徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「ベガスの恋に勝つルール」ーありえぬ恋のはじまりー

2008-08-22 10:00:00 | 映画

アメリカ映画トム・ボーン監督のこの作品は、全くふざけたラブコメディだ。
頭で考える理想から、心が欲する理想の男性を見つける物語だと言ったのは、誰だったか・・・。

フィアンセにこっぴどくふられたキャリアウーマン、ジョイ(キャメロン・ディアス)と、父親が経営する工場を解雇されたジャック(アシュトン・カッチャー)の二人・・・。
気晴らしに出かけたラスベガスで、出会った二人は意気投合する。
ハデに飲み明かし、その勢いで結婚までしてしまうのだ。

翌朝、正気に戻って結婚を取り消そうとしたものの、ジョイの25セントをジャックが投入したスロットマシンで、300万ドルが大当たりときた!
ニューヨークに戻った二人は、互いに賞金の所有権を主張する。
裁判の判決で、6ヶ月間の結婚生活を送るはめになる。
財産の取り分をめぐって、‘仮面夫婦生活’を送るうちに、何かと衝突ばかりしているジョイジャックの関係に微妙な変化が訪れる・・・。

ヒロイン、ジョイは計画的で、完璧主義者で、週80時間働いても満たされない仕事の鬼だ。
一方のジャックはと言えば、プレッシャーに弱いお気楽者で、負けが見えると逃げ出すガサツな男だ。
共通点ゼロの、二人の共同生活はうまくいくはずがない。
部屋の掃除のことから、トイレの便座の上げ下げまで、あらゆることで衝突ばかりしている。
けれども、賞金をゲットするためには、‘理想の結婚相手’を演じることが、 「ベガスで恋に勝つルール」なのだ・・・。

パーティーを開いて、浮気するように計画したり、お互いが嫌になるようにしかけたり、個性豊かな親友や、冷静な精神科医まで巻き込んでの、まああれやこやの蹴落としバトルが、しっちゃかめっちゃか、リズム感たっぷりに描かれる。

そして、ハチャメチャな駆け引きの先に見えてくるものは、ジョイジャックは性格もライフスタイルもまるで正反対だけれど、恋に不器用なところはよく似ているということだった。
ジョイという女は、パワフルさの中に、繊細な素顔を隠し持っている。
ジャックという男は、いかにもちゃらんぽらんな中に、誠実さをあわせ持っている。
二人が、お互いが飾らずに過ごせる運命だということに気づいて、素直になれる日が果たしてやってくるのだろうか・・・。

このドラマは、ありえない恋のはじまりと、ハイテンションなバトルに思い切り笑って元気を与えようという、最初はハートがじんわりと温かくなる物語だ。
いただけないのは、大げさなジョークと騒がしさだ。
かなり、気ぜわしい上に、けたたましいコメディのゆえんか。

世に言う“お騒がせセレブ”と話題になるのが、シンガーのブリトニー・スピアーズだそうで、その彼女が勢いでラスベガスで幼なじみと結婚、1日も経たないうちに結婚を解消した話は、彼女の奇行として芸能欄をにぎわせた。
いまは、セレブの真似事でも、一般人がすぐにしてしまう世の中だ。
ラスベガスで、酔った勢いで電撃結婚し、酔いがさめたらとたんに後悔するという話を聞いても、誰も驚かない。

この物語のヒロインは、突飛な行動ばかりしているお騒がせ娘ではない。
むしろ正反対の、完全主義者の優等生だということなのだが・・・。
キャメロン・ディアス演じるジョイ・マクナリーは、ウォール街で働く威勢のいいキャリアウーマンだ。
スタイルもよし、性格も明るい。おまけに美人だ。
世間でも見かけるパーフェクトな女性なのだが、その完璧さがアダにもなる・・・。
恋愛の機微は、まことに難しい!!

華やかというより、騒々しい(!)‘事件’に彩られた、はちゃめちゃなコメディだ。
もちろん、核となるストーリーはきわめてシンプルな恋愛ドラマだ。
ちょっとどころか、大いにありえないと思えるような出来事とリアリティを、すれすれのきわどい線で混在させながら、物語を展開させている。

うさ晴らしのために、ベガスでハメをはずすことも、カジノで大金を当てることも、婚姻を解消するために6ヶ月間男女が同居するなんていうことも、脚本というのは、すべて、ありえない話をさもあり得るかのように、創り上げてしまうものなのか。
‘全否定’から始まる恋もある。
いがみ合う男女が、渋々行動を共にすることで恋に落ちる。
奇抜で、おどけていて、ありえないから可笑しいのか。

ドラマとはいえ、くどいジョークも、笑いを求めてのみえみえの演出も、度が過ぎると嫌味になる。
それは、明るく楽しいドラマにという計算ずくだろうが、ややもすると、凡百のテレビのあの芸のない、低俗なバラエティと同じドタバタ番組と紙一重の危うさを痛感する。
アメリカ映画「ベガスの恋に勝つルールは、右手でポップコーンをぱくつきながら、手に手を握り合って、シネコンあたりで、きゃあきゃあくすくす笑いながら、若い男女が楽しむ暇つぶしのドラマだ。

朝夕の吹きすぎる冷たい風に、このところ少し秋の気配がしてきました。
・・・ごめんください。


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2 コメント

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世知辛いこのご時世 (茶柱)
2008-08-22 22:37:25
こういう他愛のない一時の夢を見る位しか、庶民は許されないのかもしれませんね。
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一時の夢・・・ (Julien)
2008-08-24 09:29:48
と言えば、映画も文学も、所詮は夢、おとぎ話、創作の世界ですものね。
いい夢を見たいのは、子供も大人も同じですから。はい。
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