
現在公開中の「チャーリーとチョコレート工場」を作ったティム・バートン監督の1996年の作品です。ティム・バートンといえば、「バットマン」(1989年)、「シザーハンズ」(1990年)、「スリーピー・ホロウ」(1999年)、「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001年)。そんなラインナップの中で、この「マーズ・アタック!」だけはちょっと異質かも。「ハリウッドの鬼才」があえて「B級映画」を撮った。ただし、B級だけど豪華俳優陣を揃えて…。てな感じでしょうか。
「宇宙戦争」はもともと「火星人」の襲来を描いた物語だったことは前に書きましたが、「宇宙開発」が始まるまでは、「火星人」ってかつてはほんとにいるものだと信じられていたのですね。この映画の舞台は「現代」ですが、実は火星人はいたのだ、という設定にまず意表をつかれます。しかもその火星人の姿ときたら、1950年代に描かれたような火星人のイメージ。頭でっかちで目ん玉が飛び出てて。おまけに、「空飛ぶ円盤」に乗ってやってくるし、武器(熱線銃)だっておもちゃみたいな色と形だし、そんなテイストについ頭がくらくら…。
そんな「B級」映画だけど、これは決してティム・バートンのオフザケ映画ではないことは確かです。「逃げないでください、私たちは友人です」と言いながら地球人を次々と殺戮していく火星人。敵対なんかしないで、同じ太陽系の友人として協力していこうという訴えに、涙まで流して握手を求めながら、次の瞬間には殺してしまう火星人。「握手」って、地球人の習慣では、「武器を持っていない」ことを示す仕草。ところが、相手に委ねたはずの「手」がいきなり武器に変わる。地球人の価値観からすれば、「狡猾」以外の何物でもありません。
価値観といえば、地球人と火星人の「文化や考え方の違い」が中盤あたりでやたらと強調されています。火星人の歓迎式典で、「我々は友好と平和のために地球にやってきたのだ」と言う火星人に感激して、観客が一羽の鳩を放つ。ところが火星人はその鳩を撃ち落とし、それをきっかけに熱線銃による殺戮が開始される。そのあと、大統領報道官が「鳩は彼らにとって平和ではなく、戦いのシンボルなのかもしれない」と言うのです。お抱え科学者のケスラー(ピアーズ・ブロスナン)も「まずコミュニケーションを」と言う。で、大統領(ジャック・ニコルソン)もそれに同意して、「歓迎」の姿勢を変えようとはしない。
たくさんの国民が殺されていながらあくまでも平和的解決を求めようとする姿勢には、タカ派のデッカー将軍(ロッド・スタイガー)ならずとも、思わず「いい加減にしろ」と言いたくなってしまいますが、けど、単純に「目には目を」ではなく、まず立ち止まって話し合いを、とする大統領の決断は必要なのかもしれません。ホワイトハウスでの大統領夫人(グレン・クローズ)のセリフに「レーガン大統領時代の洋服」がどうのこうのという話が出てきますが、もし大統領がレーガンだったなら即座に核による報復を行っていたかもしれません。そう考えると、この物語は、かつての東西冷戦時代に捧げられるべきものなのですね。
地球外生命体に対して、アメリカ合衆国が「地球」を代表する、という設定は相変わらずなのですが、少なくとも「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」のようなSFパニック&ヒューマンドラマよりはこっちの方が私は好きです。
さて、この映画で大統領と金満不動産王の二役を演じているジャック・ニコルソンを見ていたら、「シャイニング」を見たくなってきました。けどあの映画見るのはちょっと勇気がいるんだよなぁ…。
「マーズ・アタック!」>>Amazon.co.jp
「宇宙戦争」はもともと「火星人」の襲来を描いた物語だったことは前に書きましたが、「宇宙開発」が始まるまでは、「火星人」ってかつてはほんとにいるものだと信じられていたのですね。この映画の舞台は「現代」ですが、実は火星人はいたのだ、という設定にまず意表をつかれます。しかもその火星人の姿ときたら、1950年代に描かれたような火星人のイメージ。頭でっかちで目ん玉が飛び出てて。おまけに、「空飛ぶ円盤」に乗ってやってくるし、武器(熱線銃)だっておもちゃみたいな色と形だし、そんなテイストについ頭がくらくら…。
そんな「B級」映画だけど、これは決してティム・バートンのオフザケ映画ではないことは確かです。「逃げないでください、私たちは友人です」と言いながら地球人を次々と殺戮していく火星人。敵対なんかしないで、同じ太陽系の友人として協力していこうという訴えに、涙まで流して握手を求めながら、次の瞬間には殺してしまう火星人。「握手」って、地球人の習慣では、「武器を持っていない」ことを示す仕草。ところが、相手に委ねたはずの「手」がいきなり武器に変わる。地球人の価値観からすれば、「狡猾」以外の何物でもありません。
価値観といえば、地球人と火星人の「文化や考え方の違い」が中盤あたりでやたらと強調されています。火星人の歓迎式典で、「我々は友好と平和のために地球にやってきたのだ」と言う火星人に感激して、観客が一羽の鳩を放つ。ところが火星人はその鳩を撃ち落とし、それをきっかけに熱線銃による殺戮が開始される。そのあと、大統領報道官が「鳩は彼らにとって平和ではなく、戦いのシンボルなのかもしれない」と言うのです。お抱え科学者のケスラー(ピアーズ・ブロスナン)も「まずコミュニケーションを」と言う。で、大統領(ジャック・ニコルソン)もそれに同意して、「歓迎」の姿勢を変えようとはしない。
たくさんの国民が殺されていながらあくまでも平和的解決を求めようとする姿勢には、タカ派のデッカー将軍(ロッド・スタイガー)ならずとも、思わず「いい加減にしろ」と言いたくなってしまいますが、けど、単純に「目には目を」ではなく、まず立ち止まって話し合いを、とする大統領の決断は必要なのかもしれません。ホワイトハウスでの大統領夫人(グレン・クローズ)のセリフに「レーガン大統領時代の洋服」がどうのこうのという話が出てきますが、もし大統領がレーガンだったなら即座に核による報復を行っていたかもしれません。そう考えると、この物語は、かつての東西冷戦時代に捧げられるべきものなのですね。
地球外生命体に対して、アメリカ合衆国が「地球」を代表する、という設定は相変わらずなのですが、少なくとも「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」のようなSFパニック&ヒューマンドラマよりはこっちの方が私は好きです。
さて、この映画で大統領と金満不動産王の二役を演じているジャック・ニコルソンを見ていたら、「シャイニング」を見たくなってきました。けどあの映画見るのはちょっと勇気がいるんだよなぁ…。
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