ヨーロッパは経済減速と共に、国内事情を優先するポピュリズム（大衆迎合主義）政党が人々の支持を集めている。

２０２４年の経済だが、最も悪化が予想されるのは中国である。それに引きずられる形で、経済が悪化するのがヨーロッパである。すでにその予兆は至るところに生じている。高インフレはＥＣＢの高金利政策で、落ち着きを取り戻しつつあるが、その副作用は大きい。経済の減速をもたらしているのである。特に、ドイツは厳冬でエネルギー価格が高騰している。さらに中国経済との結びつきが強かった分、反動は大きい。そのような中で、人々の間で、ウクライナへの支援疲れが起こり始めた。ウクライナ戦争が始まって、来年の春には２年が経とうとしているのだ。そして、ウクライナが勝利する道筋も見えない。「我々こそが主権者たる人民だ！」。民主化のうねりが高まった１９８９年の反共スローガンを幹部が連呼し、「ＡｆＤは（改革の）継承者だ」と拳をあげると、地鳴りのような歓声が湧き上がった。ＡｆＤの支援者たちは「生活にますます困る国民よりウクライナの支援に熱を上げるのは順序が逆。政府は不公平だ」と口にする。(くちなし亭、2023.12.26）

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時間差の悲劇

中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都号（アドラ・マジックシティー）」が24日、上海呉淞口国際クルーズ港を出港し、初の試験運航を開始したそうだ。このクルーズ船を計画したときには、たぶん、中国の景気は良く、海外旅行者もあふれていたころだと思われる。しかし、今はどうだろう。中国の景気は悪化し、日本へ来る旅行者数も韓国に一位の座を奪われ、低位に甘んじる。上海の浦東（プードン）国際空港も虹橋（ホンチャオ）国際空港も閑古鳥が鳴くほどに閑散としていて、店じまいをする土産店も数多くある状況だ。だから、せっかく建造した大型のクルーズ船だが、船主の思惑とは違い、下手をすれば、宝の持ち腐れになる可能性もあるのである。時間差の悲劇と言うべきものだ。東京オリンピックもそうだった。リオでオリンピックの東京開催が決まった時には、選手も、役員もたぶん、国民の多くも喜んだはずだ。しかし、２０２０年、世界はコロナ禍に入り、お金をそんなものにかけてよいのかと言うのが国民の気分になった。オリンピックは開催されたが、１９６０年代に開催された東京オリンピックの高揚感は全くなかった。これも時間差の悲劇である。(くちなし亭、2023.12.25）

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ロバート・ソロー、元ＭＩＴ経済学教授が亡くなられた。

今日はクリスマスである。街は浮かれるであろうが、悲報が届いた。２１日、著名な経済学者であるロバート・ソロー氏が死去したとのことだ。彼の成長モデルを資本と労働、技術進歩の３要素で分析、解析する手法は学生時代の私たちの経済学徒に持てはやされたものだ。特に、私のゼミの教授である新飯田先生が近代経済学の基礎を教えるにあたって、よくソロー教授の話が出たこともある。ソロー氏はロシアの経済学者、ワシリー・レオンチェフ氏の研究助手を務め、50年にＭＩＴの教員陣に加わり、統計学と計量経済学を教えることになった。彼の教え子には、後に欧州中央銀行（ＥＣＢ）総裁を務めたマリオ・ドラギ氏などがいる。９９歳であった。天才は長生きである。(くちなし亭、2023.12.24）

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中国でも特殊詐欺は大々的に行われているようである。

特殊詐欺と言うのは日本だけの問題なのだろうかと考えることがある。しかし、実際には世界的な問題らしい。その割には国連がハッカーほどに騒がないのはなぜだろう。中国とミャンマー国境付近には、巨大な詐欺団地があるという。そこには誘拐などで、連れてこられた中国人が１２万人も働かされているという。ミャンマーのコーカンに本拠を置く、ミャンマー民族民主同盟軍（MNDAA）と、トーアン民族解放軍（TLNA）がアラカン軍（AA）と「三兄弟同盟」を設立し、ミャンマーの軍事政権に対抗する動きを活発化させているのだが、彼らの目標の一つがミャンマー内で定常化している中国人をターゲットにした特殊詐欺産業を撲滅することである。この巨大な詐欺団地の存在が明らかになったのはある中国人の博士が新しい働き口を求めて、タイに入り、組織に捕まったことに始まる。ただ、この博士は口下手で、うまく電話対応ができなかったという。それで他の部署に回され、最後には身代金を家族が払って、解放されたという。中国でも特殊詐欺は大々的に行われているのである。(くちなし亭、2023.12.23）

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イケアの店舗に品は無くなる。

地中海からスエズ運河を通り、紅海から、さらにインド洋へとつなぐ航路はヨーロッパとアジアを結ぶ重要な航路である。この航路の中に、バブ・エル・マンデブ海峡がある。アフリカとアラビア半島に挟まれた海峡である。この海峡が今、爆弾を抱えている。アラビア半島南部イエメンの反政府武装組織フーシが船舶への攻撃を繰り返しているからである。そのために海運各社は、紅海を避けてアフリカ大陸を迂回（うかい）する航路への変更を強いられている。この影響は経済にも大変な影響を与え始めているのだが、スウェーデンの家具大手イケアも大変である。２１日、イケアの商品を運ぶ海運各社が航路への変更を強いられているために、配達遅延や在庫不足になる可能性があるのである。イケアは日本にもあるので、一時的かもしれないが、イケアの店舗に品がなく、ガラガラになるかもしれないのである。(くちなし亭、2023.12.22）

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