ヨーロッパの国、オーストリアの首相に、３１歳のセバスティアン・クルツ氏が就任する。３１歳はとにかく若い。北朝鮮のような世襲制の国の指導者ならともかく、このような民主的な選挙で選ばれた指導者としては、たぶん、ギネス級であろう。投票所にも若々しいかっこうで、ガールフレンドとともに登場する。彼は自分が党首に就任して以来、国民党を明るいイメージに刷新している。そのうえ、彼が首相になることによって、一度はイギリスのＥＵ離脱に始まった分離の波が弱まり、フランスのマクロン大統領選出などによって、ＥＵという結束に戻りかけていた波が、再び逆方向に動き出したということである。オーストリアにしても、昨年暮れの大統領選挙で、極右のリベラル系・緑の党のファン・デア・ベレン元党首が極右・自由党のホーファー氏に勝利していたのだ。この選挙も極右は「反エスタブリッシュメント・反難民」を訴えて接戦に持ち込んでいる。そして、この時、勝利した緑の党は議席すら獲得できなかった。問題は第１党になった国民党の連立政権相手である。国民党ともに、躍進した極右の自由党との連立が有力視されている。なぜなら、これまで、社会民主党が中心になり政権を担ってきたが、肌合いの大きく違う社会民主党と国民党との連立政権が政策の決定の遅さなどの批判を浴びてきたからである。少なくても、最近、ドイツの州選挙でも地域政党が躍進している。ドイツのためのヨーロッパが瓦解し始めていることは間違いない。(2017.10.16)
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