というわけで、もう少しでナマコのおいしい季節を迎えます。
私にとってのナマコは、青森県横浜産のナマコ。横浜町は、まさかりの形をした下北半島のちょうど取っ手の部分に位置する町ですが、冬の陸奥湾でとれる横浜ナマコは、コリコリと歯触りも良く、おいしい純米酒と一緒ならどんぶり一杯くらいは食べられます。酢の物にしてもいいのですが、とれたてのナマコはぶつぎりにしてそのまま食べても潮の香りで十分いけます。
その横浜産ナマコをはじめとする青森県産ナマコが、最近、価格が急上昇しているのだそうです。漁獲量も近年ナマコのぼり、じゃない、うなぎのぼりに増え、2006年の漁獲量1,496トンは、10年前の667トンと比べると約2倍、販売額はもっとすごくて、2億9,000万円から26億7,000万円と約9倍に伸びている。単純に1kg当たりの値段を割り算してみると、1996年 435円 → 2006年 1,785円 と、4倍以上値上がりしていることになります。
この「ナマコ異常事態」の背景には、中国で干しナマコの需要が増えていることがあります。経済成長著しい中国で、富裕層を中心に高級干しナマコの人気が高まっている。ナマコの体はもともとが水分90%以上を占めますので、乾燥させると重さは4%くらいに減ります。それでも、末端価格でキロ当たり2~3万円、なかには10万円もの高値がつくこともあるのだとか。そんな中国では、陸奥湾産ナマコは北海道産と並んで品質で世界一と折り紙付きなのだそうです。それはそれでうれしいのですが、そのために地元のおいしいナマコが手に入りにくくなるとしたら、ちょっと淋しい。
ん?なんか同じような話があったような…。そうだ、ホヤのふにゃふにゃ病だ! 韓国産のホヤがふにゃふにゃ病のため壊滅状態、で、日本産のホヤの輸入急増、という話でした。ホヤとナマコ、今年はそろって騒がせてくれますね。
それはそうと、ナマコの需要増大を受けて、青森県では、県水産総合研究センター増養殖研究所が中心となって、陸奥湾内のナマコの資源調査や人口種苗、管理技術の研究に乗り出すのだとか(2007年9月25日付けデーリー東北)。ナマコは、いまだに生態や増殖についてわかっていないことが多いらしく、このまま乱獲が続くと枯渇する恐れもあるということで、計画的で安定した生産体制を取ることが目的らしい。この手の調査は、ちょっと調べてみたら長崎県あたりも既にやっているようです。九州でもナマコはとれるのです。そういえば、かつて、佐賀の人が、ナマコには赤ナマコと青ナマコがあって、赤ナマコは高級品で、正月にしか食べられない、といった話をしてくれたことがあって、ほぉ~と思ったものでした。それまで、なまこに赤とか青とかあるとは知らなかったもので。
長崎と言えば、江戸時代、日本で唯一外国(清=中国、オランダ)との貿易が認められていた港が長崎ですが、「俵物三品」と呼ばれた中国向けの輸出品がありました。煎海鼠(いりこ=干しナマコ)と干鮑(干しアワビ)、鱶鰭(フカヒレ)です。いりこは、中国では、朝鮮人参にたとえて「海参」と書いて、強壮薬として珍重されたと言います。干しナマコの歴史は長いのです。
それにしても、日本人はいつごろからナマコを食べるようになったのでしょうか? 実は8世紀初め頃に書かれたと言われる「古事記」に既にナマコの記述があるという。ナマコの口がなぜ裂けているのかというどうでもいいことを神話にかこつけて語られています。「古事記」ではナマコは既に「海鼠」と記されており、そのころから“海のネズミ”と呼ばれていたのですね。ちなみに、英語では"Sea cucumber"(海のキュウリ)と呼ぶそう。あれは「キュウリ」に見えるかなぁ?
