1952年発表, 3年後にエリア・カザン監督によって映画化され 不滅のスター ジェイムス・ディーンのデビュー作となりました。
映画は全四巻のうちの四巻目、一・二・三巻は 祖父から始まる家族の物語です。
舞台は 北カルフォルニアにあるサリーナス。
アイルランドから移民してきた 作者の祖父 サミュエル・ハミルトンの話から始まります。
妻ライザとの間に四男五女があり 四女が作者の母になります。
お金には縁がありませんでしたが サミュエルは物の道理に明るい 誰からも慕われる人でした。
そこに 東部から アダム・トラスクが 身重の妻・キャシーを連れて移り住んで来る。
彼は軍人だったという父・サイラスの莫大な遺産を受け継いでいた。
働いても働いても貧乏なサミュエルと 何にもしなくても生きていけるアダム。
サミュエルは持ち前の親切心もあって 何かとアダムの相談に乗る。
やがてキャシーは双子を産み すぐに子を置いて家を出ていく。
ここからは映画の世界です。
が、映画では排除されていましたが トラスク家には リーという中国人の召使がいて 訳も知らされず妻に出ていかれ放心状態のアダムを献身的に支えます。
小説では このリーの言葉が 大きく物語を支えているのです。
リーは サミュエル同様 キャシーの正体を見抜いていました。
50年前くらい前にこの映画を見て ジェームス・ディーンは勿論ですが キャシー役の女優さんに深く心を惹かれました。
あの不思議な存在感。小説を読んで思ったのですが キャシーは今でいうサイコパスではなかったか。
リーとサミュエルだけがそれに気づいていた。
映画の中で私がキャシーに異質を感じたのは この役を演じた女優、ジョー・ヴァン・フリートは それを演じきった。
ジョー・ヴァン・フリートは この映画で1955年のアカデミー賞の助演女優賞を獲られます。
ちょっと祖父自慢をしたかったのか ハミルトン家の話が まとまりがなく多い。
ノーベル賞を受賞した作者が 自身の最高傑作だという割に世間の評価が低いのは 物語が散漫になったせいかもしれません。
でも どの登場人物の心情も良く描かれていて 大変面白かったです。
by 風呼