風塵社的業務日誌

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福岡へ(6)

2018年12月21日 | 出版
さて、筑紫通り某所で某相談。といって、小生がすることはまったくない。その場でポッカーンと話を聞いているだけ。ヘタに口なんかはさまない方がいい状況であるから、そろそろ昼飯食べたいなあと言い出したいのをがまんしつつ、話が終わるのをジーッと待つしかない。それでようやく話が終わってみれば、もう14:00近い。
その相談していたところの裏には神社があり、小生が若いころ世話になったTさんのご実家じゃないかと妻が言う。へー、そうなんだあということで、じゃあ、ちょっとお参りしてからどこかメシでも食いに行くかと、裏に回ってみた。少し丘陵になった上に神殿が構えられている。もしかして、昔は古墳だったのかなあと思わせるような地形だ。でも、そんな話をTさんからは聞いたことがないし、よくわからない。あたりを見回して、社務所なり宮司さんの住居のようなものを探してみるけれど、それらしきものは見当たらない。そもそもTさんのご実家説が疑わしいのだから、Tさんにあいさつするのはあきらめて昼飯を食べられそうなところを探すことにする。
妻と筑紫通りを博多駅方面に歩いていけばリンガーハットがある。ここでいいかと入ろうとしたものの、待っているお客さんが行列になっている。その隣りは回転寿司である。福岡の回転寿司なら、ネタがはずれることもなかろうと、そこに入ることにした。そこでまずはビール。そしてつつましくカッパと鉄火を注文。最近よくある、注文するとオートの船が品を運んでくるタイプの店だ。それはいいが、カッパを口に放り込んだらしょう油が甘ったるくて、思わず吐き出しそうになった。九州のしょう油だということにすっかり油断していた。
福岡はとにかく味付けが甘い。特に、しょう油と味噌(味噌は麦がメイン)が甘い。これには腹が立ってくることがある。もちろん、美味しい料理も多いのだけれども、味付けが甘いから、最初は美味いと思っていてもそのうち飽きてしまうことが多い。東京ではなかなか食べられない福岡名物にごまさばというものがある。よく話が混乱してしまうのであるが、これはサバの品種を指すのではなく、そういう料理を指す(したがってここでは、料理名は平仮名で表記する)。獲れたてのサバをおろして少し厚めに切り、それにすりゴマやらしょう油やら酒をかけてゴショゴショとかきまぜればできあがりという簡単なものなのではあるけれど、なにせサバの鮮度が命という料理である。そのため、東京ではほとんど見かけたことがない。それでこのごまさを初めて食べたときは美味いなあと感動した。「こんなの、初めて~」である。特に、白飯のうえにのせて食べれば、何杯でもいけそうな感じだ。ところが、あるとき、なんか飽きちゃった。もう一生分を食べたという気分になってしまったのだろう。しかしそれでも、東京で食べられるところがあれば、行って白飯ともどもガツガツ食いたいところだ。
妻が玉子焼き明太のせなる皿を注文する。出てきたものを妻が一口食べると、しかめっ面をして「ちょっと、これ食べてみて。玉子焼きが甘すぎる」げな。そう言われて、喜んで食べたくなるわけがないだろ。「こいつは博多もんのくせしやがって」と思いつつ、しょうがなくその玉子焼きを食べると、本当に甘すぎる。なして、こげん甘くするとやと顔をしかめるのもよくわかる。ところが、「私もういいから、あんた残り食べといて」ふざけんなよと思いつつも、妻の命令にはイエッサーしかない。甘すぎるなあと思いつつも、全部食べ終えた。
福岡以外はあまり知らないけれど、福岡にかぎらず、九州の味付けは全体に甘いそうだ。まず、江戸時代まで甘いものは貴重品であった。そこで薩摩が奄美の人々に強制的にサトウキビを作らせ、また琉球からもサトウキビを収奪し、砂糖を独占的に入手する体制をつくった。薩摩の人はろくなことをしない。そして、その独占的にかき集めた砂糖を、薩摩は長崎からオランダへ輸出しようとした。すると、砂糖は長崎でダブつくことになる。そのため、ダブついたものが九州各地に流出し、結果として全体に味付けが甘くなったという説がある。その説が本当かどうかは知らないが、信州人である小生の口に合わない味付けになってしまうのは仕方がない。しかし、しょう油なんてキッコーマンで充分なのに。
その回転寿司屋を出たところで妻とは別れ、小生は市内の中心部を久しぶりに歩いてみることにする。変わり具合を定点観測しておこうということだ。そこから15分も歩けば、昔青果市場だっただだっ広い空き地がある。ここにららぽーとが近日入るらしいのだが、九州出店の1号店らしく、福岡の人はららぽーとなんて知るわけがない。そのため、バスターミナルも接続させて空港からのお客さんも呼び込もうという作戦だそうだ。確かに、空港から車で20分ほどの距離である。狭い筑紫通りに巨大なショッピングモールを建てれば、渋滞が一層ひどくなりそうだけれど、小生がわざわざ博多のららぽーとに行くこともないだろうから、まあ、いいか。

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