山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

2010年 200(300)名山九州編(その2)尾鈴山、由布岳

2010年06月07日 | 200名山・300名山

 尾鈴山         雨の日は 傘さして登る

 6月1日、雨。昨日、夜半から雨が激しくなる。朝方も降っていたので山はあきらめようと思っていた。注意報も出ている。しかし、明るくなるにつれて小降りになったので出かけてみることにする。小ぶり程度の雨なら、市房山の深田久弥ではないが登るつもりで・・・。日向街道を南下し、美々津を過ぎ、都農町から山手に入る。美々津は、神武天皇が東征の船出をしたと伝えられる土地。途中、尾鈴山瀑布群の標識を見る。どうも尾鈴山は、滝で有名らしい。100名瀑もある。雨の中、何とか尾鈴キャンプ場に到着したが、肝心の登山口が見当たらない。雨の中、車で右往左往する。  駐車場に案内板はあるのだが、登山口への入り口がはっきりしない。行きつ戻りつしていたら、新しくできた道路のすぐ横に、草むした古い道路を発見。現在あまり使われていないらしいがしばらく進むと道はっきりしてきた。相変わらず雨は降り続けていて、山の斜面が滝のようになってきた。

  雨のため水がしたたり落ちてきます。これは滝ではありません。

  

 山崩れ、落石などが心配だがとにかく進むことにする。しばらく進むと、何と、車が一台止まっている。雨の中、年配のご夫婦が引き返される所だった。登山は中止されたらしい。ここは三叉路となっていて、何台かの車は停められるのだが少し狭い。普通は、ここまで車は入れない。 道路脇にボックスがあり、登山届けを記入するようになっている。記録簿を見ると、今日は誰も登っていない。ただ、山崩れの危険注意と、最近崩れた箇所の写真があった。

 山が崩れた所。三叉路のすぐ横でした。

  

 車を安全そうな場所に停め、雨具を着る。そして、傘をさして出発する。時計は10時30分をさしていた。すぐに登山口に着いたが、道路には雨に押し流された石が散らばり、まるで河原のような状態だ。そういえば、口蹄疫の流行で山開きは行われなかったようだ。道路が整備されていないのはそのせいか。

 登山道入り口。だいぶあれていました。

   

 1合目までは急な階段状の登山道が続く。合目合目にきちんとした標示があり、合目間の時間を計ってみたら10分弱。ガイドブックには、三叉路から頂上まで約2時間とあったから、合目間を10分ならちょっと早いペースということになる。道ははっきりしているので迷う心配はなさそうだが、昨夜からの雨なので山はだいぶ水っぽくなってきている。防水に強い靴を履き、雨具もきちんとしているので体を濡らす心配はない。ただ、車のことが気になる。道路に落石などが発生していないだろうか。

 9合目辺りから視界が開け、9合5勺に展望台がある。頂上はもうすぐそこだ。

 展望台にあった案内図。周囲の山々のことが説明してあります。今日は何も見えなかった。

  展望台です。

 

  

 

 頂上です。眺望はありません。

 

 帰る途中、車から。これらは小さい滝です。尾鈴瀑布群のNO1は、矢研の滝。日本100名瀑の一つですが見ることができませんでした。

 

 

 安全地帯まで逃げるように移動する。落石・山崩れに遭わなくてよかった。道の駅まで帰り、次の山、大崩山について調べる。どうも、傘をさして登れるような山でないことだけはたしかだ。「初心者だけや単独登山は絶対に避けたい。」、「川が増水したときや雨が予想される時は中止または引き返す勇気が必要だ。」、「九州では一番難しい山のひとつである。」等々あり、気後れしてこの山は今回は中止。天気も良くない。

      詩人がうたうふるさとの山2首

             ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ
 
                        秋もかすみのたなびきて居り    牧 水

             さわやかな小春日和の姫神山

                        薄霞していともやさしき        啄 木

               
 少し遠くなるが、由布岳をめざす。この日は、大分自動車道の別府湾S.Aに泊まる。眼下に別府湾を見下ろす景観は、国内最高とか何とかのうたい文句が目に付く。

 6月2日(火) 曇り

 湯布院の町を過ぎると山なみが広がる。この辺り一帯はちょっとした観光地。近くに名所が多いからだろう。9時前、由布岳登山口に着く。車が何台か止まっていた。天気はあまりパッとしないが昨日のような雨降りではない。ただ、頂上は雲でおおわれていて見えない。山は、我が島根の名山三瓶山に似ている。9時10分、ゆっくりスタートする。

