goo blog サービス終了のお知らせ 

カクレマショウ

やっぴBLOG

これぞ、正統派親子丼。

2008-09-20 | ■食べ物
最近は、サケとイクラを乗せた丼を「海鮮親子丼」と呼んだりもするらしいですが、私に言わせれば、あれは「サケとイクラ丼」であって、断じて親子丼ではない。それから、関西の方には「他人丼」というのもあるらしい。「親子」じゃなくて「他人」、つまり、鶏肉の代わりに豚肉や牛肉を使った卵とじ丼だという。これまたけったいな代物だと思う。だいたい、「他人丼」というネーミングが安易です。関西人らしい割り切った考えなのかもしれませんが。

で、やっぱり「正統派」親子丼でいきたい。私にとっての正統派とは、卵はふっくら真っ黄色、鶏肉はもちろん味の濃厚な若鶏で、量はたっぷりめ。「親」が「子」の陰に隠れているようじゃいけない。タレは甘すぎず辛すぎず。タマネギは少なめでいい。卵の間からはみ出しているのはちょっと…。もちろん、全体の色どりを締める意味でも、三つ葉は必須。

なかなかそういう親子丼には巡り合わないわけですが、東京に行くと必ず一度は立ち寄るのが上野・松坂屋地下の「伊勢ろく」。本店は神田にある老舗ですが、この店は、松坂屋南館の、しかも地下2階の、しかも本売り場の片隅にひっそりと存在しています。隣にはなぜこんなところに?と思うような本格中華料理店。ただし客はあまり入っていない様子。そういうロケーションながら、昼どきともなると行列ができる人気店です。

ここの親子丼(普通で780円)は、はっきり言って、すごい(写真はピンぼけですが)。幅広のどんぶりの、フタをあけるとぷ~んと漂う芳醇な香り。テーブルの上には、(当店の)「親子丼の美味しい食べ方」という指南書きが置いてあって、まずどんぶりのフタをあけたら、やげんぼりの七味唐辛子を少々、三つ葉のまわりにさっとふりかけろと書いてある。で、すぐフタを戻して3~5秒でまたフタを空けるのだそうで。

この儀式にどんな意味があるのかよくわかりませんが、見ていると、ほとんどの客がそうやって食べている。この店に来たらそうするのが当然と言わんばかりの表情で。きっと、そうする方がおいしいのだろうと、私も初めて食べたときからずっとそうしてますけど。

指南書によれば、そのあと、2~3口食べたら、「香のもの」を口直しに軽くつまめと書いてある。ま、ここまではさすがに従いませんけどね。でも、「決して卵とご飯をかき混ぜないたりしないように」という教えはきちんと守っています。親子丼って、ぐちゃぐちゃにかき混ぜて食べるのがおいしいと思ってましたが、そこはぐっとこらえて、できるだけ具の形を崩さないように、端の方からそっと箸ですくっては口に入れていきます。

真黄色の半熟卵は限りなくふわふわで、鶏肉は、もともと「伊勢ろく」は焼鳥店だけあって、新鮮でコクがある。しかもたっぷり使われているのがいい。そして、この「親子」とご飯を、絶妙なタレがつなぐ。風味が豊かで、やげんぼりとたいそう相性がいい。

一口一口がただただうれしい。食べてしまうのが惜しいと思うような親子丼がそこにあります。これぞ正統派親子丼、と私は思っています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。