別の赤ちゃんと取り違えられた江蔵さんは自分探しの旅を続ける。

江蔵智さん（63）は1958年4月10日、東京･墨田区の都立産院（すでに閉鎖）で生まれた。しかし、その病院で、別の赤ちゃんと取り違えられて、実の親とは違う親に育てられたのだ。取り違えが発覚したきっかけは1997年、母親が体調を崩して入院した際、母親の不明だった血液型がB型と判明したからだ。父親はO型、江蔵さんはA型。血縁関係ではあり得ない組み合わせだ。2004年、意を決して、DNA鑑定を行った。その結果、父･母ともに、親子関係が存在しないことが分かった。江蔵さんは46歳になっていた。その後、裁判にも訴えた。何度も、東京都に対して調査を求めた。しかし｢すでに裁判で終わった話｣｢もう片方の家族のプライバシ－の問題もある｣などと応じてもらえなかった。｢実の親｣捜しは20年近く続いたのである。本当の親だと信じていた人が育ての親だと知ってしまった以上、本当の親に会いたいという願望は強いものだろう。自分は何のために、この世に生を受けたのか。自分探しの旅はある意味、人生の目的でもあるからである。（くちなし亭、2021.11.08）

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