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地名で見る世界史 #01バグダッド

2004-11-05 | └地名で見る世界史
世界の国や都市、地域の名前は、歴史と深い関係にあります。アトランダムに取り上げる様々な地名を通して、世界史をスキマから少しだけのぞいていきたいと思います。

というわけで、第1回は「バグダッド(Bagdad)」を取り上げます。

言うまでもなく、「イラク共和国」の首都であり、最近のニュースに登場する頻度のもっとも高い都市名のうちの一つです。

同時にこの町は、世界史上もっとも古い都市の一つでもあります。その起源は4000年以上前にさかのぼることができます。メソポタミア地方を形作る二つの大河のうち、ティグリス河のほとりの肥沃な土地に位置するBagdadは、ペルシア語の“baga”「神」と“dad”「与える、贈り物」の合成語であり、まさに「神の贈り物」にふさわしい町だったはずです。

その後、バグダッドの町はさびれ、寒村となってしまいますが、イスラム教が創始された7世紀以降、再び歴史の表舞台に立つことになります。762年、アッバース朝はここに城壁を再建し、ダルエスサラム(Dar-es-Salam)「平和の都」と名付けました。以後数百年にわたってイスラム王朝の中心都市として繁栄します。

13世紀になるとバグダッドはモンゴル軍の手に落ち、ついでトルコ人のオスマン朝の支配を受けることになります。アラビア語名の「ダルエスサラム」は再び古名のバグダッドに戻されたものの、以後、20世紀に入るまでバグダッドはなりをひそめることになります。

第一次世界大戦でドイツ側にくみして敗れたことを契機として、オスマン朝はその幕を閉じ、その領土はイギリスとフランスによって分割されました。イラクはイギリス領となるのですが、イギリスはかつての都バグダッドの再建に取り組みました。1932年、イラクが独立を達成すると、その首都として三たび繁栄の日を迎えます。

ところが、、長年の内戦やイラン・イラク戦争、湾岸戦争、そして米国のイラク侵攻と、絶え間のない戦火の中で、バグダッドの町は破壊され、古代オリエント以来の貴重な文化遺産も大きな損失を免れない状況が続いています。

「神の贈り物」バグダッドがよみがえる日はいつのことになるのでしょうか。

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