
しつこいようですが、『コクヨの1分間プレゼンテーション』、「理由編」の続きです。
前回、「理由」を述べる時のテクニックとして、比較する、「ビフォー」を示す、の2点を紹介しましたが、他にも、「具体例を忘れずに盛り込む」というテクニックも。
これは考えてみれば、テクニックでもなんでもなくて、具体的に例を挙げて示すと、聴き手もイメージが浮かびやすくて説得力が増すというのは当たり前のことなのです。でも、的確な具体例を探すのにけっこう苦労したりもします。で、ここでアドバイス。もし、プレゼンの内容が商品やサービスの紹介だった場合、「次にいつ使えばいいのか」を考えてみればいいと言う。たとえば、
「こちらの生花宅配サービスは、朝11時までにご注文いただければ本日夕方18時までに、全国どこへでも配達できます。例えば、今晩、知人の誕生パーティがあるが、仕事でかなり遅れそう。そんな場合に電話一本でご注文OK。気持ちだけでも先に届けてみませんか」
「例えば」以下があるのとないのとでは、全然印象度が違いますよね。「どんな時に使えるのか、便利なのか」あるいは「どうすればうまくいくのか」という身近な例を挙げてあげると、実際に行動したくなる率が格段とUPすることはまちがいない。
身近な例といえば、自分の体験を盛り込む、とりわけ、きっかけとか失敗談を話すようにしたり、自分自身の「劣等感」なんかもうまく取り入れたりすれば、より「共感を呼ぶ」ことが可能になるのだそうです。うんうん、自分もそうだったんだ、なんて思ってくれたらこっちのものですよね。
こんなふうに、「ネガティブなこともあえて言う」という点にもなるほどなと思わされました。
たとえば、その商品の「デメリット」もあえて言う。場合によっては言い訳めいて聞こえるかもしれないけれど、肝心なのは、「デメリットを補うメリット」を必ず言うってことです。
「少し値は張りますが、この革靴は雨にも強い防水加工で、できるビジネスマンを演出してくれるのです。」
「デメリット以上の価値がある」ことをアピールするためにあえてデメリットを言うのです。ただ、このくだりをプレゼンの最後に持ってきてはいけないんだって。最後に言ってしまうと、その部分が記憶に残ってしまうからなのだとか。なるほど~。
あるいは、「ネガティブなこと」として、予想される「反論」をあらかじめ言ってしまうというのも一つの手。この場合も、その反論に対する答えを述べることが目的です。こうしておくと、否定的な意見を持っている人も、「味方に引き込む」ことができたりもする。
それから、「比率で伝える」というテクニックも大事ですね。
「こちらの豆腐ハンバーグ定食は、なんと583キロカロリー! ヘルシーです」
「583キロカロリー」がどのくらい「ヘルシー」なのか、イマイチぴんとこない人もいるでしょう。なので、こんなふうに言ってみる。
「一般的なファミリーレストランで食事をすると、すぐに1000キロカロリーを超えてしまいますが、この豆腐ハンバーグ定食は、なんと583キロカロリー。平均的なメニューの約6割のカロリーです。」
これはつまり、「絶対的な数値」ではなくて「相対的な数値」を言えということなのでしょう。これも「比較」の一つですね。全体的、一般的な数値をまず示して、それと比べると○%(○割)である、という比較。○人中○人が…というのはよくCMなんかでも耳にしますもんね。私たちは、やっぱり比べられることに弱いようで。
さらに、○割とか、○人中○人が、と言う場合には、「自分の経験を活用する」ことも大事だという。つまり、他人が調べたデータではなくて、「自分のデータ」を示すということ。
「私がこれまで接してきたお客様では、9割近くの人がこちらのコースをご利用です」
なんとなくハッタリっぽい気がなきにしもあらず…ですが、確かに、「弊社の調査では…」とか「とある専門機関の調べによりますと…」と言われるより、「私の経験では…」と言ってくれた方が、聴き手を引き付ける効果はある。もちろん、場合によっては、「正確な数字は今持っていないのですが」という前置きを付け加えることも必要でしょう。
さて、「聴き手を引き付ける」ということでは、非常に効果的な言葉があるといいます。それは、
「想像してみてください」
という言葉。聴き手にイメージを持ってもらうことを促す言葉ですね。
ちょっと想像してください。
今働いている店員が、全員キビキビと動き、表情はやる気に満ちている。「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」と元気な声が響き、満席のお客様も笑顔で楽しそうに会話をしている。
そんな状態にしたいと思いませんか?
こんな感じ。これを「理由」の最初に前置きとして使う。むろん、これは、プレゼンの最初の部分、「疑問」と結びついていることが大切です。自分と聴き手が同じ方向を向いていることを確認するためにも有効なのかもしれませんね。
以上、この本の前半に書かれている内容を、「1分間プレゼンテーション」の構成に従って、「疑問」(15秒)→「結論」(10秒)→「理由」(35秒)と見てきました。ところで、「1分間」でどれくらいの量が話せるかというと、だいたい原稿用紙1枚分、400字程度だそうです。見方を変えれば、「5秒」の文章を12個言えるという。ほー、そうなのか!この本には、1分間プレゼンの具体例ももちろん掲載されていますので、興味ある方はぜひ読んでみてください。
前にも書いたように、実際のプレゼンが30分間だとしても、基本は「1分間プレゼン」の内容を膨らませるだけ。今度機会があったら、早速生かしてみようと思っています。
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