年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

「ゆの森」へ

2015-11-07 18:11:12 | Weblog
 毎日4畳半の部屋でベッドに横になり、満足に歩くこともできず、面白くもないTV画面に目を移したところで、全く耳も聞こえないだけに絵だけを眺めてみても何も刺激されるわけでもなく、な~んもない毎日の苦痛を、アンタは理解できるか?っていうのが息子である私への詰問となっている94の母親である。

 考えてみれば、確かに私の仕事場の一つである刑務所では、その共同房において、受刑者が6畳ほどの部屋で数人が共同で過ごし、朝になればそこから出て作業工場に行き、無駄口をしゃべることは出来ないが、常に誰かを視認でき得る環境の中にいる受刑者の方が、足が不自由との身体的条件、ヘルパーさんがやって来る朝夕を除けば、いつも独りでいることを考えると刑余者より劣悪な環境に居ることになる。
 それでも昨年までは弟が生きていて、入院中の病室にいること、また自宅のベッドでほとんど横になってはいたものの話しかけると、それ相応の反応がある限りは、さみしいなどと聞くことはなかった。
 妻は、奈良にいて義母の入院中の病室に日参しているにつき不在、つまり私が妻の用事ごとを手伝うことのない毎日、

 それでは、母親を部屋から連出し、今日は紅葉を愛でようではないか、そして湯に入ってもらおうではないか・・と考えた。行先は高知・中津川渓谷にある「ゆの森」へ。あいにくの雨模様ではあるが紅葉祭りが開かれているようで・・
 
 自宅から車で90分の距離、

 紅葉祭りとはいえ、見物客はチラホラ

 この湯へは弟がまだ一人で歩くことの出来た時期に母親ともども一緒に来たことがある。数年前のこと。母親は、アッ来たことあるね・・などと思いだしたようで・・浸かる

 お湯の中では枯れ木のように浮いてしまうために嫌がる妹を呼び寄せ入浴介助のお手伝いをすることに。湯に浸かったあと、
 すっかり上機嫌となる母親であった。

 耳の聞こえない当人は・・あ~旅行に出かけたようだった・・と満足げ。母親に悪態をつきながらではあるが・・こんな良い子供はいねえよ・・などと言いかけると、妹からは、それを言っては兄の値打ちが無くなる、黙っておけばすごく親孝行に映るのになぁ・・。残念、しかし言っておかないとこちらの気持ちが・・・。
 霧雨のなかワイパーを動かして33号線を走る。秋雨前線が張る時期が来るんだろうか、するともうすぐ本格的な冬が来るはず。