山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

槍、穂高を滑る

2009年05月05日 | Weblog

 写真は、槍の肩から見た西鎌尾根。中央やや左に黒部五郎岳とカールが見える

 07,08年と通った連休のオートルートだが、今年は趣向を変え槍から横尾谷を滑り、涸沢に入ることにした。槍に関しては、槍沢と飛騨沢はすでに滑っているけれど大喰岳からの斜面が気に掛かっていた。

 また、横尾尾根から横尾谷へのスロープもいつかやってやろうと思っていたし、涸沢にテントを張り、ザイテングラードを滑るのも魅力的だと考えていた。結局、今年の連休はこれらの課題をクリアーすることにする。(別に連休に出かける必要はないけれど、天候と雪の状態からこの頃がいいようだ)

 4月29日松江を発ち、途中東海北陸道のSAで車中泊。翌日早くに高山から平湯に入る。平湯はアカンダナ駐車場に車を置き、4時50分のバスで上高地に。板とクツをザックに付け、ズックで歩き始める。横尾8時15分。ここから涸沢へ向かう人は多いが槍方面は少ない。簡単な朝食を済ませて槍沢ロッジへ向かう。歩くにはズックのものだ。ロッジ前までこれで歩く。

  槍沢ロッジ前からシール歩行となるが、徐々に疲れも出始めたせいかペースが落ちる。大曲あたりからは特にひどい。素晴らしい天気だが登りには逆効果。目印の旗を数えながらとにかくがんばるしかない。

 槍沢ロッジからはシール歩行となる。

 大曲を後ろに見て。このあたりからきつくなり歩数や旗の数を数えながら登る。

 殺生小屋を眼下に。滑るにはもってこいの斜面だが、この日はくたびれて何もできなかった。この日は、寝不足とエネルギー不足のためか途中で太ももに痙攣。少しあわてる。年相応に休憩を入れながらやらないといけなくなったようだ。

 

  16時、肩の小屋到着。テントを張る気力もないのでこの日は小屋泊まりとする。

  翌朝テントを張り終えてから大喰岳へと向かう。 縦走にはもってこいの天気。雪も良くしまっている。

 槍のテント場と大喰岳。テントは少ない。スキーヤーは皆小屋泊まりだ。  

 大喰岳頂上にて。稜線の向こうには前穂の北尾根が。

 

  槍ヶ岳

 大喰岳の頂上からは、いくつかのコースが考えられるがまずは優しそうなコースを滑る。このコース(沢)の下には、すでにスキーヤーの姿が。この沢の雪はやや重く、あまり面白くない。最近降った雪なので期待していたザラメ雪にはなっていない。途中まで滑り登り返すことにする。 大喰岳の頂上から槍の眺めはいい。登山者たちの姿がゴマツブのように見下ろせる。直ぐ足下から急なスロープが一気に落ちている。この斜面が大喰岳南斜面だろうがあまりの迫力に気後れして、先ほど滑った沢のさらに左よりを天狗原方向に向けて滑ることにする。結構長い沢だ。適当に滑り、槍沢へトラバースする。後は板を担いで槍の肩まで登り返す。下の写真中央の疎樹林あたりが天狗原への登り口。

 写真右の斜面が大喰岳の南斜面(下の写真)。これはかなり急だ。正面奥には屏風の頭から続く北尾根。その手前の尾根が横尾尾根。天狗原は左下で雪をかぶっている。

 結局この日は、2本滑って終わり。なんだかもったいないような気もするが無理はしないことにする。何せ昨日の太もものケイレンが気になる。明日、横尾谷から涸沢へ行けるか心配。槍の肩から懐かしいオートルートの風景を見る。今期まだ誰もやっていないらしい。

   

 5月2日、快晴。思い荷物を担いで槍沢を滑り下り、天狗原下からシール歩行に切り替える。横尾尾根までひたすら登り返す。このコースは連日何人かが挑戦しているらしくトレースもはっきりしていた。ヒイヒイ言いながら何とか尾根にたどりつく。谷への滑り込みが気に掛かっていが、まあまあの斜度なので一安心。黒部五郎のカール程度だろうか?8時40分、槍肩の小屋を出発し10時40分横尾。14時25分涸沢着。

 

 反対側から見た横尾谷全景。あまり人が訪れることもない別天地。かって、ウエストンが嘉門次のガイドでこの谷から槍ヶ岳へと向かったそうだ。中央のやや傾斜の落ちたあたりが黄金平と呼ばれている。秋の盛りに一度は訪れてみたい。 

 

 荷物を置いて一休み。横尾尾根にて。

 遙か眼下には、涸沢に向かう人の列が・・・。横尾谷から涸沢に入るあたりがちょっと迷う。涸沢出合いまで下るのではなく、その少し手前の斜面をトラバース気味に登ると対岸に横尾からの登山道が見えてくる。後はこの道とほぼ並行に涸沢を目指す。緩い登りなのでシールが効果的だ。

 横尾本谷は下部で涸沢と合流する。写真は、その合流地点あたりからのもので、屏風岩の裏側。涸沢へと続く道に登山者が見える。

 

 いよいよ涸沢。穂高の威容に圧倒される。

 

 涸沢テント場。ここには、売店とトイレが良く整備されている。

 

 マイテント。すぐ前にザイテンと奧穂高。明日滑るコースが真っ正面に。 

 今回のメインコースは、奥穂小屋の前からザイテングラードの横の小豆沢を滑ること。写真では緩やかに見えるが緊張する。

 

 涸沢岳のあたりにもよさそうな斜面がいっぱいだ。

 

 北穂南陵は夏の道。残雪期は雪の斜面を真っ直ぐに登る。この斜面も滑ると面白そうだが?

 

 暮れる涸沢。

 

 いよいよザイテンに。約2時間の登が待っている。スキーを引っ張り誰も出た後、一番最後にスタートする。写真中央の岩場あたりまでで1時間。それからやや急な斜面を1時間登る。

 

 奧穂小屋の前から涸沢を見る。テントが芥子粒のようだ。スキーの準備をしていると周りに人が集まりカメラを向けられる。せかされるようでいい気がしない。雪は緩み加減で滑るには問題はなさそうだからさっさと飛び込む。2~3度ターンするともう上からは見えなくなる。これで一安心だ。

 

 何度か休みながら無事テント場に滑り着く。元気がある人は、午前と午後それぞれ1本ずつ滑るが今回はこれで満足する。売店のビールで一人乾杯し、テントをたたむ。5月の空に鯉のぼりが映える。

 

 続々とやってくる登山者を下に見て、気持ちのよいターンをくりかえす。気分は最高。本谷橋上のブッシュの中でいったんスキーをはずす。ここから担いで下ればよかったのに欲を出したのがいけなかった。沢沿いになおも滑り、屏風岩を回り込んだあたりでどうしようもなくなり、藪こぎに時間を取られる。やっとの思いで横尾への道にはい上がる。

 

 横尾でしばらく休み、この日は徳沢にテントを張る。翌日、ズックに履き替えて上高地へ、。スキーブーツを担ぐのは重くていやだったが、少々重くてもズックで歩く方がはるかに快適だということがこの時よくわかった。元気なときはそう感じないが、疲れてくるとズックの良さがよくわかる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする