ピカソ・マニマニア

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語らせ  Suu (スー)

2011-11-10 23:49:06 | 物語詩

私の名前は Suu(スー)。 なぜか初対面に近い人に 

切々と語られる。

 

 

 

  語らせ Suu

 

「この席 空いています?」 と カルチャーで時々見かける

その女(ひと)が 聞いた。

「はい どうぞ」 と私は答えた。 

カルチャー傍の よくあるファーストフード店。

 

「いい天気ですね」 とその女(ひと)は言った。

「ええ、 本当に」 私は答えた。

 

天気の話はいい。 誰の心も傷つけない。

 

 

うつむき勝ちに 紙コップのコーヒーをかき混ぜながら 

その女(ひと)は つぶやいた。

「先日 孫が10才で死にましてね」 

 

「・・・そんなに大きなお孫さんがいらしたのですか」

 

「脳性まひ でね。 娘の子だったんですが」

 

「 ・ ・ ・ 」

 

「始めっから 長くは生きられないと分っていたんです。

娘は 誰に隠すこともなく可愛い 可愛い と育てていまし

たが 私は 友達には言えませんでした。

 

天使の顔をして その子は死にました。

 

娘は大泣きでしたが 私は正直ほっとしたりして。

そして 葬儀の時 私は見たのです。 

お経をあげるお坊さまの 左の袂から 金色の丸い光が現れ 

空に昇っていくのを」

 

「お孫さんは お幸せだったのですね」

 

「ええ きっと。 でも隠そう隠そうとしていた私は

自分が恥ずかしい」

 

「そんな・・・ 

こうやって話して下さって 良い供養になりますよ」

 

小さく二つ頷いて

その女(ひと)は 大粒の涙をこぼした。

 

 

それから 彼女を一度も見かけない。

       風呼   でした       

 

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