徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

「女性専用車」ー女尊男卑?!ー

2007-11-24 17:30:00 | 寸評

戦前、東京の中央線で「婦人専用電車」というのがあって、戦後になって「婦人子供専用車」が京浜東北線に連結されたのが、そもそもの始まりだった。
この頃、通勤時間帯の一般車両の乗車率は300%に及ぶ過密状態だった。
この専用車は、その殺人的な通勤ラッシュから、子供と勤労女性を守る目的で導入されたものだった。
それも、やがて廃止され、シルバーシートの導入と入れ替わる形となった。
そして、現在は痴漢行為の抑制などを目的に、「婦人専用車」が私鉄や地下鉄に導入され、概ね女性に歓迎されているようだ。

しかし・・・。
近頃、この「婦人専用車」が、日本経済の担い手である、多くのビジネスマン(サラリーマン)から、大いなる嘆きの不評をかっていることも事実なのだ。

 男は女に言った。
 「あのさあ・・・」
 「なあに?」
 「女性専用車ってあるよなあ」
 「あるわよ。それが、どうかしたの」
 「あれ、どうにかならないのかなあ」
 「どうにかって?」
 「・・・廃止するとかさ」
 「えっ?」
 「いろいろ、問題だぜ」
 「何が、問題なの?」
 「何がって、何も知らないんだな」
 「・・・」
 「あのなあ、朝のラッシュアワーの時の女性専用車って、ガラガラなんだ」
 「どうして?」
 「乗ったことないのかよ?」
 「その時間、乗らないもの」
 「だからさ、分かってないって言うんだ」
 「あのなあ、俺の乗る地下鉄、毎朝凄く混むんだぞ。身動きもできないほどだ」
 「それは分かるわ」
 「それなのにだな、隣の女性専用車はガラガラで、空いてる席もある。うん、結構空いてるんだ。毎日というわけではないけど、何時も大体そうなんだ」」
 「へえ・・・」
 「ひどいのは、こないだなんか化粧してる女がいた」
 「あら!」
 「何だ、これって思ったね。ああいうの見ると、俺だって頭くるぜ。ええ~!」
 「まあ!それは、そうよねえ」
 「女性専用車だけがガラガラで、他の車両は超満員さ。分かるか。妙な話さ」
 「何でかしら?」
 「誰でも、降りる駅のホームの都合を考えて、電車に乗ってるんだ」
 「なるほどね・・・。電車の停まる時に、出来るだけ、近くに階段があるあたりとか・・・。そうよね。だって、乗る時の、乗る車両の入り口も、ホームの場所も、いつも通勤の人は決まってるわよね・・・」
 「そうだ。だから、混む車両はいつも決まってるのさ」
 「しかたないのね」
 「おいおい、そう簡単に言うなよ」
 「だから、専用車なんか要らないと・・・?」
 「ああ。俺たちはな、汗水たらして、毎日毎日ぎゅうぎゅうの満員電車に揺られてだな、馬車馬のように働いてるんだぜ!専用車に乗りたいのは、俺の方だよ」
 「う~ん・・・、確かに、男の人は大変よねえ」
 「考えても見ろよ」
 「ええ。分かるわ」
 「あんな専用車なんて、無くしたらいいんだ。まるで、女尊男卑だな」
 「う~ん・・・、男女平等じゃないって、言いたいのね」
 「ああ、そうだ。男女平等の社会に反するッ!」
 「・・・だって、元はと言えば、男の痴漢が多いからそうなったんでしょ」
 「専用車のきっかけはそうらしい」
 「そうでしょうよ。男が悪いんだわ、決まってるじゃない」
 「そう短絡的に物を言うな」
 「はあ?」
 「痴漢、痴漢て、身に覚えのない人間まで痴漢にされてしまう世の中だ。痴漢の冤罪事件が多いの、知ってるか?」
 「知ってるわ。ほんとに気の毒な話よね」
 「馬鹿言うな。、そんなことですむか。男の人生台無しにして・・・」
 「・・・家庭も、仕事も、何もかも無くした人の話ね」
 「いい加減な女のせいでだな、人生めちゃめちゃにされて、あとで、たとえ無実となっても全ておしまいさ」
 「・・・」
 「女って奴は、ひどいよなあ。まったく・・・!」
 「何ですって?それって、もともと男が悪かったからじゃない」
 「そんなことあるもんか。痴漢ていうのはな、あまり言いたくはないが、女にだって、責任があるときもあるんだぞ。これ以上は言わせるな。男が全部悪いわけじゃないぞ」
 「ふ~ん・・・!」
 「真面目な、無実の男が、或る日突然痴漢扱いされる・・・。そんなこと、許せると思うか」
 「よく聞く話だわ」
 「満員電車に乗るときは、俺も、毎日びくびくものだ」
 「・・・そうだわねえ」
 「冗談じゃねえよ。男性専用車が欲しいのはこっちだぜ。女性といっしょの車両じゃあ、何時痴漢にされるか分かりやしない。ご免だねえ。怖い、怖い」
 「ほんとうね」
 「まったく物騒な時代になったものさ」
 「確かにねえ・・・」
 「・・・だろう?女性を優しく、大切にと言うなら、男女の高齢者や身体障害者だって同じだぜ」
 「女性専用車に、男性が乗ってはいけないと言う規則は、とくに無いのよね」
 「そうらしいな。でも、専用車って書いてあるのに、乗れるかって言うんだ!」
 「そうよね。勇気がいるわよね」
 「あたりまえだ」
 「痴漢対策と言うならだな、もうはっきりと、女性はすべて女性専用車に乗るようにしてくれと言いたいね。女性全員だぞ!」
 「男性、女性別々の車両と言うことね」
 「そうだ。だけど、そんなこと出来るわけがない」
 「そうね」
 「困った問題さ・・・」
 「いっそ、専用車なくしたら?そうよ、そうだわ。それがいいわ。なければないでいいのよ。なくしたらいいんだわ。そんなに問題なら・・・」
 「そうだな。でも、そこがどうもすんなりいかないわけよ、な・・・」
 「みんな、自ら自分を守ればいいのよ。自分の身は、自分で守るのよ。女だって、男だって。そうすればいいのよ。そしたら、女性専用車なんて要らないのよ。そうよね」
 「・・・」
 男が黙ってうなずくと、女の口元から、ふっふっと小さな笑みがこぼれた・・・。

