実行されたあとで、ヒトラーの死は何故確認されないのか。そのシーンもない。
アメリカ映画だから、ヒトラーが英語をしゃべるのは仕方ないにしても、全体にサスペンスは希薄だ。
・・・自ら暗殺の実行者となったシュタウフェンベルクは、最愛の妻ニーナ(カリス・ファン・ハウテン)と子供たちを残し、運命の1944年7月20日を迎える。
爆弾の作動から脱出までを、わずか10分で遂行しなければならない。
ヒトラーの暗殺は成功するのか。
そして、歴史を揺るがすとまで言われた<ワルキューレ作戦>は、いかにして発動されるのか・・・。
歴史劇でもあり、娯楽サスペンスの作りでもあるが、実際には、ヒトラーはこの作戦から9ヵ月後のベルリン陥落時に自殺を遂げている。
ブライアン・シンガー監督のアメリカ映画「ワルキューレ」は、実在の歴史上の人物が大勢登場してスクリーンをにぎわしており、、歴史の暗部に追いやられたドイツのレジスタンス運動の一端は伝わってくる。
勝手だが、この映画、アメリカ人のアメリカ映画ではなく、ドイツ人のドイツ映画であったらとの思いを強くした。
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ずば抜けた知性と、深い教養、豊かな人間性を備えた人間だったようです。
茶柱様<
アフリカ戦線で、彼は敵機の機銃掃射を受け、命は取り留めたものの、右手と左目を失うと言う重傷を負っています。
ワルキューレ作戦は失敗し、当然彼は悲惨な最期をとげることになるのですが・・・。
スティッチ様<
お変わりございませんか。
映画から史実を知り、これまで知らなかった真実を発見することもありますね。
そうした意味では、映画って、素晴らしい人生の鏡です。
実に面白いですね。
もっと歴史の勉強もしたいですし、実話の映画やドラマなどは私も見入っちゃうんで、この映画も見てみたいです。
先日チラッと雪が降って、また寒くなりましたが、お風邪などひかないように注意してくださいね
やっぱりこういうものは緻密にやり遂げるドイツ人の方が向いていたのかも。アメリカ人どうも大雑把というかアバウトというか・・・。