山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

平成24年 100名山 阿蘇山

2012年09月25日 | 200名山・300名山

 9月24日(日)  阿蘇山

   

                    阿蘇の山里秋ふけて、眺めさびしき夕まぐれいずこの寺の鐘ならむ、諸行無常とつげわたる

                                                                                                             (孝女「白菊」の歌---落合直文より)

 阿蘇山は一度登っていたので100名山はすべて終わっていたが、よく考えてみれば最高峰の高岳には登っていない。深田久弥の「日本100名山」を読むと、やはり阿蘇山は高岳ということになっている。彼は、草千里から登っているようだが、自分は仙酔峡から登る事にした。

 朝、高千穂の町を出発して仙酔峡を目指す。途中、素晴らしい景色に出会う。

                              左高岳、右根子岳 

         

 素晴らしい天気だったが間もなく雲が出る。

 仙酔峡ロープウエイ駅と駐車場。茶色の建物は案内所と売店。この建物の左手に初級コース(火口東展望台への道)がある。

         

 仙酔峡から高岳へは、2本の登山道がある。一本は、初心者コースでロープウエイとほぼ並行につけられた遊歩道を行く事になる。この道は、ロープウエイの終点を経由して、火口展望台まで続き、ここから中岳に登り高岳に至る。噴火口を背に中岳を登ることになり眺望も抜群だが、火山の状況が良くないと通行止めになるらしい。 私は、高岳へ直接登る中級コースに向かった。

              溶岩の尾根伝いに登山道が延びています。左手に見える岩峰は虎ヶ峰(ゲレンデ)

       

                                      こんな感じの道が続きます。ご夫婦が登っておられた。

 

              

                         頂上と東高岳分岐。ここまで登れば頂上は近い。

       

                            雲も出ておもしろくない頂上

       

                  尾根伝いに中岳を目指す。ここからは緩やかな下りとなりやがて中岳に着く。

              

  

  中岳の頂上から、道は、東火口展望台へと続くがここより先へは入れない。少し手前の分岐(草千里方面と仙酔峡方面)から迂回路をたどって下山することになるが道は良くない。途中まで下ると、左手に火口へと続く遊歩道が見えたのでそちらへ登り返す。遊歩道に出て、火口展望台を目指す。

               上のロープウエイ駅。荒れ果てた感じ。もう営業はやっていないらしい。

           

               火口を見下ろせる遊歩道。仙酔峡の駐車場から良い道がついていました。                         

          

   火口展望台から、中岳へと続く道。中岳頂上からは下降禁止の看板があったが、ここには禁止の標識はなかった。

      

                        雄大な阿蘇山の噴気です。       

    

                           九州の谷川岳。岩登りのゲレンデ。

         

                                ゲレンデの説明

           

 中岳を下る頃から天気も回復して青空が。高岳では眺望に恵まれなかったが、何十年ぶりに大阿蘇の噴火口を見ることが出来て満足する。近くの温泉に入り帰松とする。

                               仙酔峡温泉 かんぽの湯

       

 九州の名山巡りはこれで完。10月から鋸岳を手始めに名山巡りをスタートさせたい。雪が降る頃までに何座登れるだろうか。

  


平成24年 200名山・300名山  大崩山

2012年09月25日 | 200名山・300名山

  9月22日(金) 

 名山巡り後半戦のスタート。暑かった夏の記憶は幾分残ってはいるが、季節は早秋。九州に残された最後の山は大崩山。九州の名山巡りの折、2度ほど訪れてはいるがいずれも天気に恵まれず登る事が出来なかった。三度目の正直とは、このことか。中国道三好ICからのんびりと高速を行く。車が少ないので快適だが少々退屈でもある。

 九州に入り、鳥栖から大分自動車道を行くと途中で由布岳を見る。方角にもよるが、この山が双児峰であることがよくわかる。別府ICで一息入れて、サルで有名な高崎山を過ぎ間もなく、国道326号に入る。当初、延岡まで出て祝子川沿いにさかのぼる予定だったが途中で「大崩山 美人の湯」方面への標識を見つけたのでそちらに進むことにした。近道らしい。しばらく行くと、眼下に祝子の集落と大崩山の連なりが現れる。

