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地名で見る世界史 #05アメリカ合衆国の州名(その4)

2004-11-17 | └地名で見る世界史
今回は、英語名の州名15州を見ていきます。

そのうち、人名に因むものが10州。デラウェア(Delaware)、ジョージア(Geogia)、メリーランド(Maryland)、ノース・カロライナ(North Carolina)、ペンシルベニア(Pennsylvania)、ニューヨーク(New York)、サウス・カロライナ(South Carolina)、バージニア(Virginia)、ワシントン(Washington)、ウエスト・バージニア(West Virginia)です。

また、本国イギリスの地名から来ているものが、ニュー・ハンプシャー(New Hampshire)、ニュー・ジャージー(New Jersey)の2州、その他の意味を持つものが、インディアナ(Indiana)、メーン(Maine)、ロードアイランド(Rhode Island)の3州と区分できます。

人名に因む州のうち、ワシントン州以外はすべて「オリジナル・サーティン」つまり独立当初の東部13州に含まれています。
イギリスとアメリカ大陸とのつながりは、1584年、エリザベス1世の寵臣だったウォルター・ローリー卿が、東部海岸に植民地建設を目指したことに始まります。これは失敗に終わりますが、同じ土地に、1607年にジェームズタウン(当時の国王ジェームズ1世に因む)が建設され、この一帯はエリザベス女王の雅号である“Virgin Queen”に因んでバージニアと名付けられました。これがバージニア州及びウェストバージニア州の州名の起こりです。
その後、植民地の成立順に挙げていくと、
■ニュー・ハンプシャー(1629年):最初に植民許可を得たイギリス商人の出身地であるイギリス南部の地名から。
■メリーランド(1634年):当時の国王チャールズ1世の王妃メアリーの名前から。チャールズはカトリックであり、この植民地もカトリックの入植地として築かれた。
■ロードアイランド(1636年):ナラガンセット湾中の小島がギリシアのロードス島に似ていたことから。ちなみに、“rhodos”は英語で言うと“rose”。
■カロライナ(1663年):同じくチャールズ1世のラテン語読みカルロスから。のちに南北に分かれる。
■ニューヨーク(1664年):ヨーク・オルバニィ公(のちのジェイムズ二世)から。ヨーク地方からの入植者が多かったことにもよる。オランダの植民地だった「ニュー・アムステルダム」を改称したものであり、もともとは都市名。
■ニュー・ジャージー(1664年):英仏海峡にあるジャージー島からの入植者が多かったことによる。
■ペンシルベニア(1681年):クエーカー教徒のウイリアム・ペンが英国王チャールズ2世から植民許可を得て建設したことから。「シルベニア」はラテン語の「森」という意味から派生した語で、「ペンの森の土地」という意味である。
■デラウェア(1682年):バージニア植民地の初代英国総督トーマス・ウエストの称号「デラウェア卿」の名による。
■ジョージア(1733年):英国王ジョージ2世が植民許可を与えたことによる。

こうして州名を並べてみるだけで、エリザベス1世に始まり、スチュアート朝のジェームズ1世→チャールズ1世(ピューリタン革命で処刑)→共和政→チャールズ2世(王政復古)→ジェームズ2世(名誉革命)、ウィリアム3世をはさんでハノーヴァー朝のジョージ1世→ジョージ2世と、アメリカ植民地の建設の時期が、イギリスの市民革命から立憲政治の成立の動きと重なっていることがよくわかります。

新天地を求めて「新大陸」に渡って「アメリカ人」となった人々は、本国イギリスの抑圧的な政策に反発して、独立戦争を起こしていくのです。

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