海のネズミは、見た目はネズミよりずっとグロテスクで、ホヤと並んで、「最初に食べた人は勇気がある」とよく言われますが、人間がナマコが「食べられる」ということを最初から知っていたわけではないでしょう。たぶん、イソギンチャクとかヒトデとかウミウシとかアメフラシも食べてみたにちがいありません。で、ホヤとナマコはおいしかったと…。私たちがおいしいホヤやナマコを堪能できるのも、その人(たち)のおかげですね。ホヤとナマコのおいしさにたどりつくまでに、様々な「ゲテモノ」にあたって、なかには不幸にも亡くなられた方もいたかもしれません。…合掌。
ただ、おいしいというだけで、あんなグロテスクな生き物がこれほど長く食べ続けてこられたでしょうか。きっと、滋養強壮に効き目があり、栄養価も高いからこそ、中国のように、干して、長時間かけて戻すという手間をかけてまで中華料理の具材として珍重されてきたのでしょうね。
ナマコは、古くは「コ」と呼んでいたらしい。「生」のコがナマコで、干したコがイリコ。卵はコノコ。珍味中の珍味、内臓(腸)はコノワタ。内臓といえば、ナマコは危険が迫ると、内臓を自分で吐き出して逃げるんだって!! そんなことをしたら死んでしまうのでは?ところが、あに図らんや、内臓はしばらくするとちゃんと再生するというから驚きです。何という生命力。
そんなたくましい生命力を持つナマコ。今年の冬もたっぷり食べて、ぜひあやかりたいと思うのですが、中国の干しナマコ攻勢に負けずに、まずは地元市場に供給お願いしますね。
私にとってのナマコは、青森県横浜産のナマコ。横浜町は、まさかりの形をした下北半島のちょうど取っ手の部分に位置する町ですが、冬の陸奥湾でとれる横浜ナマコは、コリコリと歯触りも良く、おいしい純米酒と一緒ならどんぶり一杯くらいは食べられます。酢の物にしてもいいのですが、とれたてのナマコはぶつぎりにしてそのまま食べても潮の香りで十分いけます。
その横浜産ナマコをはじめとする青森県産ナマコが、最近、価格が急上昇しているのだそうです。漁獲量も近年ナマコのぼり、じゃない、うなぎのぼりに増え、2006年の漁獲量1,496トンは、10年前の667トンと比べると約2倍、販売額はもっとすごくて、2億9,000万円から26億7,000万円と約9倍に伸びている。単純に1kg当たりの値段を割り算してみると、1996年 435円 → 2006年 1,785円 と、4倍以上値上がりしていることになります。
この「ナマコ異常事態」の背景には、中国で干しナマコの需要が増えていることがあります。経済成長著しい中国で、富裕層を中心に高級干しナマコの人気が高まっている。ナマコの体はもともとが水分90%以上を占めますので、乾燥させると重さは4%くらいに減ります。それでも、末端価格でキロ当たり2~3万円、なかには10万円もの高値がつくこともあるのだとか。そんな中国では、陸奥湾産ナマコは北海道産と並んで品質で世界一と折り紙付きなのだそうです。それはそれでうれしいのですが、そのために地元のおいしいナマコが手に入りにくくなるとしたら、ちょっと淋しい。
ん?なんか同じような話があったような…。そうだ、ホヤのふにゃふにゃ病だ! 韓国産のホヤがふにゃふにゃ病のため壊滅状態、で、日本産のホヤの輸入急増、という話でした。ホヤとナマコ、今年はそろって騒がせてくれますね。