                午後になると天気も陰ってきた。大崩山の奇岩が雲にかすみ幻想的でした。

     

         祝子の「美人の湯」駐車場                    曼珠沙華の花が

               

 美人の湯で汗を流し、ビールを飲みながら相撲の観戦。肴は、「エダマメにソバ」。ソバは乾麺をもどしたものでうまくない。こんな所だからこそ手打ちの地ソバを食いたいものだがあまり商売気はないらしい。

 最後に焼酎を喰らって下の駐車場へ下りる。上の駐車場は、お客の邪魔になるので、下の駐車場で車中泊です。勿論、飲む前に車を移動しておきました。写真右手はトイレ。夜半起きてみたら、数台の車が止まっていた。明日、大崩山を目指す人達らしい。オリオン座がはっきりと見えていたので、天気には恵まれそうだと安心をしたのだが・・・。

 朝、暗い内から自動車の音がする。ポツポツ登山者がやって来たらしい。大崩山登山口前の駐車場はそうひろくないので早めに移動することにしたが、道を間違えて余計な時間をくった。明るくなった頃、やっと登山口へ着く。すでに車が3台止めてあり、スタートした後のようだった。

               大崩山避難小屋 部屋は落ち着いて感じ良く整頓されています。結構広いです。

     

 登山口から、樹林の中を落ち葉を踏みしめながら歩くと、間もなく避難小屋前に出る。ここで、コースは二つに分かれる。一つは坊主尾根コースで、もう一つが涌塚コースだ。どちらも、川を渡ることになるが、橋はない。小屋の前から河原に下り徒渉点をさがす。対岸にテープを見つけて岩づたいに移動。後は、テープに導かれてひたすら登ることになる。道が時々わからなくなることがあるのは、最近の台風によって道が流されたり、新たに水路が出来たりして道と間違えやすいためだ。それに、思ったほど人が入っていないので登山道自体不明瞭な感じがする。登りは良かったが、下山時、涌塚コースを下りたら、道迷いをした。

                         坊主尾根コースでは、こんな景観が随所に現れる。

         

                        涌塚コースは向かいの岩壁(裏側)の下部を歩くことになる

         

 登り始めてしばらくしたら、頭の上から話し声が。先行者のパーティが休んでいた。男性2名と女性2名でリーダーらしき男性がなにやら講釈をたれていた。追い越して先を急いだが、結局このパーティは途中で引き返したらしい。 いよいよ核心部に入り、ロープやハシゴが次々に現れる。グングン高度を稼ぎやっと分岐に出る。

         

 ロープもハシゴもしっかりしているので何の心配も無いが、初心者にはきついだろう。高所恐怖症の人ならびびってちびるかもしれない。一カ所、腕力を頼りにロープを登る箇所があり、女性にはきついかもしれないなと思った。

                                10時15分  大崩山頂上。眺望なし。

         

 頂上で、別のルートからやって来たという青年に会う。九州男児で元気そのものでした。少しお話をして、展望のきく広場まで引き返し昼食。ここで、九州大分の男性に会い、情報をもらう。坊主尾根を登ったので、下りは涌塚コースを下りるという。同じコースを下りるのはおもしろくないと言うので自分もそちらを下りることにした。しかし、これはあまり良くなく、またまた後悔することになった。昨日買っておいた弁当を食べ終わり、下山。先ほどの男性は少し前に出発していてなかなか追いつかない。このコースは、坊主尾根コースのような岩場は無い。詰まるところ、岩尾根の基部を歩くことになっている。所々で展望所があるが、そこに行くにはコースから外れ脇道を行くことになる。下山道は荒れていて時折道を探さないといけない。若者が一人登って来た。だいぶバテていたが、道が荒れていて大変だったようだ。

 途中、登るつもりもなかった岩峰の上に出てしまった。上ワク塚という展望所で、眺望は抜群だが下山口が見えない。おかしいと思いながらウロウロしていたら、ボルトにロープが垂れ下がっている。しかし、よく見るとこのロープはすり切れていてはらわたも見える。これで下りるのだろうかと思ったが不安になり、引き返すことにした。登って来たルートをそのまま岩峰の基部まで引き返してよく見ると、登山道は左下にある。あのロープにぶら下がっていたらどうなっていただろうと思いながら下る。テープを丹念に探しながらの下山が続き、一息入れていたら頂上で出会った男性が後ろからやって来た。彼れも、道を間違えていたらしい。

