昨年の今ごろ、多くの識者は中国経済のV字回復を期待していた。中国がゼロコロナ政策から脱却すれば、消費が上向くはずだと考えたのである。だが、実際はそうならなかった。ゼロコロナ政策のせいで、外資が撤退し、長期的に経済活動が停滞し、不況下の不動産産業などは企業体質をさらに弱めたのである。その結果、今年は新年から、シャドーバンキングの大手、中植企業集団が破産申請をした。金融に飛び火し始めたのである。中国と言うところは儲かるとか、政府の支援があるという分野には需要状況も考えずに、多数の企業が参入する。例えばEV産業だが、一時は５００社以上も乱立し、それなりの工場設備を整えながら、すでに多くが姿を消している。つまり、そこに雇われていた人たちが失業したのだ。また、教育産業でも、習近平主席の一声で、学習塾に携わる何万人という人達が一気に職を失った。共産主義社会の弊害である。そのような中で、地方政府の財政も困窮化し始め、公務員が給料の削減を求められている。中国の主要な輸出先であるヨーロッパ経済が低迷し、これまで中国の輸出を支えてきた外資企業が撤退して、輸出が鈍化、さらに国内需要の失速で、輸入も停滞するという環境である。当然、ゾンビ化した企業の倒産が相次ぐだろう。巷間、中国全体の債務残高は１京５０００兆円だと言われている。その１％でも不良債権になれば大変である。それは必然的に金融に飛び火する。未曽有の混乱が発生するのである。（くちなし亭、2024.01.10）
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