ここ何度か土曜日になると通っている経絡堂のH君は、元山岳部出身。私とは高松にあった出版社の支店勤務時代にいっしょであった。彼はアンナプルナ4峰を登頂したいがために退社した。その前はニルギリを登っており、20~30歳台は、生活のほとんどを登山に集中していた。結局企てたアンナは6000メートルの高さでザイルを落としてしまって登頂不能になり帰国した。その後、鍼灸師資格を取るために、京都に4年間奥さんや子供さんといっしょに移り住んで、働きながら学校へ通った頑張り屋さんである。H君が打つ針は痛くも痒くもないので、今朝も、もっと気合を入れて鍼を打ち込んでくれ、と頼むと、笑いながら彼は、深く打てばいいもんと違いますよ、身体全体の気の流れを良くするために打つんです。などと言った。私の身体は、気合の、気は今止まっているみたい、うまく流れていないみたい。