 二人になったので、幾分安心感も涌いてきた。途中、何度か道を間違えながらもとにかく川まで下り、対岸に渡る。

                            対岸から見上げた大崩山

          

 橋は流されていて下流の方に引っかかっていた。やれやれと思ったが、問題はこれからでした。少し前から小雨が降り始め、樹林の中は薄暗くなっていてテープや道標がはっきりしない。こちらはとにかく経験者だというこの男性の後に着いて歩くだけ。ここから、大崩山避難小屋まで20分足らずのはずなのだが道がわからなくなってウロウロする。行ったり来たりで、またまた道迷いにはまるのかと不安になる。あの男鹿岳の事を思い出す。しかし、ここはすぐ右手に川が流れていて、川沿いに下れば避難小屋に着くはずだから幾分安心だった。結局、徒渉点まで引き返して再度探したら、「馬鹿みたい」に左手上の方に立派な道標がありました。山の話をしながら登山口まで帰り着く。

  登山口 6時25分  頂上10時15分  下山14時20分

                                 美人の湯

              

 風呂上がりに一杯と言いたいところだが次の山阿蘇山へ向かうので我慢する。祝子から延岡に出て、高千穂町を経由し阿蘇を目指すことになるのだが、途中くたびれたため高千穂町の道の駅で車中泊とした。雨が降る。

 

                                                                             


道迷い(200名山・300名山)

2012年09月03日 | Weblog

 山で道に迷わないためにはどうすればいいか? 今年の道迷いの反省から考えてみました。

 まず、どんな時に道に迷ったかです。

 1 残雪期の山で。

  5月2日(曇り) 安平路山

  この山の登山口は、休憩舎の横。すぐに登りとなるが、間もなくトラバース気味に進むが雪が出てくる。踏み跡もあるので忠実に跡をたどる。しばらくして、単独の下山者に出会う。山の様子を聞くに、彼は道を間違えて大変な目にあったとのことでした。もともと、テント泊の計画だったので慌てなかったそうだが、それでも2泊したそうです。

 迷った理由は、踏み跡。正しいルートを行くきちんとした踏み跡ならそれを忠実にたどればいいが、時々変な踏み跡に出くわすことがある。これは、先行者が道に迷ったときの足跡。残雪期には、この手の踏み跡は意外に多い。案の状、私もこのケースにはまり込んだ。この日は、天気も悪く見通しがきかなかった事もあったのだが、「地図もコンパスも持たずに」山に入ったのがいけない。山を甘く見ていた事への手痛いしっぺ返しだった。ただ、この時は下見的な山登りだったので、「おかしい」と感じてすぐに引き返したのがよかった。

  5月7日(曇り時々小雪) 奥茶臼岳

 似たような経験を、この後、奥茶臼岳でやっている。この時も、足跡通りに歩いていたら、何か変?倒木だらけになり、おまけに足跡もなくなる。斜面を登り返して赤テープのあった地点まで引き返す。消えかかったような足跡を調べていたら、木の陰に次の赤テープを発見。やっと正常ルートに戻りました。残雪期といっても、山奥に入れば雪は多いし、木々には、雪がびっしりと付着している。目印が雪に隠されていることも多い。何とか頂上に達して無事帰ることが出来たけど、「ハイランドしらびそ」の方に聞いたら、時期的にまだ早いとのことでした。この日も天気は良くありませんでした。また、登りと下りとでは目印を見つける条件は違う。

 今年は、いつもより早い時期から「名山巡り」をスタートさせたこともあり、今までに経験しなかった新しい体験をすることになった。これらの体験から「残雪期の道迷いの条件」をまとめてみる。

1 時期的なことから 

 山登りの時期は、一般的には梅雨明けから。100名山とか200名山・300名山を目的とする登山者は、登山シーズンを待ってから行動を起こす。深田久弥の100名山の場合も、登山の時期はほぼ限られている。しかし、残雪期に登る山は、5月の連休頃から登り始められるようだ。笈ヶ岳・猿ヶ馬場山などはその典型。道路も、この日を目標に整備(雪かき)されている。

