山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

百名山の記録 金峰山(2007年)

2014年08月29日 | 日本百名山

    8月31日(金) 金峰山     金峰山・・・奥秩父の盟主

                 

   今日は朝から小雨がぱらつく。雨具をまとい行動食をザックに投げ込み金峰山登山のスタートだ。山一帯は風と霧に被われ視界は悪い。とにかく頂上までと歩き始める。大日岩の下を回り込み、シャクナゲの林を抜け千代ノ吹上に差しかかる。霧と風、時折雨粒が叩きつける。頂上も近いはすなのだが、視界がないものだから見当もつかない。尾根のピークに立つたと思っても、霧の中にまた新たなピークらしき峰が現れる。これが頂上かと登り着くと、まだ先にピークのような尖塔が現れる。山では良くあることなのだが気持ちばかりがせって呼吸が乱れる。花崗岩の大岩を幾つか抜けると、やや開けた平に出て、2599m「金峰山頂上」の標識を見る。晴れた日なら、絶景のパノラマの広がる天上のパラダイスなのだろうが、今日は残念無念この上もない。

               金峰山 この地点に頂上標識あり。 写真の岩の上はわからなかった。

 

                 

   写真を撮り、下山。途中、大日岩の大きさと、シャクナゲ林の素晴らしさには改めて驚かされた。
 大日小屋のテント場に帰り、濡れたテントをたたむ。もう一度花の季節に来ることができるのだろうかと思いながら山道を下る。
 頂上での天気は悪かったが、下山するにしたがって回復方向に向かい駐車場に着いて頃には青空も見え出していた。瑞垣山荘でコーヒー休憩をする。
 

   近くに「木暮理太郎」の碑があるというので行ってみる。それは、金山平にある金山荘の裏山にひっそりと建っていた。胸像というよりレリーフで、小屋のご主人の話では元の位置はもっと上の方にあったとのこと。金峰山をこよなく愛したこの山の先達は、訪れる人もいない白樺の林の中にひっそりと佇んでいた。
                                 

                          第三代 日本山岳会会長 木暮理太郎

                   

                                (出発時間不明 頂上10:15~テント場12:30~瑞垣山荘前14:30)

 ソバの花を横目に、甲信武岳に向かう。 
        

                    そばはまだ 花でもてなす 山路かな (芭蕉)  

 

   広々とした田園風景の中を抜け、毛木平に車を入れる。良く整備された広くて清潔な感じの駐車場に車が数台駐めてあった。 休憩所には、登山の注意やら山の説明やら何かと懇切丁寧な感じがし気持ちが良い。特に、清潔なトイレがあるのはありがたいことだ。
 駐車場に駐めてある車の前で男性が一人、用意した小さなテーブルに向かい食事をしておられた。どうも、焼き肉で一杯の様子。私の姿を見ると、自動車ごと駐車場の隅の方へ移動された。今は、あまり人と交わりたくないらしい。遠目にも、一人孤独を楽しんでおられる様子で近寄りがたい。
 私も、隅の方に車を駐め、持参のテーブに、ありったけの食料を広げる。まずは今日の一日に乾杯。夏の終わりの夕暮れ時。甲武信岳の麓に静かな時が流れる。
 夜半、大型バスが入って来た。甲武信岳へ登る団体さんの到着のようだ。バスの中で朝を迎え、早朝に出発する予定なのだろう。 
 

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百名山の記録 瑞垣山(2007年)

2014年08月29日 | 日本百名山

瑞垣山   8月30日(木)

                 

 昨日は雲取山を終え、中央自動車道まで帰り釈迦堂パーキングで車中泊とした。朝から天気は思わしくないが、ナビに任せて瑞垣山へ向かう。瑞垣山への登山口には、瑞垣山荘があるからこの山荘の電話番号を入力すれば近くまで案内してくれることになる。お陰で登山口を捜す手間が省け、ロス時間が少なくて大いに助かる。
 ナビに導かれて瑞垣山荘前に着く。すぐ近くに登山者用の駐車場があり数台の自動車が駐めてある。ここから瑞垣山と金峰山への登山となるのだが、日帰りで2座は難しそうなのでテントを担ぐことにした。
 テントを担ぐと、それに付随した装備も加わるからちょっとした重量になる。ゆっくり一歩一歩と歩き始める。山登りの荷は軽い方が良いのだが、多少の荷物を担いでいた方が充実感を感じるのは何故だろう。山登りの魅力は単に頂上に立つことよりも、この充実感を味わうことにあるようだ。

