カクレマショウ

やっぴBLOG

自治体の企業広告って。

2006-08-09 | ■社会/政治
読売新聞に、「自治体「広告で稼ぐ」」という記事が載っていました(2006年8月6日付け)。

財政難にあえぐ自治体が、ホームページや広報紙に企業広告を掲載して歳入の足しにしようというものです。たとえば、東京都豊島区の公式ホームページにアクセスしてみると、画面の右端にずらりと15件の企業の広告バナーが張ってあります。新聞によれば、これは、「企業が支払う広告料が高い順」に上から並べられているのだそうです。一番上に掲載されている企業は、18年4月からの12ヶ月の契約で、広告料31万1千円を支払っているようです。以下、掲載期間はぞれぞれ異なりますが、15件の広告料の総額は320万円となります(豊島区公式ホームページ「トップページのバナー広告掲載順決定状況」より)。

自治体の公式ホームページは比較的アクセス数も多いことから、事業主にとっては人気の高い広告媒体になっています。もちろん、内容が充実していなかったり、アクセシビリティに配慮されていないホームページだとしたら広告も思うように集まらないでしょうから、広告が欲しい自治体としてはまずは魅力あるホームページにすることが大事ですね。

また、「宮城県営宮城球場」→「フルキャストスタディアム」のように、公共施設の「命名権」を企業に売却して得られる収入は数億円単位となります。ただ、企業にとって、高い金を払ってでも企業名をつけたくなる施設があるかどうかが問題で、現状では、命名権の導入事例は日本ではまだ10件程度しかないそうです。

行政の公平性や公共性の観点から、こうした自治体による広告を疑問視する声は根強く残っています。確かに、たとえばホームページにある歯科医院の広告が掲載されていれば、その歯医者さんは市(町・村)が認める「いい歯医者さん」ととらえてしまう人がいないとも限りません。

そういう誤った情報の受け止め方は、リテラシーを身に付けることで解決することができますが、ただ、実際、自治体のホームページで広告を見てその歯医者に行く人は増えるかもしれません。そうなると、自治体は間接的にその歯医者さんの「営業」を助けていることになります。これは、特定の業者の利益を誘導していることにならないのでしょうか?公共事業の入札では最も安い金額の業者が請け負い、広告では最も高い額を提示した企業が権利を得るというのもなんだか納得いかない。

地方自治法には自治体が企業広告を扱うことについては規定がないため、法律的には問題はないし、住民も了解しているのなら尚更結構なことですが、それでも私は、自治体の広告については、賛成しかねます。「命名権」のように莫大な収入が見込めるならともかく、ちまちました歳入を得るために、行政の最大の原則ともいえる「公平性」をないがしろにしてはいけないと思うのです。「自治体による金儲け」の先進都市である横浜市の中田市長は、「『稼ぐ』こと以上に、行政の思考回路を変える効果」を期待しているとのことですが、自治体は、どうやって収入を増やすか、ではなくて、どうやって支出を抑えるかの方に、より思考回路を向けるべきだと思います。


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