・・・或る調査によれば、女性専用車について、女性の65%はあった方がよいと答えているが、要らないと答えた女性は35%もいた。
男性の80%以上が、専用車は要らないと言う反対意見であった・・・。
最近の調査では、さらに反対意見は増える傾向にあると言われる。
男性と女性の賛否両論、さて・・・?

女性が、それこそ完全に痴漢の被害を防ごうとするなら、確かに、全ての女性を女性専用車両に乗せることを強制しない限り、とても不可能だろう(!)
痴漢犯罪は増え続けている。
それと同時に、痴漢の冤罪事件も増えていることを忘れてはいけない。
満員電車に乗っていれば、たとえ男性がどんなに気をつけていても、いつ突然冤罪事件に巻き込まれないとも限らない。
考えると、空怖ろしいことだ。
女性の訴え一言で、犯罪者になってしまうのだから・・・。
この場合、男性の弁解はほとんど通らない。
無実の証明ほど難しいものはない。
評論家の有田芳生氏は、痴漢の冤罪が怖いからと、帰宅の満員電車をやめて、タクシーで帰ることにしていると言う記事を何かで読んだことがある。
いま、そういう時代なのか・・・。

・・・近年、女性は強くなった。(ときに頼りない男性よりも・・・?)
男女同権、男女平等、機会均等が叫ばれている。
そんな中で、自立する女性たちの活躍も目立つようになった。
その陰からは、男性の嘆きの声が聞こえてくるが、それでも、「女性専用車」は必要だろうか。
今日も、通勤電車は走りつづけている。
男と女たちの、それぞれの思いを乗せて・・・。