
『コクヨの1分間プレゼンテーション』、疑問編の次は、「結論編」(10秒)です。
1分間プレゼンテーションだと、結論を言うのに10秒しか与えられないから、ほんの一言で語らなければならない。ただ、それは、30分のプレゼンでも同じなのでしょう。言うべきことは「たった1つ」。結論がいくつもあったら、聴き手を惑わせるだけですね。
プレゼンでいう「結論」とは、「相手の心を動かすための考え抜いた判断や意見」だと言う。言い換えれば、「相手が得られるメリットを一言で言う」もしくは「相手がするべきアクションを明確に端的に指摘する」こと。
たとえば、
「この洗濯機は、真夜中に利用していてもクレームは一切生じません。それくらい音が静かなのです」(相手の得られるメリット)
「今必要なことは、マネジメントの意識を業績管理型から部下育成型に変えることです」(相手がするべきアクション)
ここで注目したいのは、あくまでも「相手」が主体だという点。つまり、「自分は何が一番言いたいのか?」で結論を決めてはダメだということ。相手が行動を起こそうという気にさせるには何を言えばいいのだろう?という思考回路が必要なのですね! このあたり、選択理論も通じるところがあるのかな。
また、「結論」は、プレゼンの“キモ”の部分でもあるので、それなりの「インパクト」も必要となります。ここで紹介されているのが、「反対の組合せ」と「似た概念の組合せ」。「反対の組合せ」とは、たとえば、「青汁」のCMなんかを思い出せばいいかもしれません。「う~ん!苦いっ!」→「でも(健康のために)もう一杯!」。あれですね。
この本では、「1分間のプレゼンテーションのスキル、身につければ一生モノです!」という例が挙げられています。「1分間」と「一生」という反対の組合せでインパクトを与える。私の好きな「苦楽(くるたの)しい」という言葉もそうかも。考えればいろいろ出てきそうです。
一方、「似た概念の組合せ」は、「揺るがない自信、免震構造の家!」みたいに、文字通り、同じ意味の言葉を巧みに組み合わせて重層的なイメージを植え付ける方法。「暑い夏こそ、ホットなカレー!」とか?
インパクトを与える言葉の遣い方も、研究が必要ですね。
さて、「結論編」で最も「インパクト」があったのは、「聴き手が想像しているより、一段深いことを言おう」というメッセージ。「ありきたり」じゃだめなんですね。「そんなのわかってるよ」と思われないように、相手の「想定」外のレベルの結論を言う。
ここで出てくるのが「チャンク・ダウン」という言葉。「チャンク」とは「塊」のことだそうですが、話の内容を、大きいくくりから深堀りしていって、具体的な小さな「チャンク」にしてみる。その中から、どれが聴き手がほしい情報なのかを見極めて、それを結論として使う。たとえば、
「部下とのコミュニケーションが大切と思っている組織長に、他部門との連携の大切さをもっと意識させることが重要なのです」
「他部門との連携の大切さ」というのが、小さなチャンクにあたります。単に、たとえば「上司の古い意識を変える必要がある」という結論なんかに比べたら、格段の違いですよね。具体的に何をすればいいのか、訴えることができます。いくつかのチャンクを挙げて、「どれも大事ですね」というのはもっと良くない。「どれか」に絞り切ること。「取捨選択力」ってつくづく大切です。あれもこれも、というのは、何もしないと言っていることと同じですよね。
さて、「疑問編」、「結論編」ときて、次はいよいよ「理由編」。今述べた「結論」がなぜ必要なのか、なぜ大切なのか、この部分に一番時間をかけます。納得できる1分間プレゼンテーションまであと一歩!
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