風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

依頼を断る

2018年07月23日 | 出版
嗚呼、暑い。暑いのきらい。なんて言っていたら、今年も折り返し地点を回っていたことを思い出した。そのうえ、今月もいつの間にやら下旬に突入している。光陰矢のごとしとは言いえて妙なり。そのうち、寒くて布団から出たくないとぼやくことになるのだろう。しかし、この殺人級の暑さには辟易するしかない。今回の豪雨被災者にはつらい夏であることだろう。改めて、被害に遭われたかたには、お見舞い申し上げます。3.11のときも感じたけれど、被害当事者でないということは、なにも手助けできない無力感を覚えてしまうということでもある。
一方で、中吊り広告の見出しでしか見ていないけれど、「週刊新潮」の被災地ボランティアをあざけるような広告は、正直言って不愉快だった。その不愉快さを検証するために該当記事を読んでみるなどという気持ちは、もちろん、ない。つまらない美談をこきおろすことを批判しているわけではないからだ。多くの人々が傷ついているときにくだらない不安をかきたて、そうやって実売部数を伸ばそうとする広告のあざとさが不愉快だと述べているだけである。1年ほど前「文春」にもいやな思いをさせられたけれど、「新潮」は落ちていても拾う気にもなれない週刊誌である。
メディア批判はともかく、このクソ暑いなか某御大から電話がある。「実はさあ、某さんの仕切りでAさん(仮名。某売れっ子の政治学者)との対談というのが某所(あるイベント飲み屋)で予定しているんだけれど、その対談相手(小生とも縁の深い人)がドタキャンしちゃったんだよ。それでさあ、腹巻くん、代わりにAさんとトークをしてもらえないかなあ」
「はあ?」そのAさんの著作は何冊か読んではいるけれど、面識などない。Aさんにしてみれば、小生なり風塵社なりのことなど知るわけもないだろう。
「そのイベントまでもうあまり日にちがなくて、ここはなんでもできる腹巻くんに頼もうかと思ったんだよ」などと、口からでまかせのお世辞を御大はおっしゃる。「そんなこと突然言われても、だいたい、なにを話せっていうことですか?」「Aさんとその時代の当事者性で切り結ぶことを考えていたから、腹巻くんがこれまで出した本をどういうつもりで出版してきたのかを話せばいいんだよ。本の宣伝にもなるでしょ」「(苦笑)本の宣伝はありがたいんですけれど、こちらも当事者じゃないですよ。それならば、Eばあさんはいかがですか?」「いやあ、彼女は断るだろう」「ああ、そうでしょうねえ。それならOさんなら」「結局、そっちの運動はOさんになっちゃうよな。他にも人がいそうで、意外といないんだよなあ」「そうですね、Oさんがわれわれの一番のイデオローグみたいなところがありますからねえ。それならAじいさん(Aさんとは別)でいいんじゃないんですか?」「ああ、Aさんかあ。Aさんにはまた別のところで動いてもらおうかと考えていたんだ」「そうですか。いやあ、(政治学者の)Aさんと切り結べる人となると、なかなかいないですよ。私なんかじゃ、Aさんに失礼ですし」「ウーム、わかった。しょうがない。俺がやるよ」
なんだ、自己確認のために風塵社に電話してきたのかと、ようやく理解した。それでも、御大の腹が決まってよかった。人前に出ることをいとうわけではないが、小生のような無名な人間が登壇してもその場のお客さんが喜ぶわけがない。そのうえ、Aさんとの話もまったく噛み合わないことだろうし、それよりもなによりも話すことがないのだ。当事者の話は当事者が語るべきである。こちらは、それを活字に組み直して商売にしているにすぎない(商売として成立しない場合も多々なれど)。とにかく、小生が当事者性を持ち合わせているわけではないのである。
こうして御大の活力あふれる話を聞いていたら、疲れてしまった。すると、こちらはヒーリングしないことには仕事にならない。ということで、ネットで囲碁を始めた。ところが連戦連敗。みるみるうちに順位が下がっていく。明らかな格下相手にポカをしては負けてしまう。これではヒーリングどころではないのだけれど、おそらくは御大に生体エネルギーを奪われてしまったにちがいない。しょうがない、仕事にもどることにしよう。
とにかく、決算を終わらせないことにはどうしようもないという状況である。そこで、ここ数年間段ボールに放り込んだままの領収書類を整理したり、通帳の数字を入力して出納帳を作ったりしないと、決算のしようもない。そこで領収書類をためこんだ箱を開けてみたら、急に眠気が襲ってきた。整理の大変さを実感したわけである。これでは仕事どころではない。ソファに引っくり返って寝ることにする。ようやく目が覚めたら、あたりはずいぶんと暗いようだ。
時間を見ると18:00を回っている。「あれ?もうこんな時間か」と外に出てみることにした。すると外はまだ明るい。そのうえ、やたら暑い。モワーンとした熱気が顔にまとわりついてきやがる。そこで隣りのコンビニに逃げ込んでも面白くないから、もう少し歩いてみることにした。すると、数十メートル歩いただけで汗が吹き出てくる。クーラーのありがたさを肌身をもって感じることになった。早く秋にならないかなあ。

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