いつの時代になっても、女たちは悩み、愛し、懸命に生きている。
古い一冊の日記が見つかった。
その日記に隠されていた衝撃の事実が、三世代にわたる、女性たちの物語を紡ぐ。
ジュリー・ロペス=クルヴァル監督による、フランス・カナダ合作映画である。
帰省したオドレイ(マリナ・ハンズ)を迎えたのは、やわらかな太陽の光と水色に輝く海であった。
彼女は、両親との再会を楽しむが、母マルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、どこかぎごちなかった。
オドレイは、カナダを発つ前に任されていた仕事に集中するため、いまは誰も住んでいない海辺に立つ祖父の家で、2週間の休暇を過ごすことになった。
そんなある日、家のキッチンの戸棚の奥から、一冊の古い日記を見つけたオドレイは、それが、突然姿を消した祖母ルイーズ(マリ=ジョゼ・クローズ)のものだと知る。
日記には、妻として母としてだけ過ごす日々への苦悩と葛藤、そして子供たちへの深い愛が溢れていた。
ルイーズは、何故、愛する子供たちに何も言わずに、家族のもとを去ったのか。
そして、マルティーヌは、二度と戻ってくることのなかった祖母について、なぜ何も語ろうとしないのか。
一冊の日記に導かれ、時代を超えて、ゆっくりと交わり始める、それぞれの想いがあった。
全てが明らかになったとき、互いに赦し、分かち合い、彼女たちは母として娘として、そして女性として、そっと自分の一歩を踏み出したのだった。
本編に登場する、三人の女性には特徴がある。
ルイーズは仕立て屋の夫のもとで、子供たちの良き母として、夫に対しては、貞淑な妻として過ごしている。
それでいて、家庭に縛られる生き方に悩み葛藤する。
マルティーヌは、医師として開業し働く自分を支えてくれる、理解ある夫と結婚した。
しかも、子供の頃に母親と過ごした時間が短かったため、娘のオドレイとどのように向き合えばいいのかわからないでいる。
オドレイは、カナダで仕事をするキャリア・ウーマンだ。
結婚する予定もない男性の子供を宿して、仕事を続けたい気持ちと、母親になることへの不安から、子供を産むべきかどうかで悩んでいる。
世の中では、簡単に「女性の自立」などというが、そんな言葉はとうの昔に死語になっているという人もいる。
女たちは、ときに、男たちよりもたくましく強い。
各世代の女性たちの抱えている悩みや葛藤など、心の機微を優しく探るように綴るドラマだ。
そういえば、この作品と似ている日本映画もありました。
この映画「隠された日記 母たち、娘たち」の、クルヴァル監督もまた1972年生まれの若き精鋭で、もうすでに立派な大人の三人三様の女性の生き方を描いた。
フランス映画界の大御所、カトリーヌ・ドヌーヴの存在感が光っている。
それぞれが、個性的な美しさを放ち、彼女たちの生き方が描かれるその背景には、自然の風景のグラデーションと、男たちの存在のあることも忘れてほしくない。
まことに、いつの時代でも、悩み、愛し、一心に生きてこそ、女性たちは溌剌として輝く。
1950年代、現代、そしてこの二つの世代にはされた時代を、生きてきた各世代の女性たち、これだけ豪華なフランス女優陣の登場も見逃せない。
この種のデリカシーを追うだけで、男性の方は小さくなってしまわないようにしないと・・・。
シャキッ!
っと、言葉だけでも・・・。
シャキッと、ね。背筋をちゃんと伸ばしてね。
ええ、よくわかります。わかります。はい。