  ゆっくりでも、休まず歩いていれば大体の時間で目的地につくものだ。意外に早く、富士見平に到着。山小屋があるので入ってみると、ガランとして誰もいない。管理人の書き置きがあり、所用でしばらく不在とのこと。小屋の使用について、幾らかの注意があった。 重い荷物を置かせてもらい、身軽になって瑞垣山へと向かう。途中、小川山への案内板を横に見てさらに進み、沢筋に出る。まもなく桃太郎岩が現れる。大きな大きな花崗岩の岩なのだが、おとぎ話に出てくる桃太郎の桃を連想させる。まさに桃太郎岩だ。ぱっくりと二つに割れているところもいい。急な登りが始まり、時折岩峰が姿を現す。

                

   瑞垣山の岩峰群だ。しばらく登ると、先行者に追いつき先に登らせてもらう。狭い尾根筋のような場所に出るが、周り一面は風化した花崗岩で、その上に幾らか腐葉土が積もっている。シャクナゲの林のような場所だ。間もなく頂上に飛び出す。迫力満点の花崗岩の頂上だ。霧が風にあおられ、時折下界が望まれるが、遠望はない。写真で見た覚えのある大岩峰が、霧の中からニョッキリと現れる。異様な感じさえする。
 先ほどのご夫婦らしき二人連れが登ってこられたが、頂上に着いた途端、水泳のタッチよろしく下山を始められた。眺望もなく、風も強く長くいてもしょうがないのはわかるが、それにしてもあっさりしているなと思った。

  記念写真を撮り、下山する。大小の岩がゴロゴロしている中に付けられた道を下りるのだが、大岩の下には、か細い木のつっかえ棒がなされている。多分、大岩が動き出さないようにするためだろうが、こんな大きな岩に対しては何の役にも立たないだろうということは一目瞭然だ。けなげという他はない。多分、誰かが杖に使っていた木の棒を立てかけたのが始まりなのだろうが、他の山では見かけないユーモラスな風景だ。

                                桃太郎岩 

                

                           つつかえ棒が見えないけど・・・。

 富士見平の小屋に戻り、今夜の宿泊場所について考える。小屋泊まりでも良いのだが人気のない小屋はあまり良い感じがしない。どこかから誰かに見つめられているようで何となく気が進まないものだ。この気持ちは、真っ暗闇の山小屋を想像してみるとよく分かると思う。
   天気は思わしくないが、とひかく次のテント場まで行くことにする。そうすれば明日の金峰山も近い。小雨が降る中、大日小屋のキャンプ地を目指す。瑞垣山では何名かの登山者に出会ったが、金峰山方向では誰一人会うこともない。とぼとぼと歩き、やっと大日小屋に着く。ありがたいことに、水場も近くテント場も良く整備されている。小屋は富士見平と同じく誰もいない。雨に濡れたテント場なので、排水の良さそうな場所を選びテントを張る。久しぶりのテント泊だ。

     風はないので必要以上の補強はいらないが、雨対策のためにもきちんと張らないといけない。いい加減に張ったため、ひどい目に遭ったことも過去しばしばあった。立山から薬師へ抜ける折、スゴ乗越の小屋の脇で幕営したことがある。物置の屋根を利用させたもらいフライは使わなかったら、テントの中に水が溜まった。フライを使わなかったことが主な原因だ。ただし、フライをしたからといって大丈夫だとは言えない。フライとテント本体との間に多少の隙間ができていないと雨がしみ込むことになる。要は、たるみがないように均等にピンと張ることだ。そうすれば、テントの性能は100パーセント発揮できる。
 溝こそ切らなかったが、ほぼ満足できる設営を終え、テントの中に入ると。なぜか心が落ち着く。山小屋とはひと味違った心地だ。
    百名山をスタートさせてからは、宿泊はもっぱら車中泊だが、やはりテントが落ち着く。テントを利用した山旅は、人にできる最高の形態なのかもしれない。その点、最近山々からテント場が少なくなりつつあるのは残念なことです。
 ひっそりと静寂に包まれた奥秩父の山間にぽつねんと居る自分。大いなる自然の懐の中で、淡い過去のあれこれを思いながら、時の流れに身を任せるのもいいものだ。テントを打つかすかな雨音、梢を騒がす風の群れ。明日は金峰山。
              (瑞垣山荘前11:40~山頂14:15~富士見荘15:35~大日荘テント場17:00)

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