それはそうと、ナマコの需要増大を受けて、青森県では、県水産総合研究センター増養殖研究所が中心となって、陸奥湾内のナマコの資源調査や人口種苗、管理技術の研究に乗り出すのだとか(2007年9月25日付けデーリー東北)。ナマコは、いまだに生態や増殖についてわかっていないことが多いらしく、このまま乱獲が続くと枯渇する恐れもあるということで、計画的で安定した生産体制を取ることが目的らしい。この手の調査は、ちょっと調べてみたら長崎県あたりも既にやっているようです。九州でもナマコはとれるのです。そういえば、かつて、佐賀の人が、ナマコには赤ナマコと青ナマコがあって、赤ナマコは高級品で、正月にしか食べられない、といった話をしてくれたことがあって、ほぉ~と思ったものでした。それまで、なまこに赤とか青とかあるとは知らなかったもので。
長崎と言えば、江戸時代、日本で唯一外国(清=中国、オランダ)との貿易が認められていた港が長崎ですが、「俵物三品」と呼ばれた中国向けの輸出品がありました。煎海鼠(いりこ=干しナマコ)と干鮑(干しアワビ)、鱶鰭(フカヒレ)です。いりこは、中国では、朝鮮人参にたとえて「海参」と書いて、強壮薬として珍重されたと言います。干しナマコの歴史は長いのです。
それにしても、日本人はいつごろからナマコを食べるようになったのでしょうか? 実は8世紀初め頃に書かれたと言われる「古事記」に既にナマコの記述があるという。ナマコの口がなぜ裂けているのかというどうでもいいことを神話にかこつけて語られています。「古事記」ではナマコは既に「海鼠」と記されており、そのころから“海のネズミ”と呼ばれていたのですね。ちなみに、英語では"Sea cucumber"(海のキュウリ)と呼ぶそう。あれは「キュウリ」に見えるかなぁ?
海のネズミは、見た目はネズミよりずっとグロテスクで、ホヤと並んで、「最初に食べた人は勇気がある」とよく言われますが、人間がナマコが「食べられる」ということを最初から知っていたわけではないでしょう。たぶん、イソギンチャクとかヒトデとかウミウシとかアメフラシも食べてみたにちがいありません。で、ホヤとナマコはおいしかったと…。私たちがおいしいホヤやナマコを堪能できるのも、その人(たち)のおかげですね。ホヤとナマコのおいしさにたどりつくまでに、様々な「ゲテモノ」にあたって、なかには不幸にも亡くなられた方もいたかもしれません。…合掌。
ただ、おいしいというだけで、あんなグロテスクな生き物がこれほど長く食べ続けてこられたでしょうか。きっと、滋養強壮に効き目があり、栄養価も高いからこそ、中国のように、干して、長時間かけて戻すという手間をかけてまで中華料理の具材として珍重されてきたのでしょうね。
ナマコは、古くは「コ」と呼んでいたらしい。「生」のコがナマコで、干したコがイリコ。卵はコノコ。珍味中の珍味、内臓(腸)はコノワタ。内臓といえば、ナマコは危険が迫ると、内臓を自分で吐き出して逃げるんだって!! そんなことをしたら死んでしまうのでは?ところが、あに図らんや、内臓はしばらくするとちゃんと再生するというから驚きです。何という生命力。
そんなたくましい生命力を持つナマコ。今年の冬もたっぷり食べて、ぜひあやかりたいと思うのですが、中国の干しナマコ攻勢に負けずに、まずは地元市場に供給お願いしますね。
私、やっぴさんと多分同世代で、青森市出身、現在神奈川県在住の者です。
さもだしが食べたいな~、と検索していてこのページを見つけました。
なまこも大好きです。ほやは、ちっと苦手です。
コメントいただきありがとうございます。
さもだし。そちらではなかなか手に入らないのではないでしょうか。これからさもだしシーズンですよ。
さもだしといいナマコといい、旬のものがやはり一番おいしいですね!
でも、まだ青森に行ったこと無いのです
なまこは、湯通して酢に漬けていただきます。
本場で、1度なまこを食べてみたいです
コメントありがとうございます。
血は争えない、と言います。きっと「なまこ・ほやDNA」が存在するのだと思います。
ぜひ「本場」で、寒風吹きすさぶ冬の海を眺めながら旬のなまこを味わってほしく思います!