  登山口の駐車場から。バス停もあります。

 

 頂上は雲の中。

 

 気持ち良いなだらかな道が続く。ゆったりとしたジグザグの道だ。これで頂上に着くのだろうかと心配なほどなだらかな登山道だ。この山には、ミヤマキリシマの群落を期待していたのだが、点々としか咲いておらず期待はずれ。

 ミヤマキリシマ。花も葉も小さい。群れて咲く様はど迫力があるのだが。

 

 マタエに着く。西峯(頂上)と東峰の中間地点。どちらの頂にも15分とある。 

 

 ここまでは緩やかな登りだった。しかし、最後に西峰の岩登り。ガスも出始めて何か迫力がありそうです。山があまり馬鹿にするなと怒っているような感じ。鎖場もあるのでストックを置いてまじめに登ると頂上です。

 

 

 

 こちらは東峰の頂。こちらの方が何かと立派。西峰は岩登りがあり危ない感じがします。東峰は安心して登れます。高さはあまり変わらない。

 

 由布岳からの眺望はありませんでした。13時05分に下山。まだ早いので近くの鶴見岳に登る。この山は、別府温泉の裏山にあたり、ロープウエイもあってミヤマキリシマが咲き観光客も多い。300名山でもある。別府湾を眼下に眺めることができます。ただ、観光づれをした山です。帰りは、湯布院のちょっと手前で温泉に。由布岳を見上げながら汗をながす。「七色の風」というホテルの中の温泉だが、日帰り入浴が可能。広い浴槽を一人で貸し切りでした。ボーイさんの対応もよくて大変いい気分になりました。

 鶴見岳頂上。

   

   

   鶴見岳より別府湾を見る。

   

 湯布院から望む由布岳。かすかに頂上が・・・。人力車があります。「麦焼酎由布岳」を買って帰りました。

   

 

 結局、九州の200名山は、大崩山、英彦山、雲仙岳の3つが残った。天気の良さそうな日に出直すことにする。300名山はまだいくつかあるが急ぐことはない。

  

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2010年 200(300)名山九州編(その1) 高隅山、市房山、

2010年06月06日 | 200名山・300名山

 九州の200名山(続100名山といったほうがいいかも?)は、8座ある。そのうち高千穂峰と桜島はすでに終わっているので、残るは6座となる。ついでに300名山を調べてみると、200名山と同じ数でやはり8座ある。このたびは、200名山が目標なのだが300名山もいくらかは登ってみたいと思いながら出かける。

 九州の南の端は鹿児島。その南端に突き出る大隅半島の根っこ部分に300名山の高隅山がある。高隅山という山は、いくつかの山々の総称。もっとも高い山が大箆柄岳(おおのがらだけ)1236mだ。しかし、私の持つ道路地図には高隅山1149mとある。高隅山群の中で1149mの山は小箆柄岳だから、地図が間違っているのか、あるいは、地元で小箆柄岳をそのように呼んでいるのかよくわからない。とにかく高いほうへ登るのが山登りの常識だろう。

 5月29日(土)、5時25分松江を発つ。18時05分、「おおすみ弥五郎伝説の里」という長ったらしい名前の道の駅に到着。今日は、ここで車中泊とする。目指す山は近いから、あす朝登山口まで行けばいい。今日は道の駅の風呂に入りゆっくりする。

     やごろうの像 高さ15m              やごろうの湯

       

   ハクショウ 三葉の松                はじめて見ました

       

  大隅弥五郎とは、大和朝廷が全国統一の過程で生まれた英雄。ただ、朝廷側の人物か反朝廷側なのかはっきりしないそうです。 

 車中泊をともなう山行に出かける場合、いつも気を使うのが駐車場の確保。登山口にきちんとした駐車場があればいいのだが、200名山や300名山となるとあまり整備されていない場合が多い。トイレに風呂、それに売店あれば最高だがそんな環境はあまり期待できない。近くに、道の駅や高速のパーキングなどがある場合、そこを利用したほうが薄暗い山奥に車を停めるよりはるかに能率も良く、快適に過ごせる。このことは、多くの名山めぐりの中から学んだことの一つだ。