 しかし、残雪期に登る山でも雪の多い山では、この時期より遅れるので登山者も少なく、従って道も悪い。今年登った安平路山、奥茶臼山、池口岳などがこの例だ。こういう山については、事前によく調べておく必要がある。

 2 踏み跡から

  雪の上に残る足跡は、初めて登る者にとって大変に助かる。少々吹雪いた時でも、足跡さえ見失わなければ目的地に着くことが出来る。しかし、これを過信してはいけない。誤った方向へ進む足跡もある。このような場合、やはり地図とコンパスが必要。

 3 行きと帰りの条件の違いから

  残雪期の場合、頂上に立てば帰りは大丈夫だと思いがちです。なにせ自分の足跡をたどれば帰れるから。これも、意外と当てになりません。固い雪なら、足跡もはっきりしないし、逆に、雪が溶けている場所は足跡が残りません。さらに、行きと帰りでは目線が違い、行きでは見えていた目印などが見えにくくなることもあります。(このことは、残雪期だけに限りませんが・・・)

 4 天候から

  天気の悪い日は、無理をしないこと。残雪期といっても天気次第では冬と同じ。冬山の怖さを知っている人は良く理解できると思う。雨からみぞれ、そして雪に風。最悪のパターンです。何度も通った山でもこれは怖い。視界が遮られ、目標物が見えなくなると人は慌てる。心理的な動揺が、方向感覚を麻痺させる。これが怖い。

 5 歩きの特性(残雪期だけに限らない)

  人は真っ直ぐに歩こうとする特性を持っているらしい? 目の前に障害物などが無い場合、そのまま真っ直ぐに進もうとする。これが道迷いの原因になることもある。そんな経験はありませんか?

 2 残雪期以降の山で

  7月25日(晴れのち曇り) 笊ヶ岳

  笊ヶ岳は、一般的には泊をともなう山です。しかし、日帰りも充分に可能な山。朝早くにスタートして、お昼前に頂上着。写真を撮ってすぐに下山を開始した。急いだのは、下山に要する時間が掛かるということと、天候が心配だったから。午後3時前後か、かなり降りた頃、周囲が暗くなり一雨来そうな雰囲気でした。一本道なので迷うようなことは無いはずなのだが、一瞬「おやっ?」と思い立ち止まる。行く手に倒木が・・・。登るときにあったかなと思い出そうとするがわかりません。この辺りは、木々がまばらで踏み跡がはっきりしません。どちらへでも歩けそうでした。それに薄暗くなっていて先の見通しも悪い。心配になり、はっきりしている道まで一旦引き返して周囲を見るに、どうも先ほどのルートで良いようです。思い切って倒木を越すと、道がありました。登りと下りとでは、周囲の風景が違って見えるし、記憶も曖昧な場合が多い。

 8月8日(曇り) 男鹿岳 

  この山は、残雪期に登る山だと思う。しかし、この事がわかったのは、後の祭りでした。登山口まで3時間の歩き。夏草の生い茂る廃道を行きます。登山口は、福島県と栃木県との県境にあり、ここも夏草が生い茂っていました。テープを頼りに頂上を目指しました。山頂近くは大変な藪となっていて目印を見つけるのに神経を使います。やっと頂上に達し、いつものように写真を撮って下山開始。大藪も終わりホットした頃です。登山口も近いと感じていました。後で思うに、そのまま下れば良かったのです。しかし、目印が見えません。一旦赤テープがある地点まで引き返し、何を勘違いしたのか右手の方を探し始めました。これは、全く方向が逆。ズルズル斜面を下りおかしいと思い、一旦引き返します。途中まで引き返し様子を伺うと、遙か下の方角に道路の側壁が見えました。落石を防ぐためにコンクリートで固めた壁です。その方角へ下れば帰れると思い、考えることもなくどんどん下って行きました。急な斜面も何のその、気づくと沢に降りていました。

