カクレマショウ

やっぴBLOG

「未来少年コナン」と「崖の上のポニョ」─30年を隔てて。

2008-07-22 | ■映画
今年、2008年は、「未来少年コナン」の物語のきっかけとなる終末戦争の年。超磁力兵器により、地球上のほとんどの都市は消滅し、地形も大きく変わってしまった。それから20年後、「のこされ島」に生きる少年コナンは、人並みはずれた運動能力を持つ自然児。漂着した少女ラナを悪の手から救うため、コナンは島を出て、世界征服を目論むレプカとの戦いの旅に出る…。

コナンは、NHK初のアニメーションシリーズです。放映は1978年4月~10月。直前の3月には「少年ドラマシリーズ」が終了し、夕方の新しい少年向けシリーズとして始まったものです。宮崎駿監督の初演出作品としても知られていますが、コナンは、のちに多くの傑作を生む宮崎氏の、「原点」と呼んでいい作品だと思います。

コナンから30年。今年、宮崎駿は、またもや新たな「原点」となりうるような作品を送り出してきました。「崖の上のポニョ」。新聞によれば、そのめっぽうシンプルな筋運びは、前作「ハウルの動く城」の反省からだという。「わかりにくいと言う人が多くて。ならば5歳の子供にわかってもらえる話を作ろうと。5歳というのはものごとがわかっているのに、言葉にできないもどかしさを抱えている。そんな子供に最小限の言葉だけでも楽しんでもらいたかった」(2008年7月19日付け朝日新聞)。

発想は、アンデルセンの「人魚姫」だと思いますが、人間になれなかった人魚と違って、ポニョはしっかり人間になる。確かに、その方が子どもたちにとってはわかりやすいし、何より安心感を与えることができる。なんだか、映画の中でくらい、つらい思いや悲しい結末はなくてもいいと思う。予定調和的だろうが子どもだましだろうが、人間になりたいとポニョが願い、宗介もポニョに人間になってもらいたいと願っているのだから、これでいいのです。必ず助けると約束はしたけれど、いろいろあってさー、という言い訳をしなくてもいいストーリー。それが今の子どもたちにはきっと必要なのです。

映像は美しいことこのうえない。特に海の中の、暖かく幻想的な描写は、ディズニー・アニメとも全然違う。聞けば、17万枚にものぼるセルは、すべて手書きなのだとか。CGを使えば、たぶんもっと楽ちんに仕上げることができるのでしょうが、そこを今回はあえて手書きにこだわったのだそうで。そのあたりにも、宮崎駿氏の「原点回帰」への思いを見ることができるような気がします。大人より、子どもの方が、「作り物」を正しく見抜けるんじゃないかと思います。逆に言えば、「作り物」じゃないものこそ、子どもたちの心のどこかに引っかかるのです。

昨日書いた佐井村のテレビ教育を伝える新聞記事の中で、「人形劇ももたろう」をテレビで見せた時、子どもたちが本気でこわがって、一人二人と教室の後ろの方に移ってきたというエピソードが紹介されていました。あの頃は純粋だったと。でも、バーチャルだけど、リアルに感じ取る。そういう子どもたちの心は、今も昔も変わってはいないと思います。

それにしてもなー。このほのぼのアニメ、唯一の難点は、所ジョージ! 何もあえて彼を声優に選ばなくても…。


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