世界的指揮者の小澤征爾さんが亡くなられた。考えてみると不思議な人である。満州生まれの日本人であるにもかかわらず、ヨーロッパの楽団の指揮者になった。私も彼が指揮するレコードアルバムを何枚も持っている。たぶん、ヨーロッパ楽団が日本市場へ進出する、あるいは楽団資金を日本市場で獲得するための橋渡しの役割を果たしたのだろう。しかし、そうであっても。氏にたぐいまれな才能がなければできないことであった。アジアの音楽家は西洋音楽の技術を身に付けることはできても、それを本当に理解したり、感情的な内容を深く感じたりすることは決してできないはずで、彼は並外れた個性と音楽性、努力でこうした偏見を乗り越えたという。今日は３連休の初日である。久しぶりに彼の曲を聴いて過ごしてみよう。（くちなし亭、2024.02.10）
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