  「道に迷ったら尾根に登れ。沢に降りるな。」という格言に見事に反しています。登山口の方向が確認出来たという安心感もあったからですが、考えてみればその方向へ真っ直ぐに行けるはずはなく、途中には、深い沢や急な崖もあり、沢に降りてしまうと方向がつかめなくなります。 いけないのは、一旦沢に降りると後戻りは難しいということ。今降りてきた急な斜面を引き返すには、それなりの体力と時間を要します。それがいやなので、安易な方(沢を下ること)へ進もうとするのは本能的なものだろうか。 沢の怖いのは、必ずと言って良いほどに「滝」があることです。小さい滝ばかりではなく、大きな滝もあります。幸い大滝は無かったのが不幸中の幸いです。 

 滝が現れるたびに恐る恐る下を見ては、降りれそうなルートを探していくつかの滝を下りました。その内、沢の様相が変わり、川幅も広くなって、幾分人間臭さのする河原に出ました。時間的には、午後3時を過ぎていたと思います。幾分暗くなってきて焦りを感じはじめ、「遭難」という言葉がちらつきはじめます。木々におおわれた河原の中、「ヘリが来ても見つけてはもらえないだろう」とか、「誰か遭難の連絡をしてくれるだろうか」などと弱気になっていた時、ふと上の方を見たら、何か道のようなものが見えます。「おぼれる者は、藁でもつかむ」ではないですが、とにかく登って見ることにしました。「道路」でした。ただ、この道が今朝方歩いて来た道かどうかは、はっきりしません。栃木県側の道に出ているとすれば、この道は深山ダムにつながっているはず。深山ダムは、数日前に下見しておいた所です。何とか「遭難」は免れそう。遠回りになっても仕方がないと自分に言い聞かせながら急ぎました。途中、足跡らしきもの(釣り師の?)もあり幾分元気も出てきました。3~40分も下った時、突然道が無くなりました。水害で流されたようです。この時やっとこの道が栃木県側だと確認出来ました。それでは、この道を引き返せば必ず峠に戻れる。くたびれ果ててはいたものの気を取り戻し引き返すことにしました。何せこの日は、朝食は摂ったけれどその後は何も口にしていません。「アワを食って」食べる余裕が無かったらしい。

 この後、峠に向かって歩きますが、何とまたまた道がなくなります。いよいよビバークを覚悟しました。ライターでも持っていたらよかったなと反省。火があれば夜を過ごすのはそう苦痛ではないからです。この時は、ヘッドランプはあったがライターはありませんでした。日暮れは近づいて、周囲は暗くなりつつあります。この時、ふと上を見ました。これもほんの偶然ですが、まだ「運」もついていたようです。先ほどと同じように、何か道のようなものがぼんやりと見えます。かなり上の方ですが、なにやらあるようなので這い上がることにしました。        ガードレールをつかんだ時は、正直ほっとしたものです。道は、上と下とへ続いています。峠は当然上の方ですが、下の方はどうなっているのか気になり少し下りて見ると、山崩れで道が無くなっていました。 道の様子もわかってきて安心しましたが、後は時間との戦いです。6時前にやっと峠にたどり着きました。沢の中とは違い、まだ幾分明るいのが天の助けです。枯れ枝を拾い杖として、小走りで急ぎました。まだ体力は残っていたようです。途中暗くなり、ヘッドランプを灯して夏草におおわれた廃道をひたすら歩き、そして帰りました。この日は、合計14時間近く歩いていたことになります。 

 以上が、男鹿岳道迷いの概要です。繰り返しになりますが、反省点をまとめてみます。

 1 おかしいと思ったら目印があった地点まで引き返す。正しい道が見つかるまでこれを繰り返す。面倒くさがらない。 

   こんな時は、心理的に動揺していることが多い。荷物をおろしていっぷくする位の余裕が欲しい。

 2 道に迷ったら、尾根に登れ。沢に下りるな。

   これは、1と同じような行動でもある。疲れていると登りより下りが楽。楽な方(沢)へ向かいがちです。

 3 地図・コンパスに加えて、ヘッドランプ・ライターを。

   いよいよの場合、ライターが欲しい。たばこを吸わない人はライターは持たないが、ザックに入れておくと良い。

 4 年をとると判断力が低下する? 年寄りの冷や水。

   これだけはどうしようもない・・・。