4,5月の連休も何だか夢のように過ぎてしまった。しかし、今年の連休は、珍しいことに晴天続きで思い出に残る山行が出来たことが大きな収穫。ここ数年、300名山達成の「呪縛」から逃れられず、幾分仕方なし(?)の山が続いていたが、何か吹っ切れたようで気分になっていた。
今回、特によかった山は栂池高原から白馬岳縦走。残雪を踏みしめ雄大な景色を貸し切り状態で歩ける贅沢はそう滅多に経験出来るものではない。雪に埋もれた白馬大池と屋根をわずかにのぞかせた白馬大池山荘。滅多に見られない光景です。テントを建て、ねぐらを確保したときの満足感はちょっと表現しにくい。あの感覚は、穂高の涸沢や立山・剣などの混み合うキャンプ場ではちょっと味わえない。多分、単独行者のみに与えられた特典だろう。どんな山でも、知らない山に入るときは、それなりに緊張する。それが、近くの裏山でもそうだ。それに反して、一度でも登ったことのある山、歩いたことのある山域なら少々険しく、危険が伴っていても気分的に楽だ。
栂池高原から白馬岳までは、部分的には歩いているので心持ち楽な面があった。ただ、天狗原から白馬の頂上までの稜線を歩くのはは始めて。あまり期待はしていなかった領域だったが、振り返って見ると、この季節では年相応のコースだったし、何かにつけ今回の山行では最高だった。
遠見尾根から五竜、唐松までは、人も多く、それに山小屋泊まりということもあってか緊張感に欠けた。特に、五竜と唐松間は、逆コースではあるが10年ほど前に歩いたことがある。山は冒険の要素がないといけないが、冒険には新鮮身が必要。何でも、初めての体験は心が震え、ワクワクとドキドキ感がある。年と共にこの感情は衰えていくが、それでも「初物」はいい。初めての遠見尾根は、スキー場からゴンドラやリフトを乗り継いでから取り付けるので、冬期でも入山は可能だろう。厳冬期の天気の良い日に、一泊計画で五竜に登って見たくなった。
針ノ木岳と爺ヶ岳は、大町から入山できる。この山も、登山口からは登ったことがない山なので、いずれ登山口から登ってみたい。
白山は連休明けではあったが、心配した天気にも恵まれてラッキーといえる。出雲のお二人とは、久しぶりの遠征となる。当初、甚之助小屋で一泊と考えていたが、2泊することになった。余裕もできて、ゆったりした時間を過ごすことができた。わざわざ、島根からやって来たので一泊はもったいないだろう。本当は、さらに猿ヶ馬場への話もあったが、無理はしないことにした。スーパー林道はまだ閉鎖していたし・・・。
今回の山行では、次の詩にあるような気分を味わった。
陶 淵 明
飲酒二十首 其五
結廬在人境 いをりを結びて人境に在り
而無車馬喧 而かも車馬の喧しき無し
問君何能爾 君に問う 何ぞ能くしかるやと
心遠地自偏 心遠ければ地も自ずから偏なり
采菊東籬下 菊を采る 東籬の下
悠然見南山 悠然として南山を見る
山気日夕佳 山気 日夕に佳く
飛鳥相与還 飛鳥 相い与(とも)に還る
此中有真意 此の中に真意有り
欲弁已忘言 弁ぜんと欲して已に言を忘る
連休を終えてから、久しぶりに大山の地獄谷~振子沢へとあるいてみた。残雪は消えていたが、サンカヨウの花があちこちに咲いていた。ウドを少しばかり採って帰る。天ぷらにしたら、大山の味がした。
鍵掛峠
オオカメノキ サンカヨウ
間もなく大山は山開きを迎える。