 30日(日)、7時登山口をスタート。昨夜泊った道の駅からここまで約1時間かかった。

 国道404号線、高隅ダムを少し行くとこの標識があります。ここを右に入る。

  

 登山口です。車が数台停められます。近くに沢もあります。

 

 登山口には、縦走に要する時間が記してありました。大箆柄岳まで登り1時間30分、下り90分とあります(?)。

  

 頂上です。バックは高隅連山です。縦走すれば一日は優にかかる。

 

 

 ミヤマキリシマが咲いていました。

 

 大箆柄岳遠景。

 

 高隅山は大箆柄岳のみとしたので早く終わった。次に目指す山は、市房山だが途中寄り道をする。それは、五木の子守唄で有名な五木村。どんなところだろうかと期待はしていたが、道も建物も真新しくて、当時の様子は道の駅にある資料などで想像するしかない。

 裏は険しい山々、前ははるか下に川が流れています。道の駅「子守唄の里五木」があり、温泉もありました。五木とは、「居着く」からきたようです。何が居着くかといえば、平家の落ち武者を追いかけてきた源氏の兵士たちが居着いたのでこのようによばれるようになったそうです。唄にある、「…あんひとたちゃよかしゅ」のよかしゅが源氏で、その下で貧しい暮らしを余儀なくされていたのが平家の落ち武者たちの子孫だそうです。哀愁をおびた子守唄は、日本の民謡の中の傑作と言われています。

 

 年季奉公に出された幼い娘は、はるか山奥の故郷を望みながら盆が来るのを待っています。盆で年季が切れるから「盆から先はおらんど・・・」という唄になります。

 

 夕刻、市房山キャンプ場に着く。テント代金1000円を払いテント泊にする。しかし、1000円は全国的にみてもだいぶん高い。北海道では高くて500円くらいだ。

 写真後ろ奥の山が、市房山1722mです。大山よりちょっと低い。宮崎県では1756mの祖母山が最高峰。

 

 

 

  5月31日。6時スタート。キャンプ場から登山口は近い。間もなくこの写真のような参道に入る。

  

 1時間ほどで神社に着く。ここには、コンクリートでできた休憩所もあり、近くに水も流れていた。かって深田久弥は、春雨に煙る日湯山の旅館から傘をさしてここまで登り、「雨に罪を負わせ」て引き返している。

 

 市房山のすごさは、杉の巨木にあるといってもいい。大きさは屋久島杉に引けをとらない。樹齢千年の古木が林立する様は圧巻だ。

  

 

 

  カッコウの 声は下界に 市房山

  カッコウがしきりに鳴いていた。やっと頂上が・・・。

 

 キャンプ場が見えます。

 

 天気さえよければ九州中央部の山々も見えたかも知れません。

 9時10分、1722m市房山頂上。下山が11時55分でした。

 

 ツクシアケボノツツジです。このツツジ、以前はアケボノツツジ(四国に多い)の仲間とされていましたが、どうもヤシオツツジ(本州中部から北に多い)の仲間に近いようです(案内板にそうありました)。

 

 ツクシアケボノツツジは背丈が高くなるのが特徴のようです。

 

 下山途中にオレンジ色のツツジを見ました。

 

 下山後、すぐ近くの湯山温泉へ。湯元旅館で汗を流しソバをいただく。少し太めの田舎ソバだった。最近、細めのソバが流行りのようだけど太めもよい。さっぱりしてから山越えに入る。この頃から天気は下り坂。途中、若山牧水のふるさと東郷町を通過する。牧水記念館に寄ってみたかったが、雨も降りだすし日も暮れかけていたので通過する。石川啄本が姫神山なら、牧水は尾鈴山。牧水は、酒と旅を愛した詩人として有名です。

    いく山河 越え去り行かば寂しさの 果てなむ国ぞ今日も旅ゆく 

 (この詩は、確か中国地方のどこか詠んだもののはず。彼もあちこち歩いています。)

 国道388号、446号を経て道の駅日向に車を止める。 尾鈴山の登山口は、国道10号の線の都農町から入ることになるので、遠回りにはなるが仕方ない。口蹄疫の防除対策があちこちで行われていた。

 

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